作品に登場する重要な画面内CGを大量制作するために新マシンを導入

株式会社ピクチャーエレメントは高水準のVFX技術の提供等、特殊合成作品のマネージメントや、映像編集などを中心に、作品によっては企画から仕上げまで最適化したワークフローの設計・管理なども手がける映像会社だ。オフィスは東宝スタジオ内に設置されており、多くの映画作品に携わっている。

VFX作成のために、普段から高性能な描画機能を持ったPCが活用されているが、より高精度な画質のCGを大量に求められる作品を手がけることになった時、株式会社ピクチャーエレメントが選択したのが、マウスコンピュータークリエイターモデルだった。

株式会社ピクチャーエレメント代表取締役テクニカルプロデューサー 大屋哲男氏

「映画『プラチナデータ』という作品では、2017年の日本の科学捜査を題材にしています。画面の中でデータ分析を行ったり、犯人についてシミュレートしたりと、登場人物がモニター画面を見ながら芝居をするシーンがたくさんあるのです。その画面を作るために、高性能なPCが必要でした」と語るのは、株式会社ピクチャーエレメントの代表取締役にしてテクニカルプロデューサーである大屋哲男氏だ。

通常の映画撮影では、撮影時にCG制作が間に合った部分については実際に表示しながら撮影するものの、間に合わないシーンは後から画面合成を行うことが多いという。重要なシーンを先に仕上げ、細かいシーンを合成で済ませるという傾向はあるが映画「プラチナデータ」ではその手法が使えなかった。

「重要なシーンで画面を見ながらの芝居が多かったのです。そのため、あとで加工するのではなく、最初から画面が入っている状態で撮影したいという要望がありました。また、近未来を表現するために特殊なモニターを使ったことから、あとから合成するのが非常に難しいシーンも数多くあったのです」と大屋氏。撮影に間に合わせるために、いかに早く映像を作成できるかが課題となった。

「Quadro 4000」搭載マシンで「Adobe After Effects」の多重作業を実現

新しいPCが必要になった時点では、大屋氏はマウスコンピューターを知らなかったという。「現場の要望にすぐ対応してくれるメーカーだと紹介を受けて連絡しました。一度打ち合わせをして必要なスペックを指定するだけで、すぐに2台のPCが導入され、迅速に環境を整えることができました」と大屋氏は振り返る。

導入したPCは、マウスコンピュータークリエイターモデル「MDVシリーズ」だ。大手のクリエイター向けワークステーションは高価なものが多いが、マウスコンピュータークリエイターモデルの場合は、PCプラットホームがベースなので低価格。BTOメニューも豊富で、クリエイティブな現場で要求されるハイエンドな構成にも対応できるのが特徴だ。株式会社ピクチャーエレメントでも、グラフィックス機能を重視して「NVIDIA Quadro 4000」を搭載。メモリも32GBと大容量にし、CPUはCore i7-3930Kを選択した。このマシンは、現場でかなりの威力を発揮したようだ。

導入された2台のマウスコンピューター製マシン

「今までもレンダリングサーバは用意していたのですが、やはりハイスペックマシンだと速度が違います。動画作成にはAdobe After Effectsを使うのですが、平行して3~4つの処理をできるのは大きな効果でした。1台で何役もこなしてくれたという感じです」と語るのは、VFXスーパーバイザーを担当した株式会社イマージュ モーターライズ事業部のツジノミナミ氏だ。

作業中は基本的にプレビューで仕上がり具合を確認し、実際の撮影現場に持ち込む際には動画化したファイルを用意する。通常、数秒程度の動画になる素材が多いが、「プラチナデータ」では1シーンを細かなカットに分けず撮影する手法を監督が採用していたため、比較的長い素材を作る必要があった。

「小さなミスはどうしても出ますから、繰り返しプレビューして修正しなければなりませんが、長いシーンのファイルは容量も大きく、プレビューやレンダリングにかなりの時間がかかります。CGの作業というのは何回トライ&エラーができるかが鍵です。高速なマシンで締め切りまでにトライできる回数が増えたことで、クオリティを上げることができました」とツジノ氏は手応えを語る。

マウスコンピューターのクリエイターモデルが、高度なグラフィックスの編集で活躍した

緊急の修正にも高速処理マシンで対応

短い準備期間での素材作成に活躍しただけでなく、撮影が始まってからもマウスコンピューターのマシンは威力を発揮したという。

「このマシンがなかったら危なかった、という時もありました。例えば撮影に入ってしまってから、役者さんの芝居のタイミングと合わないから、素材のほうを修正しようということもあるのですが、あまり待たせることはできません。高速に修正できるマシンがあって、本当に助かりました」と語るのは、エム・ソフトの第2システム事業部第21システム部係長である目崎利幸氏だ。

また目崎氏は、実際に稼働していたマシンの安定した動作にも注目している。「処理中に落ちるなど、おかしな不具合はありませんでしたし、熱もあまり出なかったように思います。Adobe After Effectsで3つの処理を平行して行った時も、CPUにはまだ余裕がありました。この威力に惚れ込んで、自腹で同じ仕様のマシンを購入したスタッフもいるほどです。私も、今後も使い続けたいですね」と目崎氏。

近未来という設定であるため、劇中のコンピューターの画面の中に表示されるOSやメーラーの表示まで、すべてがCGで作り込まれている。細かな部分まで作り込み、画面内で活きるものにするための修正を繰り返す必要がある。それには高速に処理できるマシンが必要だ。決まった時間の中で試せることが増え、より細かい部分まで追求できるようになることで、今のベストを尽くした作品にすることができた、とツジノ氏と目崎氏は満足感を語ってくれた。

株式会社イマージュ モーターライズ事業部 ツジノミナミ氏(左)と、エム・ソフト第2システム事業部第21システム部係長 目崎利幸氏(右)

拡張性が高く、コストメリットも高いマウスコンピューター

映画制作の現場で要求されるのは、グラフィックス処理の高速さだけではない。高速な構内ネットワークへの参加なども必要だ。また、そうした特殊な拡張カードへの対応ができるという条件を満たしつつ、常に最新のマシンを利用したい現場の要求に応えるために、頻繁な入れ替えを可能にする価格が求められている。

「撮影所のマシンには、10GbpsのLANやInfiniBandの拡張ボード、RAIDコントローラー、SASカードなどを取り付ける必要があります。コンパクトな市販マシンではそもそも拡張スロットが足りませんから、十分な拡張性を持ったタワー型のマシンでなければなりません。そして、1~2年おきに入れ替えられる価格もポイントです。マウスコンピュータークリエイターモデルは、スペックの割に価格が安いというのもメリットでした」と大屋氏は語る。

今回導入したクリエイターモデルは、ほかの業務への転用なども試験された。「LTO5での大容量高速バックアップのテストはうまくいったので、ここでも利用しようと考えています。また、Windows専用の各種CG処理ソフトウェアも正常に動作しました。映像制作の現場ではMacを使うことのほうが多いのですが、一部の作業にはWindowsが必要です。そういう部分にぜひ利用していきたいですね」と大屋氏。

実際に使う業務に合わせた仕様を割り出すため、マウスコンピューター側から試用機の貸出しを受けてのテストなども行い、今後の継続利用にも意欲的。過酷な現場での要求に応えたことで、マウスコンピューターは高い信頼を得ることができたようだ。

なお、製品にはNVIDIAのグラフィックスボードが使用されている

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