ウォルト・ディズニー生誕110週年記念作品として今年4月に公開となったSFアクション超大作映画『ジョン・カーター』。原作は1917年に発表されたエドガー・ライス・バローズのSF小説『火星のプリンセス』で、その世界観や設定は、あの『スター・ウォーズ』や『アバター』にも多大な影響を与えたとも言われている大傑作だ。
そんな『ジョン・カーター』のブルーレイ/DVDが、8月22日に発売となる。ブルーレイといえば、本編以外の特典映像も楽しみの一つだ。たとえば監督のオーディオコメンタリーだとか、ちょっとしたメイキング映像だとか、その映画をより深く理解できるような贅沢なオマケをファンは求めているのである。
そんなわけで、今回担当編集から『ジョン・カーター』のブルーレイをレビューするお話をいただいたときも、「どんな特典があるのかな」とワクワクしながら打ち合わせに向かったのである。
そうしたら、驚いた。 何に驚いたって『ジョン・カーター』のブルーレイの特典としてついてきた、「ディズニー・セカンド・スクリーン」の凄さにである。
「セカンド・スクリーン」とは、『ジョン・カーター』のメイキング集や設定資料などがふんだんに収録されたiPadアプリだ。その名の通り、本編と一緒に眺めて楽しむ"第二のスクリーン"である。
……この説明だけだと、「だから?」と首をひねる方もいると思う。「そんなの、もともとブルーレイに収録していた特典をiPadアプリとして切り出しただけなんじゃないの」とか、「単なる設定資料集でしょ」とか、そういうひねくれたツッコミを入れる、打ち合わせ前の筆者のような人もいると思う。 違う。 まったく違う。
ディズニー・セカンド・スクリーンは、これまでのブルーレイ特典の常識をはるかに超えた特典なのである。 何がすごいのか、一つずつ説明していこう。
「ジョン・カーター」の世界を120%理解できる超ボリュームがすごい!
「ジョン・カーター」の舞台となるのは、バルスームと呼ばれる星。19世紀のアメリカからバルスームに飛ばされた男、ジョン・カーターの活躍を描いたSFアクション大作だ。バルスームはサーク族、ヘリウム王国、ゾダンガ王国といった3つの勢力が支配しており、特にヘリウム王国とゾダンガ王国は激しく対立して壮絶な戦いを繰り広げていた。そんな中、ジョン・カーターは、戦いの中でヘリウム王国の王女、デジャー・ソリスに出会う。地球に比べて重力の弱いバルスームでは、カーターのジャンプ力やパワーは桁外れに増しており、その力を見込んだデジャーはカーターにヘリウム王国の救援を依頼するのだった――。
ざっとあらすじを紹介したが、これだけでも『ジョン・カーター』の世界観が非常に重厚で奥深いということがわかってもらえると思う。さすがは名だたるSF映画に影響を与えた傑作だ。綿密に作りこまれた世界は自然と説得力を持ち、一人歩きを始めるもの。実際、筆者も本編を見ていて「この乗り物はどんな設計なんだろう」とか、「この生き物は普段どんなものを食べているんだろう」とか、そうした「もっと映画の裏側について知りたい」という欲求が生まれた。 そうしたニーズに応えてくれるのが、ディズニー・セカンド・スクリーンである。一昔前なら分厚くて高価な設定資料集を買わなければいけなかったのが、今はiPadで手軽に見ることができ、しかもアプリがブルーレイのオマケとしてついてくるというのだから、すごい時代になったものである。
で、この『ジョン・カーター』アプリだが、いやはや驚くべきボリュームである。本編の各シーンごとに何らかの設定やメイキングが収録されており、そのページ数は実に2400ページ以上! 逆にいえば『ジョン・カーター』はそれだけの"語るべきこと"がある作品なのだ。ジョン・カーターがジャンプして重力の弱さに驚くシーンがどう撮影されているのか、とか、アニメ仕込みの監督が書いたであろう詳細な絵コンテが収録されている、とか、とにかく見所が盛りだくさんだ 。
本編と同期して動くタイムラインがすごい!
ディズニー・セカンド・スクリーンの最大の特徴にして、筆者がもっとも感動したのが、本編との同期システムだ。 まず本編の映像を再生し、さらにセカンド・スクリーンを起動したら、両者を同期する。すると、本編映像の進行に合わせてセカンド・スクリーン側のタイムラインも自動で進んでいくのだ! すごすぎる!
これはもう、率直に言って、未来である。『ジョン・カーター』に負けず劣らず、SFである。子ども時代の筆者にこんなもの見せたら「未来ー!」って叫びながら泡吹いて倒れるんじゃないだろうか。それくらい感動した。
もっとすごいのは、本編とセカンド・スクリーンのどちらからでも瞬時にシーンを同期できることだ。たとえばセカンド・スクリーンの特定のページだけをゆっくり見たい場合、本編との同期を一旦ストップするすることができるのだが、見終わったらワンタップで再び本編と同期できるのである。
それだけではない。なんと本編の方をセカンド・スクリーン側に同期することもできるのだ。セカンド・スクリーンのタイムラインを見ていて気になったページがあれば、すぐに該当のシーンを呼び出して見比べることができる。もちろん同期せずに、iPadだけで楽しむのもありだ。……というか、一度は同期なしでセカンド・スクリーンをゆっくり楽しんでみてほしい。セカンド・スクリーンのボリュームとクオリティは、何となく流し見するにはもったいなさすぎる。
もうひとつの本編!? このためだけに声優を起用した豪華コンテンツとは……?