右も左も分からず、ただ目の前の仕事を精一杯こなしていた新人時代から、社会人生活にも仕事にも慣れ始めた入社2-3年目。そこを過ぎるとある程度余裕が生まれ、会社・仕事・キャリアといった観点で自分自身を見つめなおす機会が出てくる人もいるのではないでしょうか。例えば、「自分の会社(業界)の将来性は? 」「今の仕事のやりがいは? 」「今後の自分のキャリアプランと現在の仕事はつながっているだろうか? 」「自分に合う仕事がほかにあるのでは? 」「今の自分の市場価値は?」等と考え始める人も多いのではないでしょうか。

このままの状態で仕事を続けていくことへの漠然とした不安感

IT企業に勤務しているWeb系エンジニアのAさん(29歳/男性)も、そのひとり。「今の会社にこのまま勤めていていいのだろうか? 」そんな漠然とした疑問を持ちはじめ、ひとりで考え込むことがあるそうです。そこでAさんは、Webサイトで「一歩踏み出してみよう」と登録した、人材サービス会社アデコで、キャリアカウンセリングを受けてみることに。マイナビニュースではその様子を今回リポートさせてもらいました。

今回カウンセリングを担当して頂くのはこの方。

プロフィール

藤田孝弘(ふじた たかひろ)

アデコ株式会社 シニア・キャリアコンサルタント
人材採用と教育・人事制度関連のコンサルティングに約10年間従事し、その後、IT専門の人材サーチ会社にてITコンサルタントやSEを中心とした人材のキャリアコンサルタントを約5年経験。その後アデコに転職。IT業界を中心に、これまで4,000名以上の方の転職支援を行ってきた。

藤田氏「初めまして。キャリアコンサルタントの藤田です。このたびはよろしくお願いします。まず最初に、弊社について簡単に紹介をさせていただきますね。

アデコはスイスに本社を置き、60を超える国や地域でグローバルに展開している総合人材サービス企業です。1985年に日本で事業を開始して以来、全国で人材紹介、人材派遣、アウトソーシングなど様々なサービスを提供しています。人材紹介においては、全国の拠点ネットワークを活かし、企業の採用ニーズを収集、共有して求職者の方々の希望に応じて就業機会を提供しています。」

A氏「アデコさんの概要はわかりました。そういう企業に相談させていただけるのは心強いです。自分のなかで漠然とした部分が多く、転職するべきかどうかもまだ分からない状態なのですが、今日はよろしくお願いします。」

藤田氏「弊社に登録しご相談にいらっしゃる方は、ご自分の希望や計画が明確になっている場合、なっていない場合、気持ちや状況はさまざまです。Aさんのように、漠然とした状態でいらっしゃる方も多いので、この場を通して、一緒に今後のキャリアプランを考えていきましょう。まず、Aさんの現状を整理してみましょう。現在の会社は7年目ということですが、これまでにどのような業務を行ってきたか、教えていただけますか? 」

A氏「今は、20名ほどの規模のWebメディア運営会社に勤めています。主に学校や塾などの教育機関がクライアントのWebサイト制作の受託開発や、自社Webメディアの運営を行っている会社です。私は、入社時はコーダー、その後プログラマとなり、3年目から受託開発をメインにWebディレクターを務めています。小さい会社なので、あまりノウハウが確立されておらず、どの業務もほとんど自分で勉強しながらこなしてきたという感じですね。 具体的には、外注先との折衝から、仕様書作成、CMSの開発、バージョン管理など、かなり幅広い領域に満遍なく携わっています。これまで、さまざまな業務を経験できてはいるのですが、30歳を手前に、このままの状態で仕事を続けていいのか……と考えるようになりました。」

ジェネラリストよりもスペシャリストを目指したい

藤田氏「これまで、幅広い業務に携わってこられたのですね。その規模の会社で、それほど多岐にわたった仕事がこなせるとなると、社内でもかなり重宝されたのでは? 」

A氏「手前味噌ではありますが……そうですね。社内ではそれなりに評価してもらえていると思います。でも、今の自分のスキルがほかの会社でも通用するのかと考えると、自信がありません。やはり、今後のキャリアとしては、広く浅くこなすジェネラリストよりも、何らかの分野のスペシャリストを目指したいと考えています。」

7年間でさまざまな業務に携わったAさんですが、どのスキルに関しても専門性という点ではあまり自信がない様子でした。このあと藤田さんにより、これまでAさんが携わってきた業務について、経験やスキルの棚卸しが行われていきました。

次ページでは藤田氏がA氏のキャリアについて分析。「自分の経験やスキルの棚卸し」の先に待っていたものとは……?