ニーズにぴったりのパソコンを、お得にゲットできるのがBTOパソコン。ただ、自分でスペックを選ぶBTOパソコンは、普通のパソコンに比べるとすこし難しく感じるかも。そこで今回は、誰にでもカンタンにわかるBTOパソコンの選び方のポイントを、全3回の連載で紹介しよう。

鈴木家の登場人物

父:鈴木一郎
都内の技術系大手企業に勤める40代。総務に所属しているがコンピュータには明るく、社内でも評判だとか。結婚15年目。妻と長男、次男の4人暮らし。
息子:鈴木次郎
公立中学校に通う平凡な中学三年生。最近の若人らしく、勉強不得手のゲーム好き。家族の仲は良好ながらも、やや反抗期が出始めている。

都内に暮らす鈴木家。再び始まる物語は、帰宅後の食卓だった。

父 ただいま~。今日の仕事はつらかった、と……。
息子 あっ、お帰り。父さん。
父 おぉ。先週届いたパソコンはどうだ?
息子 うん。もうセットアップも終わって、色々使ってるよ。
父 そうかそうか。Web注文は思ったより早く届くものなんだな。

帰宅後のビールで喉を潤しながら、一郎は独り言のようにつぶやいた。息子のおねだりを快諾し、サイコムでパソコンを注文したのだが、一週間後には手元に届いていたのである。これまで店頭販売でパソコンを購入してきた一郎にとって、Web注文のスピードは満足できるものだった。そのため自分のパソコンを新調するときも、同じパソコンショップに注文しようか、と思い始めていたのである。

息子 「専用」っていいね。これで好きなときにメールできるよ。
父 確かに次郎には携帯電話も買ってあげてないからな。
息子 そうだよ。"ケータイ"持ってないヤツって、クラスでも少ないんだよ。
父 ランニングコストが発生するものは、自分でバイトできるようになってからな。それより、俺も新しいパソコンが欲しくなってきたな。
息子 なんだよ父さん。オレのマネじゃん(笑)

生意気な口を聞くようになった、と軽い感慨を覚えつつ、リビングのパソコンに電源を入れ、息子に買い与えたサイコムのWebページにあった「Radiant GZシリーズ」のページを開きだした。実は息子のパソコンを選んでいた際に、自分用のパソコンも密かに物色していたのだ。ミドルタワーケースを採用した「Radiant GZシリーズ」の拡張性に魅力を感じ、今後パーツを増設・換装するにも便利だろう、と狙いを付けていたのだ。

父 うーん、やはりこれだな。
息子 高っ! オレのパソコンの三倍じゃん。
父 お前と同じパソコンを使うワケないだろ(笑) パソコンはそのときの最高スペックを選ばなくっちゃダメなんだよ。
息子 父さんだけズルいな~。

次郎が愚痴をこぼすのも当然である。「GZ2010X58」は基本構成でも十分ハイスペックなのに、一郎はメモリ増設、HDD容量拡大、Blu-rayドライブなどをチョイスしていた。そのため基本構成なら88,800円からになっていた購入価格も、各パーツを入れ替えたことで最終的には17万強と、前回次郎に買い与えたパソコンの三倍になっていた。しかし、一郎には「その時期に最高のスペックを選択するのがベスト」という持論がある。能力の高い機能を持つ構成にしておけば、そのパソコンの寿命も延びると考えているからだ。

■「GZ2010X58」のBTO例
CPU Intel Core i7-960
マザーボード GIGABYTE GA-X58A-UD3R
メモリ DDR3 PC10600 6GB(2GB×3)
ストレージ 2TB/7,200rpm/32MB SATA2
光学ドライブ Blu-ray LG BH10NS30
グラフィックス GeForce 210 512MB
OS Windows 7 Professional 64ビット版
参考価格 171,510円

息子 Blu-rayも付けるんだ。でもウチにはソフトないよ。
父 でも、今後はDVDよりBlu-rayだろ。「THIS IS IT」もBlu-ray版の方が色々入ってるし。
息子 そりゃそうだけど……。
父 あっ、こっちも良いな。

一郎が惹かれたのは「Radiant Aqua-Masterシリーズ」だった。先ほどの「GZ2010X58」と似ているが、冷却機構に水冷方式を採用している分、冷却効率が良いモデルだ。パソコンのスペックが高まると、必然的に発熱量のことに気を配らなくてはならず、特に自宅でパソコンを使用する場合、職場などでは気にならないファンの音も耳障りになってしまう。また、一郎がパソコンを使うのは決まって深夜のため、経年劣化していた今のパソコンが発するノイズも気になっていたのだ。

