第4回 「7列キーとトラックポイントによる操作性」はこちら
今回は、ThinkPadの機能の中でもとくに完成度の高いキーボードについて紹介しよう。いたるところにキー入力への配慮と気配りがされていて、その打ちやすさには定評があり、ファンも多い。
なお、以降の内容はすべてのThinkPadに共通するよう進めているが、機材としてはThinkPad X300をメインに紹介している。数あるThinkPadのなかからThinkPad X300を用意したことには理由がある。ThinkPadがシリーズ共通でひとつのコンセプトに基づき設計されており、ThinkPad X300が、現在、最も高いレベルでそのコンセプトを網羅したモデルだからだ。
ThinkPadの魅力に迫る |
キーの下にある「打ちやすさ」の秘密
ThinkPadで常に語られるのが「キーボードの打ちやすさ」である。ただし、もちろんフィーリングというのは各個人で異なってくるので、実際には店頭その他で試してみることが望ましいと付け加えておく。
さて、レノボではThinkPadのキーボードの条件として、早く打てること、打ち間違えの少ないこと、長時間使用しても疲れないこと、といった項目を挙げている。キーフィーリングでは、ストロークと押した時の感触という2点が重要なのだが、サイズに制限があるノートブックパソコンでは、ストロークの変更は物理的に困難だ。
そこで、感触に関する部分が、ThinkPadにおける快適なキーフィーリングを実現するためのポイントとなっている。キーというと、押し込んでから押し切るまで常に一定の反発力があると思いがちだが、ThinkPadのキーは、ある一点ですっと力を弱めても押し込めるという特性がある。さらに押し切るまでにはもう一度反発力が増すため、力加減をグラフにすると、ちょうどSの字を書くようなカーブになるのだという。これは押す時だけでなく、戻りの時も同様。快適なクリック感と指への負担の少なさ……ThinkPadではこうした力加減までチューニングしているのだ。
ThinkPadのカーソルキーの下部分は波形。そして4つのキー全てに突起を設け、感触で他のキーと区別できる。こうしたキーとその周辺のデザイン面を以降で紹介していこう |
個々のキーにも注目してみよう。まず、各キーはすその広い台形型となっている。一見、キートップの面積が狭くなってしまうようにも思えるが、これが台形でないと、キートップ同士がくっつきすぎてしまい、隣のキーとの打ち間違えも多くなってしまう。台形自体は他のキーボードでもよく見るのだが、ThinkPadのそれは比較的すそが広く、特に手前側のスロープが広くとられることで、下のキーとの干渉も少ない。
ThinkPad X300はもちろん、B5モバイルのX40でも、すその広い台形型。手前のスロープはかなり広くとられており、下のキーとの干渉が少ない |
さらに各キーは、よく見ると中央が緩やかに凹んでいる。ホームポジションに戻す時など、何気なくキーに指を置くと知らぬ間にいちばん深いところを求め、指先がキーの中央に行くから不思議だ。この凹み具合も大きすぎては弊害になるとのことで、最適な値というところに同社はこだわっているのだ。
そして、地味ながら重要なのが、数値キーとファンクションキーとの間にあるわずかなスペース「バリア」。縦幅が縮小されたファンクションキーにおいて、打ち間違えを減らす効果を持つもの。さらにF1キーとESCキーとの間のバリアは他よりも若干高く設定されていて、これも打ち間違いを少なくしている。
数値キーとファンクションキーの間にはわずかなスペースを設けている。ファンクションキーはほとんどすその無い形状なのでちょうどよく指が引っかかるとともに、強く押してもスペースがあるおかげで数値キーまで押してしまうといった間違いも少ない |
F1キーとその上のESCキーとの間は少し高めのバリアを設けている。F1キーを押した際、これがストッパーとなって直上のESCキーに指がかかってしまうことを防げる。ThinkPadを使い込むと、バリアしかりキートップの形状しかり、"引っかかる"ことがプラスの方向に用いられている、という印象を受ける |
ThinkPadのキーボードへのこだわりはまだまだある。次回は7列キーボードとThinkPadの真骨頂であるトラックポイントについて紹介したい。
(マイコミジャーナル広告企画)
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