ビジネスで使用するさまざまなシーンを想定して、快適な使いやすさを追求したVAIO「type BZ」。堅牢性とセキュリティー性を重視し、先進のテクノロジーを搭載したA4サイズの大画面ノート。実用面もさることながら、機能美もしっかり追求したビジネス用ノートPCだ。

ビジネスに最適な先進のテクノロジーを搭載

VAIO「type BZ」は、堅牢性とセキュリティー性を重視したビジネスユースのA4大画面ノートPCだ。7月16日に発表された「インテル Centrino 2 プロセッサー・テクノロジー」を採用し、プロセッサーは、高速処理を実現しながら優れた省電力設計を誇るインテル Core 2 Duoを採用。T9600/T9400/P8600/P8400の4種類から選択できる。グラフィック・アクセラレーターは、バッテリー駆動時間を重視する「インテル グラフィックス・メディア・アクセラレーター4500MHD」(チップセットに内蔵)を採用。ビジネス向けのPCらしさを主張している。主なインターフェースは以下を参照して欲しい。

堅牢性・信頼性に優れたビジネス用ノートPC VAIO「type BZ」。ディスプレイ上部に有効画素数131万画素のWebカメラ《MOTION EYE》(選択時のみ)と内蔵マイク、本体前面には、左からヘッドホン出力端子、マイク入力端子、“メモリースティック”スロット、SDメモリーカードがある

左側面には、左から電源入力端子、ケンジントンロックスロット、排気口、外部ディスプレイ出力端子、USB2.0コネクター、PCカードスロットがある。PCカードスロットは、ビジネス用途ではまだ十分用途のあるインターフェースだ

右側面には、左からi.Link端子、USB2.0コネクター×2、DVDスーパーマルチドライブ、LANコネクター、電話回線ジャック、電源ボタンが並ぶ。目を引くのは「シリンダーフォルム」。ヒンジとバッテリーを一体化した機能面での工夫がなされている

なお、「type BZ」には店頭モデルはなく、VAIOオーナーメードモデルもしくは法人向けカスタマイズモデルの「VGN-BZAANS」のみの扱いになっている。OSはWindows Vista Business(SP1)正規版の選択のみとなっているが、法人向けカスタマイズモデルでは、Windows XP Professional 正規版(SP2)へのダウングレードモデル「VGN-BZAAFS」と「VGN-BZAAPS」も近日発売予定となっているので、ビジネスの現場では、まだ根強い人気のWindows XPを希望する場合には、こちらの登場を待つのもよいだろう。

ビジネスユースとしての使いやすさを追求

ビジネスユースだからこそ、使いやすさはもっとも重視したいところ。まず、持ち運びを考慮したボディまわりを見てみよう。「type BZ」は、前モデル「type BX」に比べ、薄さは37.8mm(最厚部40.5mm)から29.8mm(最厚部37.7mm)、質量は3.0kgから2.6kg(※1)と、ひとまわり小さく、さらなる軽量化が計られている。バッテリー駆動時間は、標準バッテリーパック(S)で最長約5.5時間を実現。「type BX」より約1.5時間も長く使用できるようになった。なお、バッテリーパック(L)においては約9時間ものロングスタミナを誇っている(※2)
15.4型大画面ワイドディスプレイは、解像度WXGA+(1440×900ドット)の[クリアブラックLE液晶]と、解像度WXGA(1280×800ドット)のノングレア(ノーマル)液晶の2種類から選択できる。ビジネスノートとしての解像度は、WXGA(1280×800ドット)が標準仕様となるが、解像度WXGA+(1440×900ドット)の[クリアブラックLE液晶]は、作業領域が広くとれるため、CADや会計ソフトなどを使う人に向いている。用途に応じて選択するとよいだろう。
※1:クリアブラック液晶選択時。ノーマル液晶選択時は2.7kg
※2:スタミナは仕様選択範囲における最良の数値です。仕様により数値は変わります。

キーボードは約2.5mmのキーストロークと、約19mmのキーピッチを採用し、他モデルのVAIOで採用しているアイソレーションキーボードとは一線を画した、ビジネスシーンのハードな使用を想定したシンプルなデザインになっている。打ってみると、なかなか打ち応えがあり、操作しやすい。キーピッチが広くとられているため、ゆったりとした感じで打ち込むことができる。

キーボードは約2.5mmのキーストロークと、約19mmのキーピッチを採用したシンプルなデザイン。ゆったりとした感じで打ち込むことができる

ボディ側面に多面構造を採用。天板の開閉やサイドのコネクターの抜き差しもしやすく、インジケーターの見やすさも高められている

また、ビジネス用ノートPCとして「分かっているなぁ」と、思わずつぶやいてしまったのが「ACアダプター」。PCを持ち歩く際には少しでも荷物を軽くしたいものだが、そこでネックになるのが意外とACアダプターだったりする。数年前の話になるが、著者は、自宅用と会社用で2つのACアダプターを使っていた。無駄と言われようが何と言われようが、とにかく持ち歩くのが嫌だったのだ。しかし、出張などで出かける際には、大きなACアダプターを持って歩かざるをえなかった。そんな悩みを解決するのが、「type BZ」で選択可能となった新型ACアダプター「スティックACアダプター」である。サイズはW約35mm×H約39mm×D約207mm(本体のみ)と非常にコンパクト。この大きさならカバンの隙間に入れて持ち運ぶことができるので、PCを持ち歩くことの多い人にはぜひお勧めしたい。

