夜行高速バスが渋滞で大遅延

もともとバスは道路事情の影響を受けやすい交通機関で、渋滞が発生すると簡単に遅延するという泣き所がある。しかし、高速バスの安さは魅力的で、特に若い人の間では利用が多いようだ。それに、昼間に比べると夜間は渋滞が少ないので、夜行バスであれば高速道路の本線が渋滞していて酷い目に合うリスクは(昼間よりは)少ない。

もっとも何事にも例外はある。

先日、東名高速経由の夜行高速バスで名古屋まで行ったのだが、首都高速に上がった途端に3号線下りの渋滞に巻き込まれた。自然渋滞と工事渋滞のダブルパンチだった模様で、ちょっと走り出してはすぐ止まることの繰り返し。なんと、東京駅を出発して港北パーキングエリアに到達するまでの段階で、すでに2時間ほどかかってしまった。その後、ドライバーの努力により最終的には30分遅れまで回復したのだが、「なんてこった!」と思ったのは事実だ。

また、早朝に八王子-相模湖間で発生した事故によって中央道が上下線とも通行止めになり、上り線のクルマがすべて相模湖で降ろされて甲州街道に流入、大渋滞を引き起こしたことがある。早朝に新宿に着くはずの夜行高速バスが軒並みこの渋滞に巻き込まれてしまい、本来なら新宿に着いている時間を過ぎているにもかかわらず、まだ大垂水峠の相模湖側をノロノロ走っているという有様だった。筆者はそれを甲州街道の反対車線から眺めていたのだが、乗っていた人はさぞかしゲンナリしたに違いない。

自分だけでなく、他人が起こした事故の影響を受けるのは道路交通の宿命だが、さらに最近では「高速1,000円」の影響で週末の渋滞が激しく、これも定時性を乱す一因になっている。そうでなくても、大都市圏の都心部では日常的に渋滞が起こりやすい傾向があるので、都心のターミナルに向かう高速バスにとっては有り難くない話だ。

都心まで乗らずに手前でバスを乗り捨てる

そこで頭に入れておきたいのが、本来の目的地である都心のターミナルまでバスに乗らないという方法。渋滞しやすい都心部よりも手前で電車に乗り換えることができれば、都心部が渋滞していて時間がかかりそうな時の緊急避難手段として使える。

例えば、東北自動車道方面に向かう高速バスには、都心からいきなり首都高速道路に上がるのではなく、明治通りを通って王子駅前に立ち寄ってから高速に上がるものがある。反対方向も同様だから、都心部で渋滞して時間がかかりそうということであれば、王子駅前でバスを降りて、JR(京浜東北線)あるいは地下鉄(東京メトロ南北線)に乗り換えるという方法が使える。

JR王子駅のバスのりばの地図 資料:JRバス関東

王子駅前。ここで高速バスを降りて京浜東北線、あるいは地下鉄南北線に乗り換えれば、迅速に都心に向かうことができる。降車場は写真の左手、JRの駅は写真の右手だ

王子駅の場合、JRと地下鉄の両方を利用できるので特にポイントが高い。ちなみに、ここからだと都電荒川線も利用できる。

ほかにも似たような例はいろいろある。首都高速と直結していない関越道方面に向かう高速バスは、目白通りを通って練馬ICまで行くのが通例だ。その途中で、下落合駅(西武新宿線)、あるいは練馬駅(西武池袋線。バス停でいうと練馬区役所)の近くを通る。バスを降りてから駅まで少し歩かなければならないが、いずれにしても西武線に鞍替えする方法を利用できそうだ。

また、東名高速道路の江田バス停も同様に東急田園都市線の江田駅・あざみ野駅からさほど遠くないので、東名の上り線あるいは首都高速の3号線や都心環状線が渋滞している場合、江田駅・あざみ野駅で高速バスを捨てて田園都市線に乗り換える方法を使える。

大阪では、「ドリーム号」のように千里ニュータウンを経由して高速に上がるバスがある。この場合、千里ニュータウンのバス停が北大阪急行の桃山台駅に近い。北大阪急行は地下鉄御堂筋線と直結しているから、大阪の中心部まで一直線だ。名古屋でも千種駅前(中央線・地下鉄東山線)、本山(地下鉄東山線・名城線)、星ヶ丘(地下鉄東山線)といった例がある。

駅が近いわけではないが、中央道の上り線であれば、深大寺バス停で降りると三鷹通りが近いので、そこを通る路線バスで布田・調布・吉祥寺に出ることが可能だ。同じ中央道では、府中バス停は西武多摩川線の是政あるいは競艇場前を利用できそうだが、バス停がちょうど両駅の中間位置にあり、中途半端に離れているのは否めない。それに、接続相手が西武多摩川線となると、都心に向かうには武蔵境で中央線に乗り換える必要がある。

バス停と駅が直結していないケースが含まれるものの、高速バスは代替手段を利用できる場合があることを覚えておくと便利だ。ここで紹介した例のほかにも、まだいろいろと似た話はあるはずだ。気になる方は、バス会社のWebサイトで経由地と乗り場の情報を調べてみてはいかがだろう。