韓国サムスン・エレクトロニクス(以下、サムスン)の最新SSDである「Samsung SSD 840」ファミリーは、高い性能と信頼性を誇るSSDとして発売以来、人気を集めている。Samsung SSD 840ファミリーのパフォーマンスについてはすでに検証しているが、トップスピードが高速なだけでなく、長期間にわたって使い続けても速度が落ちにくいことが特徴だ。また、最新OSであるWindows 8に最適化されており、性能を最大限に発揮できることも利点である。そこで今回は、その理由を探るとともに、Windows 8のクリーンインストール直後と長期間使用後を想定した環境で、パフォーマンスをチェックしてみたい。
Windows 8に最適化されたSamsung SSD 840ファミリー
サムスンの最新SSD「Samsung SSD 840」ファミリーは、世界最高レベルの性能と高い信頼性で大人気となった「Samsung SSD 830」の後継として登場した製品である。Samsung SSD 830は、容量やパッケージの違いで全11モデルがリリースされていたが、製品としては1つのシリーズであった。対してSamsung SSD 840ファミリーは、性能にとことんこだわるアーリーアダプタやサーバー用途に適したプロフェッショナルモデルの「Samsung SSD 840 PRO」と、コストパフォーマンスと通常使用時の性能を重視したスタンダードモデルの「Samsung SSD 840」の2シリーズがある。
ラインナップを簡単に紹介しておくと、まずSamsung SSD 840 PROシリーズは、SSD本体と専用ユーティリティ「Magician Software Ver3.2」がパッケージングされたベーシックキットとして、512GB/256GB/128GBの3モデルがある。Samsung SSD 840シリーズは、Samsung SSD 840 PROと同様のベーシックキットに加えて、デスクトップPC用のブラケットやノートPC用のスペーサー、データ移行用SATA/USB2.0変換ケーブルなどが付属するオールインワンキットも用意されており、容量はそれぞれ500GB/250GB/120GBとなる。
Samsung SSD 840 PROおよびSamsung SSD 840の特徴やパフォーマンスについては、レビュー記事の『史上最速SSD登場 - 「Samsung SSD 840 PRO」の驚異的な性能を検証』と、『低コストと高性能を両立した最新SSD - 「Samsung SSD 840」の性能を検証』を参照いただきたい。今回は、スタンダードモデルのSamsung SSD 840を利用して、Windows 8環境でのパフォーマンスを検証していきたい。
Windows(NTFS)のクラスタサイズに合わせてページサイズを4KBに
Samsung SSD 840ファミリーは、OSを問わず利用できるが、特にWindows 8でのパフォーマンスを重視した設計が行われているという。その中でも大きな改良点が、NANDフラッシュの読み書き最小単位であるページサイズを、8KBから4KBへと変更したことである。
前モデルのSamsung SSD 830を含む、現行の多くのSSDが最小8KB単位でNANDフラッシュへアクセスするが、Windows(NTFS)のクラスタサイズは通常4KBだ。Windowsは、必ず4KBの倍数のサイズでファイルへのアクセスを行う。そのため従来のSSDでは、OS側から4KBのリード/ライト命令が来たときでも、NANDフラッシュへは必ず8KB分のデータ読み出し/書き込みを行うことになるので、ロスが生じてしまう。しかし、クラスタサイズとページサイズが一致するSamsung SSD 840ファミリーなら、無駄なNANDフラッシュへのアクセスを防ぐことができるほか、ガベージコレクションの発生を抑え、性能を最大限に発揮できるのだ(なお、SSDの既存データを上書きする場合は、複数のページをまとめたブロック単位での消去/書き込みが発生するが、この点については省略させていただく)。
DRAMキャッシュを2倍の512MBに強化
Samsung SSD 840ファミリーでは、NANDフラッシュへのアクセスの最小単位であるページサイズを4KBにすると同時に、DRAMキャッシュを従来の2倍となる512MBに増やしていることもポイントだ。ページサイズが8KBから4KBになると、同じ容量でもDRAMキャッシュに記憶しておくアドレスマップの容量も2倍になる。
そのため、DRAMキャッシュ容量を2倍にすることで、余裕を持ってアドレスマップやデータのキャッシングが行えるように設計されているのだ(なお、Samsung SSD 840の120GBモデルとSamsung SSD 840 PROの128GBモデルでは、DRAMキャッシュ容量は256MBのままだが、アドレスマップも容量も少なくてすむので問題はない)。DRAMキャッシュにもSamsung製のLow Power DDR2 SDRAMが採用されており、低消費電力を実現している。
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