父 ふむふむ……パソコンを冷やすファンがないから、静かさにも期待できそうだな。せっかくの水冷だし、一番速いCPUを選ぶべきだよなぁ。
息子 父さん! 一番速いのを選ぶと凄い値段だよ!
父 さすがに母さんに怒られちゃうか(笑) でも、それだけ長く使えるし、できるだけ速い組み合わせを選ぶ方が最終的には安くなったりするんだぞ。
息子 あ、ほら、ここに書いてあるよ。一番速いのは「完売」だって。
父 うむ。やっぱり速いCPUは人気だから、売り切れがちなんだよな。少し待っていれば在庫も戻るんじゃないかな。タイミングと思い切りも大事だよ。

そう言いながら一郎は、Webページで好みのパーツを組み合わせていた。このようにオンラインショップで好きなパーツを選択できるのはBTOならではだ。「GZ2010X58」と、ほぼ同等のスペックながらも、その価格差は一万円に満たない。パソコンの冷却性能に興味を持ち始めていた一郎には、とてもお得に感じられたのだ。不思議なものである。購入時にターゲットが決まると、段々とその商品が魅力的に感じてしまうことはないだろうか。一郎はすでにその境地に達していた。

■「Radiant Aqua-Masterシリーズ」のBTO例
CPU Intel Core i7-960
マザーボード GIGABYTE GA-X58A-UD3R
CPUクーラー Corsair CWCH50-1
メモリ DDR3 PC10600 6GB(2GB×3)
ストレージ 2TB/7,200rpm/32MB SATA2
光学ドライブ Blu-ray LG BH10NS30
グラフィックス GeForce 210 512MB
OS Windows 7 Professional 64ビット版
参考価格 180,510円

父 う~ん……これをこうして、ああして、ふむふむ、やっぱりここは(ぶつぶつ)……ポチっとな。
息子 あっ、父さん!

息子が驚きの声を上げたのは、当然と言えば当然だった。前回次郎のパソコンを買う時は、なかなか決断しなかった一郎だが、自分のパソコンを買う時は、即決のごとく注文ボタンをクリックしていたからだ。さほど酒に強くない一郎は、日中の疲れと三本目のビールで軽く酔ってしまい、気も大きくなっていたのだろう。

父 買っちゃった(笑)
息子 笑い事じゃないよ。母さんに相談したの?
父 ……。
息子 オレ、新しいヘッドフォン欲しいな。音が良いやつ。
父 ……母さんには内緒だぞ。
息子 うん!

またもや息子におねだりされてしまったが、男同士の秘密を持った父と息子。そんな関係も良いものだ、と思いつつ、ビールで得た酔いの心地よさに浸る一郎だった。

コラム - CPUパワーはどれだけ必要か?

パソコンは速ければ速いほど便利になる。それは個人向けパソコン(パーソナルコンピュータ)が登場した1974年から現在に至る30年以上の歴史をかんがみても明らかだ。最初は一つの処理しか実行できないシングルタスクから始まったパソコンだが、複数の処理を切り替えて実行できるマルチタスクへと進化し、ユーザーも音楽を聴きながらWeb閲覧を楽しむといった複数の動作を同時に行なえるようになった。

これらマルチタスク動作を支えるのがCPUのパフォーマンス。基本的に現代のCPUも一つの処理しか実行できないが、処理タイミングを数十ミリ秒という非常に短い時間で区切り、各作業を順次こなしていくことで、ユーザーから見ると複数のアプリケーションを同時に実行するマルチタスクのように見えるのである。そのため、ベースとなるCPUパワーが重要になるのだ。

もっとも必要なCPUパワーは用途によって異なり、パフォーマンスを求めるのであれば「Intel Core i」と呼ばれるシリーズがお勧めとなるが、前アーキテクチャとなる「Intel Core 2 Duo/Quad」シリーズでもストレスを感じる場面は少ない。しかし、本物語の登場人物である一郎のように高いスペックを持つCPUを選べば、将来新しいCPUアーキテクチャが登場しても、十分現役で活躍できることになる。コスト面を踏まえると異なる意見も出てくるが、パソコンの心臓部となるCPUは、速ければ速いほど多くのメリットを享受できるのだ。

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