長野県安曇野市にある、エプソンダイレクトのデスクトップPC製造工場。前回はエプソンダイレクトの掲げるサービスの指標「スピード×サービス」についての全体像を説明してもらった。2回目となる今回は実際に製造ラインを見学し、エプソンダイレクトのデスクトップPCがどのように製造されているのかを確認していってみよう。
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実際にデスクトップPCはどのように製造されているのか
工場全体の製造フローは、製造指示受付後、3つの工程(仮組み1、2、3)で、同時に作業が開始できるよう工程設計されている。仮組み1では本体の主要部品の組み立てを、仮組み2ではHDDに自動でデータのインストールが行われる。この仮組み1と2の工程を経たら、本体とHDDを組み合わせて本組みを行い、検査と試験、インストールデータのセットアップへと移っていく。そして、すべてのドライバ・アプリケーション類のセットアップ完了後、注文の構成と間違いがないかを確認する機能検査が行われ、ここを通過した製品のみが仮組み3で揃えられたマニュアル・サプライなどのアクセサリ類と一緒に梱包されるという流れだ。
今回はまず、仮組み1、2の工程と、本組みまでの流れを紹介してゆく。
仮組み1:デジタルピッキングシステムによる間違いのない組み立て
エプソンダイレクトではパーツ組み立ての際、製造番号をキー(以下シリアルキーと表記)とする独自の仕組みがある。これは「デジタルピッキングシステム」と呼ばれ、組み立てにあたって紙の書類に目を通す必要が全くないというものだ。
実際に仮組み1を見ていこう。仮組み1の作業場所を見ると作業をしている人の数は非常に少なく、わずか2~4人で一台の主要部品を取り付け終わってしまう形だ。また作業場所には歩き回らなくても手が届く程度の広さで部品棚がまとめられており、部品棚には部品の種類ごとにランプが取り付けられている。
本体ケースが到着すると必要なパーツを組み立てていくわけだが、ケースには製造番号を元にしたシリアルキーが記入されたラベルが添付されている。バーコードスキャナで添付されたシリアルキーを読み込むと、必要なパーツやケーブルのある棚のランプが点滅し、さらに使用する数量が表示される。そして棚から部品を取り出しランプを押すと消える仕組みになっている。ランプがついている個所の部品をそのまま取り出して組み立てればよいのだから、間違いが起こりづらい。部品棚のランプがついている限り、取り付け忘れている部品があることが判明するようになっている。
このシステムを利用して熟練のスタッフが組み立てを行い、BIOSの更新まで行うと、仮組み1は終了する。
製造番号を読み込むと、必要な部品を納めている部品棚のランプが点滅する(同時に音も出る仕組み)。紙を一切使用しなくても、作業を間違えずに進めることができる(画像クリックで拡大) |
ケーブリングを考えて配線する、熟練のスタッフ。ネジを使用しなくても組み立て可能なケースは、スタッフの負担も軽減していることだろう(画像クリックで拡大) |
仮組み2:OS、ドライバ、アプリケーションをネットワーク経由でHDDにインストール
次に、HDDにOSやドライバ、アプリケーションなどをインストールする仮組み2の工程を見ていこう。こちらでも仮組み1と同様に、デジタルピッキングシステムが活躍している。
仮組み1と同じシリアルキーが記入されたラベルがまわされ、それを読み込むと、本体ケースに組み込むべきHDDが置いてある棚が仮組み1と同様に点滅する。必要なHDDを取り出してインストール作業用PCに接続すると、ネットワーク経由で必要なソフトなどがHDDにインストールされる。自動インストールは約30分ほどで終了し、インストールを終えたHDDは本組みのラインに運ばれていく。シリアルキーを元にして仮組み1と2が同時に進行しているのだ。
本組み:仮組み1、2を組み合わせ、ラベルなどを貼り付けて完成へ
仮組み1、2を終えたケースやHDDは、本組みへと運ばれてくる。本組みでは、この2つを組み合わせ、OSやCPUを示すラベル類の貼り付けを行い、最終的な製品としてのPCを完成させる。届いたケースとHDDのシリアルキーを照合し、組み合わせが間違っていないかをチェック。間違っている場合はここでエラーが表示される。合っている場合は作業用PCに必要なシールや追加パーツが表示されるので、それらを本体に貼り付けたり必要なケースカバーやスロットカバーを取り付けて完成だ。
ここまででハードウェアとしてのPC本体は完成だ。最終回は、今回見ていない「仮組み3」、およびこの後の「安全試験」「ドライバ・アプリケーションのセットアップ」「コンフィグチェック・機能検査」から「梱包」「発送」までの最終工程を見ていくことにしよう。
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