ゲーミングPCといったら、どんな本体が思い浮かぶだろうか? 多くの人は、巨大なケースに収められた重厚長大な姿をイメージするだろう。だがマウスコンピューターの「LITTLEGEAR」シリーズは、Micro-ATXより小さい小型の筐体に、ハイパフォーマンスを凝縮することに成功している。
最新の3Dゲームに対応したPCはどうしてもケースの大きさが大きくなりがちだ。高性能なCPUやグラフィックカードの冷却に強力なエアフローが必要になってしまうし、そのためにはケース内部に大きな空間が必要となるからだ。そもそも、ミドルレンジ以上のグラフィックカードではカード自体の大きさもフルハイト以上となる。こういった問題から、各社ともゲーミングPCでは大型で開口部の大きいケースを採用している。
だが、今回レビューするマウスコンピューターの「LITTLEGEAR L300E2」は、ゲーミングPCながらも、Micro-ATXより小さいサイズを実現している。このサイズに高性能パーツをどのように詰め込んでいるのか? 内部を研究しつつ紹介していきたいと思う。
「SFF規格(Mt.Jade)」に対応したフォームファクタを採用
一番の秘密は、特殊な本体ケースの構造にある。「LITTLEGEAR L300E2」では、通常のPCで使用されることの多いATXやMicro-ATX規格よりもさらに小さい、「SFF」という規格を採用しているのだ。これは通称Mt.Jade(マウントジェード・平均気温5度の環境をもった台湾の山の名前)と呼ばれ、ハイパフォーマンス、キュート、クールなイメージからつけたのだという。マザーボード自体はMicro-ATXのものが搭載できるが、CPUクーラー周囲を独立させ、CPU専用ダクトから効率よく吸気を行うことで、エアフローを向上させている。この構造により、従来より小型のサイズに高性能パーツを搭載可能としている。
ケースを開けたところ。CPUファンの周りのみ独立させた部屋になっているのがわかる。光学ドライブはカバーよりさらに上になる | DVD-Rドライブを外したところ。プラスチックのカバーにより、吸気を独立させている。この構造により、CPUへの吸気を確実なものにしている |
驚くべき小ささ、容積はわずか13L
実際にその大きさの違いを体験すべく、標準的なATXミドルタワーケースと比較してみよう。写真のように、縦横のサイズのみならず、奥行が決定的に短い。容積にすると、わずか13Lだ。ゲーム用のミドルタワーはサイズの関係から机の下に置かれることが多いと思うが、これなら机の上においても問題なさそうだ。ならば拡張性が低いのではないかと思ったが、フロントパネルのインターフェイスは、USB端子、Line out、Mic in、カードリーダーと、必要なものはひと通りそろっている。バックパネルを見る限り、PCIスロット拡張の余裕もありそうだ。ただし、高性能なグラフィックカードを搭載しているため、PCI-Express 16xのすぐ下のスロットは空けておきたい。実際に使用できるのは2スロットと考えるといいだろう。また、G-TuneブランドのゲーミングPCだけあって、マウスには「Microsoft Laser Mouse 6000」が、キーボードには「Logicool Access Keyboard 600」と操作性の良いモデルが付属する。通常メーカー製PCを購入したら、こういったヒューマンインターフェイスは買い換えたくなるのが常だが、これらならそのまま使用してもストレスはなさそうだ。