高度な技術に支えられた堅牢性と信頼性

type BZ」は、満員電車でカバンに入れたPCを運ぶシーンを想定した加圧試験、走行中の車の座席に無造作に置いたときの振動試験など、ビジネスシーンで起こりうる衝撃や事故を想定した「堅牢性実験」を実施し、信頼性を実証している。また、万一水をこぼしたときでも、30ccの液体をプールし、本体に到達する時間を遅らせることができる「ウォーターレジスト構造」により、あわてずにデータを他の場所へ退避させることができる(※3)
さらに、落下など、急な衝撃や本体の異常な動きを内蔵の3Dセンサーが感知すると、ハードディスクの磁気ヘッドを退避する「VAIOハードディスク・プロテクション」を採用。ディスクの破損を防ぐことができる。設定は「VAIOの設定」で行う。「VAIOの設定」は、[スタートボタン]をクリックして、[すべてのプログラム]-[VAIOの設定]をクリックすると表示される。ハードディスク・プロテクションの機能を有効にするには、[セキュリティ]-[ハードディスクドライブ保護の設定]をクリックすると表示される画面で行う。ここで保護機能を有効/無効の切り換えや、衝撃を感知する衝撃レベルの設定が行える。本体をこわごわ「コンコン」と叩いてみると、感知した衝撃レベルを示すゲージが「ポンポン」と上がった。これほど軽い衝撃も感知できるなら、落下させたときの反応も心配要らないだろう。
※3:ウォーターレジスト構造は、液体をこぼした場合、無破損・無故障を保証するものではありません。
また、PCのデータを保証するものではありません。液体をこぼした場合は、必ず点検(有償)に出してください。

ハードディスク・プロテクションの設定を行う「ハードディスクドライブ保護の設定」画面。保護レベルの感度は、感度低(動作優先)、感度中(標準設定)、感度高(保護優先)の3段階で設定できる。本体を「コンコン」と叩いてみると、衝撃レベルのゲージも「ポンポン」と上がる

幾重にも張り巡らされたセキュリティー機構で情報漏洩をガード

type BZ」は、PCの不正使用や盗難などによる情報漏洩をガードするために、セキュリティー機構を幾重にも張り巡らせている。VAIOが実現するセキュリティー機構には、以下のものがある。

・パワーオン・パスワード……不正使用を防止
・ハードディスク・パスワード……PC盗難時にHDDを守る
・TPMセキュリティーチップ……重要なファイルやデータを暗号化
・FeliCaポート……ID・パスワードの流出を防止
・プライバシーフィルター……覗き見による情報漏洩を防ぐ
・インターネットセキュリティー……インターネット接続時の脅威から保護

これらの詳細については、「VAIOが実現するセキュリティー」にまとめられているので、詳しくはそちらを参照して欲しい。今回はこのうち「パワーオン・パスワード」と「ハードディスク・パスワード」について見てみた。
パワーオン・パスワードとハードディスク・パスワードは、どちらもOS起動前に求められるパスワードだ。まず、電源を投入した際に求められるのがパワーオン・パスワードである。この認証が失敗すればOSは起動しなくなる。パワーオン・パスワードの認証が成功すると、続いてハードディスク・パスワードが求められる。ハードディスク・パスワードの認証に失敗すると、ハードディスクがロックされ、内部のデータにはアクセスできなくなる。
この2つのパスワードの認証が成功すると、ようやくOSのパスワード認証、いわゆるWindowsのログオン画面が表示される。つまりこの2つのパスワードを設定しておけば、PCを立ち上げる際には3つのパスワードが必要になるというわけだ。どちらのパスワードも、工場出荷時設定ではオフになっているため、BIOSの設定画面で設定を行う必要がある。BIOSの設定画面は、電源を入れてVAIOマークが表示されたら[F2]キーを押せば表示される。
ハードディスク・パスワードは、紛失や盗難にあった際、ハードディスクを抜き出されても内部の情報にアクセスできなくなるため、設定しておくと安心な機能だが、パスワードを忘れてしまうと絶対に復旧できなくなるほど強力なものだ。設定する際にはくれぐれもパスワードを忘れないようにしたい。

BIOSの設定画面。PCの電源を入れてVAIOマークが表示されたら[F2]キーを押すと表示される(写真左)。BIOSの設定画面の[Security]タブを選択すると右の写真の状態が表示される。「Set Machine Password」でパワーオン・パスワード、「Hard Disk Password」でハードディスク・パスワード、「TPM State」でTPMセキュリティーチップの設定が行える

さらに、「type BZ」では、BIOSの設定画面の[Advanced]タブを選択すると、BIOSレベルでデバイスの使用制限が設定できる。ソフト的な保護もさることながら、やはり心情的にはハード的な保護に勝るものはない。まさに鬼に金棒的な制限機構だ。設定できるデバイスは以下のようなものがある。

・USBコネクター
・PCカードスロット
・“メモリースティック”スロット
・SDメモリーカードスロット
・ドライブ
・i.Link端子
・ワイヤレスLAN
・LANコネクター

最後にもう1つ、意外と忘れられがちなセキュリティーについて触れておこう。USBメモリーのセキュリティーだ。USBメモリーは、手軽にデータのやりとりができて便利な割には、セキュリティー面では見逃されがちなのではないだろうか。先ほどBIOSレベルでデバイスの使用制限ができると書いたが、そこまでしなくても、「VAIOの設定」では、USBメモリーに対して、書き込み・読み取りのアクセス制限を行うことができる。

「VAIOの設定」で[セキュリティ]-[USBアクセス制限設定]をクリックすると表示される画面で設定を行う

書き込み禁止に設定されている状態でUSBメモリーに書き込もうすると表示される。[再試行]ボタンを押しても書き込みできない