背景

いよいよ2014年4月にサポート停止となるWindows XP。間近に迫った期限を前にOS移行プロジェクトに本腰を入れる企業が目立ちますが、業務への影響を最小限に食い止めながらの移行作業は非常に困難です。特に多くの情報システム担当者を悩ませているのが、「ユーザ・プロファイル」の移行です。手作業では膨大な手間と時間がかかるほか、操作ミスによる重要データ消失等のリスクが発生します・・・。

課題・問題

Windows XP→Windows 7への移行を "手作業" で。しかし、社員への負荷が問題に・・・

一部上場企業グループの精密機器販売メーカーであるP社では、Windows XPのサポート停止を前に、社内すべてのPC(100台あまり)について、余裕のあるうちにWindows 7への移行を済ませたいと考えていました。

移行プロジェクトを任された同社総務部では、手始めに複数のSIerに見積りを依頼しました。すると、リプレイス用PCやアプリケーション(Microsoft Office等)などハード/ソフトにかかる費用もさることながら、「作業コスト」が予想以上に高いことが判明。

経営陣に予想以上のコストがかかることを報告したところ、「移行期限までまだ1年あるので、自社で移行作業をやるように」との指示を受けました。

しかし、移行作業を自社内で行うとなると、非常に大きな負担が予想されました。

なかでも憂慮されたのは、アカウント変更にともない発生する、「ユーザ・プロファイル」(デスクトップ、マイドキュメント、スタートメニューといったアカウント固有の情報)の移行作業でした。同社にはワークグループ環境が残っているため、Active Directory移行ツール(ADMT)を使用できません。

そのため移行作業は社員(ユーザ)各々が行うこととなりますが、手作業による移行は大きなリスクをはらんでいました。総務部長I氏はこう語ります。

「移行作業にどれほど時間がかかるのか見通しが立たないばかりか、移行漏れによるデータ喪失や、関係のないアカウントへデータをコピーしてしまうといった数々のリスクがありました」

社員(ユーザ)によってスキルの差。手作業のリスクを回避し切れず・・・

I氏は作業ミスが発生しないように、仕様書や手順書の作成も検討しましたが、作業する社員(ユーザ)によってスキルに差があるため、リスクを回避できるとは言い切れませんでした。

「OS移行はすでに待ったなしでしたが、膨大な工数と予想されるリスクを考えると、事態は深刻でした。しかも当社は専任の情報システム部門がない、いわゆる "兼任情シス" の状態。本来業務への影響も大きな悩みの種でした」(I氏)

課題・問題のポイント

■コスト削減のため、PC入れ替え/OS移行にともなう「ユーザ・プロファイル」移行を手動で実施
■ワークグループ環境が残っているためActive Directory移行ツールを使用できず
■社員(ユーザ)の手作業時に発生するミスによる重要データ消失を懸念