法人用途におけるPC活用のひとつとして、ストレージにSSDを採用するという選択肢がある。コンシューマ市場では、もはやSSDは当たり前になりつつあるが、法人用途とすれば価格や容量、書き換え回数制限の存在などの点から、効果は理解しつつも導入に踏み切れないというケースも多いだろう。そこで今回は筆者の経営する事務所で、SSDの一挙導入を試みたのでご紹介してみたいと思う。

SSDは高速ストレージとしてコンシューマでは一般的になっている。法人用途としても十分期待に応えてくれるはずだ。写真は「Samsung SSD 840」ファミリー

とある編集プロダクションの事例

筆者のオフィスは常駐スタッフ4名(自分を含めて)、外部スタッフ複数名という形態で運営している。日々稼働しているPCはデスクトップが4台、ノートPCが1台というのがもっとも多い。ただし、ライティングメインの編集プロダクションということもあり、PCはほぼフル稼働状態が続く。

今回、事務所のマシンをすべてSSD化してみるという、思い切った行動に出ることになった筆者…。その結果やいかに!

勤務時間内のPCでは常に何かしらのドキュメントが制作されており、それ以外の時間でも資料閲覧やWebを使っての情報収集など、CPU、メモリ、ストレージは働きっぱなしな感じだ。記事制作ではテキスト入力や図版・資料制作、画像加工がメインとなるため、エディタ、Word、PowerPointなどに加え、Adobe Photoshop、必要に応じてIllustrator、InDesignなども起動する。このほか、メーラーやブラウザは開いたままの状態だ。

実は、筆者の事務所では部分的にSSD化を進めており、ノートPC、デスクトップPCそれぞれ1台ずつ、HDDからSSDへの換装は済ませてある。その非常に高い効果を目の当たりにし、すべてのPCをSSDにすれば、もっともっと仕事の効率が上がるのに…と考えていた。これまではコスト面で二の足を踏んでいたのだが、ここ最近でSSDの価格がこなれてきたので、チャンス!とばかりに思い切って取りかかることにしたのだ。


法人用途におけるSSD活用のメリット

話題が逸れるが、SSDはコンシューマ市場ではポピュラーになっているストレージソリューションだ。法人ではいまだそれほど積極的に採り入れられていないのは、特に中小企業において、価格と容量のコストバランスという点がHDDに比べて悪いという部分がネックであることが多い。

ただ上述のように、一時期とは違いSSDの価格もこなれてきているので、このバランスも十分クリアできるゾーンに入った。容量に関しては128GB、256GB辺りが主流だが、さすがに128GBは容量的にキツイ。256GBあればOSとアプリケーションは余裕でインストールできるはずなので、今から選択するならぜひ256GB以上にしておきたいところだ。

筆者の事務所風景。常駐スタッフは自分を含めて4名、デスクトップ4台、ノートPC1台がフル稼働する。プロジェクトによっては外部スタッフを招集して業務に当たってもらうスタイルだ

筆者のデスクトップは、エディタ、ブラウザ、メーラーといった基本ツールのほか、Photoshopなどの編集ツールで常に埋め尽くされているのである

コンシューマ市場でもこれは当てはまり、256GBのSSDとテラバイトクラスのHDDをセットで購入するユーザーが多い。法人用途においてもこれにならい、SSDとHDDを効果的に組み合わせれば、パフォーマンスと容量への課題を一気に克服できるというわけだ。

また、SSDは故障が少なく耐久性が高い。書き換え回数に制限があるとはいえ、ある日突然破損することもあるHDDに比べ、制限回数に届くまで使えるSSDのほうが、より安心できると考える企業も増えてきている。

SSDの省電力性も忘れてはいけない。PC1台の消費電力を減らすことはもちろんだが、オフィス内のPCをすべてSSDに換装すれば、それだけ効果は高くなる。ハイパフォーマンスと耐久性、優れた省電力性と、いまや法人用途においても、SSDに対して懸念する材料はそれほど多いとは思えないのだ。

では、筆者の事務所で行ったHDDからSSDへの換装と、ベンチマークによる効果、それらの顛末をご紹介しよう。

現在稼働しているPCの主な仕様。とりあえずはこちらを参考にしてほしい

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