2013年4月1日から、楽天生命がネット保険会社として本格的にスタートした。日本におけるNo.1インターネットショッピングモールを運営する「楽天」がいよいよ本格的に生命保険事業に乗り出すとのことで注目が集まって半年。楽天生命のここまでの軌跡と今後の展開をネットマーケティング編成部長の戸田哲さん、商品部長の栄森俊郎さんにうかがった。
まずは楽天グループとしてのシナジー効果を追求
――この4月楽天生命としてスタートされましたが、どんな世代のアクセスや契約が多いのですか
「20~30代の方が多いのですかとよく聞かれますが、そんなことは全然ありません。実際は、30代から50代の方のご利用が多い傾向にあります」
――「楽天」というと、やはりショッピングやネットオークションのイメージを持たれている方も多いと思いますが、実際、どんな方に利用してもらいたいといったコンセプトはありますか?
「当社は楽天グループの中の金融事業です。ですから最初はいわゆる“楽天経済圏”の中で活動していくところから始めたいと考えています。まずは、楽天会員の方で、楽天グループに期待を持ってくださっている方々に認知していただきたいですね。さらには、ぶらりと楽天に立ち寄ってくださった方々にも知っていただきたいです。その方は今すぐ保険の加入ニーズ、あるいは見直しニーズをお持ちとは限らないでしょうが、楽天の中に、生命保険会社があるということをご存じなら、保険が必要になったタイミングできっと思い出してくださるのではないかと考えているわけです」
――楽天経済圏というお話でいくと、楽天イーグルス優勝の折りには、全グループあげての優勝キャンペーンに合わせて、ポイントプレゼントをされていましたね
「保険会社ですので、セールのような派手なことはできませんが、やはり楽天グループの一員としてお客様と一緒に優勝を喜びたいな、という気持ちはありました。星野監督の背番号にかけて、7揃いの人数(先着7777名)の方に、マー君の背番号の18(18ポイント)をプレゼントというものでした(編集部注:キャンペーンは10月13日で終了)」
――エントリー&保険料の見積りをすると、楽天スーパーポイントが18ポイントもらえるというものですね
「そうです。ささやかでしたが、おかげさまで好評でした」
――ほかにも契約者がアンケートに答えるとラ・クーポン(楽天の提供するクーポン)が最大2000円分もらえるキャンペーンをされていますね
「実際、答えていただくのが結構大変なアンケートなんですが、楽天経済圏というところで、そんなお礼の形をとっています」
――まさに楽天グループのシナジーですね>
死亡保険も医療保険もシンプルで求めやすく。もちろん価格に競争力あり
――楽天グループとしてのシナジーも大事ですが、楽天に生命保険があったな、ということを思い出してもらうためには、やはり印象に残る商品力、競争力が必須だと思いますが
「保険加入の検討をするのに、皆さんがまず取る行動はネットにアクセスして各社商品の比較をすることではないでしょうか。その際、弊社の商品の保障内容があまりに役に立たないようなものであれば、それは選んでいただけないでしょうし、保障に見合った保険料でないと、皆さんに納得いただけないだろうと思っています。保険料に割高感があるのは期待はずれだろうと、そこを意識して商品づくりをしました」
――死亡保障の保険である『楽天生命ラブ』は実際に他社と比較しても割安ですね
「当社がターゲットとしている30代から50代の部分では、一番安い水準にあると自負しています。定期保険という、保障期間中は支払われる保険金額が一定のシンプルなものだけを販売しています。死亡保障の保険は、大切な家族に遺すためのもの、とニーズを絞って訴求しています。その想いが商品名の『ラブ』にこめられています」
楽天生命ウェブサイトの保険料試算画面。 |
――医療保険は3種類ありますね。どんな人がどんな風に選ぶのですか
「1つの保険の中に、たくさんの給付内容を入れないシンプルな商品作りというコンセプトから、ニーズに応じた3つに分けました。
『楽天生命スマート』は入院したら、決まった日額の給付金を入院日数に応じてお支払いするベーシックなタイプです。手術したら一律10万円が支払われます(編集部注:入院給付金日額10,000円プランで約款所定の手術の場合)。
『楽天生命ロング』は、継続して61日以上入院したら、61日目からの日数分の給付金を受け取れる、いわば長期入院専用に備えた商品です。二ヶ月程度の入院であれば貯金で賄える範囲だけれど、それ以上長引くと困るね、というニーズに応えたものです。
『楽天生命ピンポイント』は、1泊2日以上の入院をすれば、入院日数に関わらず一律10万円をお支払いするタイプです。10万円というのは、入院などでかかる診療費は、高額療養費制度という公的保障でほぼ賄える場合が多いけれど、入院の場合、その他にも差額ベッド代や食事代、家族の交通費など自己負担でかかる費用があるので、ざっくりその部分に備えるというものです。保険料が割安なので、たとえば、社会人1年目の貯蓄のない人などが加入する、という使い方もあるようです」
――結果的には『スマート』に加入される方が多いのですか?
「ベーシックなタイプなので一番人気です。ただ、『ロング』と『ピンポイント』は当社独自の商品です。既に保険に加入の方が、見直しや追加で加入される例も多いですよ」
――たとえば、どんな見直しの形ですか?
「古いタイプの医療保険にご加入の方ですと、保障が60歳で切れてしまうとか、先進医療特約という新しい技術を使った治療費用を賄う特約がついていなかったりします。そういった方だと、当社の医療保険はどれも一生涯を保障する終身タイプですので、まず入院給付金と手術給付金を一生涯保障する『スマート』に加入。プラスして、先進医療特約がつけられ、10万円の一時金も出る『ピンポイント』で補う、といった加入をされる方もいらっしゃいますね」
――なるほど。そういった相談は、電話などでもできるのですか?
「もちろん、電話での相談も受け付けますし、ご希望によっては、代理店という形の営業員が訪問することも可能です」
サポート体制は10年の蓄積を活かして万全。商品ラインナップ充実は今後の課題
――実際に他社から掛け替えを検討される方もいると思いますが、新しい会社なのでサポート体制は大丈夫かと心配される向きもありますが
「当社は、アイリオ生命という前身の会社があります。もともとは共済として事業をしていた会社ですが、10年以上の経歴があり、既に保有契約が66万件あります。住所変更といった事務手続きや実際の保険金・給付金のお支払いといった活動を粛粛とやってきていますので、サポート体制という面では安心してご利用いただけると思います。そういう点では、全くのゼロから4月に始めた会社というわけではないので、ご心配はおかけしません」
――なるほど。この4月からはネット生保としての活動を強められたと思いますが、それを活かして今後の展開としてはどんなことを期待できますか?
「まだ4月にスタートして商品ラインナップを揃えたばかりですから、性急に何をするということではないと思います。ただ、ネット生保のよさは、お客さまと直接コミュニケーションできるところで、商品ラインナップや保障内容、サービスなどについての声をダイレクトにいただきます。たとえば、スマートフォンやタブレットからの申し込みをしたいというご要望に応えて、9月からはiOS(iPad、iPhone)からの申し込み受け付けを開始しました。このように、生の声をどんどん事業に活かしていける生命保険会社になりたいですね」
――前身の会社のノウハウを受け継ぎつつ、ネットの世界における楽天ならではの機動力、強みも発揮していこうということですね。両方を活かしたサービスを期待しています。
[PR]提供: