古くからPCのBTOダイレクト販売を手掛けてきたエプソンダイレクト。堅実な製品作りなどから定評がある企業だが、中でも特徴の一つにあげられるのが業務全体に関わるスピードだ。全製品2日納品、いち早い最新鋭部品の採用、素早い修理・サポート体制など、各工程に渡り迅速な対応が心がけられている。本記事ではそのスピードとそれに関連する秘密を、実際に工場を見学することで3回に分けて紹介してゆく。1回目である今回はエプソンダイレクトのPC製造における基本理念を中心にお届けしよう。

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長野県で育まれるエプソンダイレクトPC

長野県松本市芳川村井町のエプソンダイレクト本社から、さらに車で40分。長野県安曇野市にエプソンダイレクトのデスクトップPC製造工場は存在する。この清涼な空気の流れる静かな環境で、同社の代表作「Endeavor」シリーズは製造されるのだ。なお、ノートPCの製造は、こことは別の下伊那郡にて行われている。スピードをウリとしたサービスを行っているにもかかわらず、広い工場内は整然としており、あわただしさのようなものは感じられない。古くから安定したBTO PC販売を行っているエプソンダイレクトだけに、管理は行き届いているようだ。それではさっそく、エプソンダイレクトの位置づける「スピード×サービス」について伺ってみよう。

長野県安曇野市にある、エプソンダイレクトのデスクトップPC製造工場。広々とした敷地内で、「Endeavor」シリーズが製造される

同工場で製造される「Endeavor」シリーズのフラッグシップモデル「Endeavor Pro4300」Core 2 Extreme QX9650が選択可能になったのも「最新鋭部品の採用」という形で「スピード×サービス」が実施されたため

PCのBTO販売で差を出すためには

エプソンダイレクトの掲げるPC製造のキーワードは「スピード×サービス」。これは部品の採用、組み立て、発送、サポートまで、すべての工程に渡って徹底されているエプソンダイレクトのモットーだ。注文から到着までは、驚きの全製品2日保証。これは国内最短クラスの納期となる。エプソンダイレクトではPCのBTO販売において、細かい差異はあれど、製品のスペックや価格で大きな差を出すのが難しいということを早くから察していた。そのため特徴を出すための最もわかりやすい方法の一つとしてスピード=素早い対応を心掛け、同時にシステムを整えてきた。その長年のノウハウが蓄積され、絶え間なく進化しているのが「EDCS (Epson Direct Computer System)」という仕組みだ。

工場全体の仕組みと、注文から発送までの流れについて説明をしていただいた、調達・技術部、商品技術1グループ係長の横田剛氏

製造番号をキーとし、出荷時構成を一元管理

EDCSは、簡単にいえば、注文からお届けまでのフロー全体を集約したもので、製品在庫を持たないというBTO販売の仕組みを円滑に運営するべくまとめられた業務システムだ。注文があったと同時に、営業・業務や調達・生産管理などの関係部門が、最速で次のとるべき行動の判断が可能となっている。また、一品一品に発番される製造番号をキーに情報が一元管理され、各部門が情報をいつでも必要な時に引き出せる仕組みをとっている。例えば、製造ラインであれば組み立て、インストールからセットアップ、検査、発送にいたるまでの情報を、製造番号からすべて得られるのだ。また、この情報はサポートの際にも使用され、製造番号から出荷時の構成がすぐにわかるようになっている。このようなシステム基盤によって、エプソンダイレクトの「スピード×サービス」が実現されているのだ。

EDCSの概念図。関係部門が密に結びつき、製造番号による一元管理がなされている(画像クリックで拡大)

多種多様なニーズにこたえるために

一括管理のメリットの一例として紹介したいのが、法人向けのサービスとして人気があるキッティングBTOというPC導入時の作業代行だ。これは接続し電源を入れればすぐ使える状態にして各企業ごとにPCを納品するサービスで、HDDのマスターコピーを元にしたデータのプリインストール、ネットワークや各企業が個別に使用するソフトの各種設定、社内管理ラベルの貼付などを行ってもらえる。これは営業部門と製造現場の連携が密接であるからこそできることといえる。実績も年々増加しているとのことで、企業での一括導入を検討している人にとっては、貴重な業務時間を面倒なPC設定にとられないので、見逃せないサービスと言えるだろう。

次回は、実際に工場内を見学し、エプソンダイレクトのノウハウがどのように活かされているのか、また2日納期を実現するシステムとはどういうものなのかを具体的に探っていってみよう。

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