クリエイティブな作業空間には、自身のセンスで厳選したアイテムがよく似合う。だが、3D CGや映像編集、デザインといった現場で使うプロフェッショナル向けアプリケーションは、PCに対してハイエンドスペックを求めてくる。そのため、ミドルタワーケースに高額なパーツを搭載しているのが一般的だった。

しかし、その手のPCは往々にして"うるさい"のである。排熱ファンは爆音を鳴らし、プロフェッショナルの創造性を阻害する大きな要因となるのは、想像に難くない。さらに通常のPCは、スタイリッシュと大きくかけ離れているのが一般的だ。せっかく取りそろえたアイテムの中に、異様とも言えるPCが並ぶ様は美しくない。

「Lepton WS2300H87-I」(同社Webサイトでは、3月31日までの期間限定で送料無料キャンペーンも実施中)

プロフェッショナル向けアプリケーションを動かすために、パワフルなPCは必要。だけど、せっかくの空間に異物を置きたくないと苦慮している方に知って欲しいのが、サイコムの「Lepton WS2300H87-I」である。BTO PCの一種だが、厳選したパーツにこだわりを感じさせる存在だ。

高級感漂うSilverStone製コンパクトキューブ「SST-SG06B USB3.0」は、高い冷却性能を実現してくれる。高品質なASRock製「H87M-ITX」は、安定性と長寿命を産み出す100パーセント導電性高分子コンデンサを使用しているため、煩わしいトラブルを最小限に抑えてくれるだろう。最大寸法が286ミリというコンパクトさ具現化し、設置場所に困ることもない。

サイコムのWebページで紹介されている「SST-SG06B USB3.0」。名称からも分かるようにUSB 3.0に対応済み

騒音の原因となるのはケースファンだけではないことは、PCにある程度詳しい方ならご承知のとおりである。CPUに空気を送り込んで冷却するCPUクーラーは、駆動音だけでなく風きり音が騒音源となることが多い。そのため「Lepton WS2300H87-I」は、PWM制御の9cmファンを採用し、静音性と冷却性を両立したXIGMATEK製「Praeton LD963A」を選択している。

CPUの発熱を伝えるアルミフィンを大型化し、排熱効率を高めるヒートパイプの配置も最適化。プロフェッショナル向けアプリケーションによる、CPUの発熱も適切に処理してくれる。後述するベンチマークの実行はかなりのマシンパワーを要するが、その際も静かに動作しており、電源ランプを確認しないと稼働しているか分からないほどだ。

同ページ紹介されている「Praeton LD963A」。ロープロフィール設計ながら高い排熱効率を実現している

このように魅力的なスペックを兼ね備える「Lepton WS2300H87-I」だが、最大の特徴はGPUとしてNVIDIA製Quadroを選択している点だ。同社のGPUはGeForceシリーズが有名ながらも、QuadroシリーズはDirectX用アプリケーションだけでなく、OpenGL用アプリケーションの高速処理を可能にしている。

そもそもOpenGLは3Dグラフィックスを専門的に扱うライブラリとして普及しており、プロフェッショナル向けアプリケーションでは欠かせない存在だ。端的に述べれば、同種のアプリケーションを快適に動かすのはGPU性能が左右すると述べても過言ではない。本モデルは、GK107(GeForce GT 640)ベースのQuadro K600/K2000が選択可能。前者はDVIおよびDisplayPortを各1、後者はDVI×1およびDisplayPort×2を備えているため、マルチディスプレイ環境も容易に構築できる。

だが、いくら高性能と言葉で述べてもピンと来ない方も多いだろう。そこでOpenGLを使用する実際のアプリケーションを用いたベンチマークを行うことにした。ただし、単独の数値を見ても意味がないため、NVIDIA GTS 450を搭載したマシンを比較用PCとして用いている。なお、QuadroドライバーはOpenGL 4.4をサポートした332.50 WHQLを使用した。

ベンチマークに用いたのは「Adobe After Effects CC」。映像のデジタル合成やモーショングラフィックスなどを目的としたプロフェッショナル向けアプリケーションである。最初は「AE CS6 11.0.1 CUDA BENCHMARK」でレンダリングに要する時間を測定した。なお、レンダリングの画質は最高、解像度はフル画質となる1920×1080ピクセルを選択し、ロスレス圧縮のAVIファイルを出力形式として選択している。また、Adobe After Effects CCの設定も、GPU設定以外は初期状態のままとした。

Adobe After Effects CCのGPU設定。レイトレースはGPUで処理する設定に変更した

K2000の圧勝である。今回使用したマシンはサイコムのカスタマイズページで選択できるCPUとして最上位に位置するIntel Xeon E3-1265L v3を搭載しているため、レンダリングの高速化に大きく寄与しているのは言うまでもない。それでも12倍もの開きが生じるのは予想外だった。

そもそもXeonは、一般的に使われているIntel Core iシリーズと異なり、サーバー/ワークステーション向けCPUである。さらに「Lepton WS2300H87-I」が搭載しているのは、E3系の一般的なTDP(熱設計電力)が84W(ワット)に対して、Xeon E3-1265L v3は45Wと非常に省電力設計であることも特筆すべきであろう。つまり、本マシンは"コンパクト・静音・高性能"に加えて"低消費電力"というメリットも備えているのだ。プロフェッショナル向けのアプリケーションをフル稼働させたとしても、お財布に優しいのだ。

ベンチマーク実行中のワンシーン。CPUもXeonなのでレンダリング中でもアプリケーションの応答性が良い

「AE CS6 11.0.1 CUDA BENCHMARK」による測定結果

次に試したのは「slashCAM Benchmarks」。本来は7.0/CS3と古いAdobe After Effects 7.0向けのベンチマークで、レンダリング自体もあっと言う間に終わってしまうが、参考までに測定することにした。こちらは、いずれの環境でも2分12秒でレンダリングが完了。Quadro K2000の性能を引き出すようなエフェクトが一切使われていなかったため、このような結果になったと推測する。

「slashCAM Benchmarks」は単純にレンダリングを行うため、数値的な差は生じなかった

最後はフリーのVFXアーティストDanny Princz氏が作成した「AE CS6 CUDA/RAYTRACE Benchmark」を使って測定した。ちなみに出力に関する諸条件は「AE CS6 11.0.1 CUDA BENCHMARK」と同じである。スクリーンショットをご覧頂くとお分かりのように、かなり処理が重い。比較用PCはレンダリング準備までに数分を要してしまったほどだ。その一方で「Lepton WS2300H87-I」はレンダリング準備も数秒で完了し、下記のようなベンチマーク結果となった。

「AE CS6 CUDA/RAYTRACE Benchmark」の実行シーン。アニメーションキャラクターの準備に比較用PCは結構な時間を要したが、「Lepton WS2300H87-I」は数秒ほどで完了した

「AE CS6 CUDA/RAYTRACE Benchmark」による測定結果

このようにAdobe After Effects CCを使ったベンチマークは、Quadro K2000を搭載した「Lepton WS2300H87-I」の圧勝に終わった。やはりプロフェッショナル向けワークステーション用に設計されたQuadro K2000の優位性は揺るぎないのである。また、今回は詳しく述べることができなかったものの、Xeonの持つ性能も大きいだろう。コンパクトながらもパワフルな性能を持つ「Lepton WS2300H87-I」は、3DCGなどヘビーな用途にも対応し、日々の生産性を確実に向上させてくれる魅力的なマシンだ。

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