ワザその1「1駅2分の原則」

最近では、各種ポータル・サイトなどを中心に電車の乗り換え案内検索を無料で利用できる機会が増えた。だから、出発時刻を入力すれば、目的の駅に何時に着くか正確に把握できるし、着時刻を指定して逆算することもできる。鉄道会社によっては、駅のホームに所要時間の目安を掲出している。

とはいうものの、電車に乗ってしまってから調べようと思うと、いささか事情が異なる。地上を走っている電車なら携帯電話でパッと路線案内サイトに接続して調べられるが、地下鉄では駅以外は圏外だから、思い通りに検索できるかどうかわからない。

そもそも筆者が昔気質なだけかもしれないが、「検索サイトに頼りすぎるのってどうよ」と思うのだ。とりあえず概算できればよいということであれば、筆者の経験則「1駅2分の法則」がそれなりに役立つはずだ。

これはその名の通り、1駅当たりの所要時間を2分と概算して、「2分×駅数」で所要時間を概算するというもの。都心部の駅間距離が1km程度のエリアであれば、これで十分に役に立つ。実際には、本当の所要時間よりもやや長めに出る傾向があるのだが、短めに概算するより良い。

近年では駅ナンバリングの導入が進んでいるので、駅数を計算するのが楽になった。自分がいる駅に割り当てられた番号と、目的の駅に割り当てられた番号の差分を計算すれば済むからだ。

ただし、電車1本だけで済む場合は話は簡単だが、地下鉄を複数回乗り換えるとなると、話がややこしくなる。乗り換えにかかる移動時間と乗り換えた先の電車の待ち時間をプラスしなければならないからだ。

ワザその2「分速60~80mの原則」

地下鉄の駅の構造は、地下鉄各社がWebサイトで駅構内図を公開している場合があるので、それで「近い」か「遠い」かぐらいの判断はできる。場合によっては、路線ごとの乗り換え時間の目安までわかる。

例えば、複雑怪奇な構造で有名な(?)東京メトロ大手町駅について見てみよう。東京メトロのWebサイトでは駅ごとに構内図を掲載しているが、その構内図に路線間の乗り換え時間の目安まで載せてくれている場合があり、大手町駅もその1つだ。

大手町駅の駅構内図 資料:東京メトロ

この図を見ると、「出口案内」の横に「のりかえ時間(分)」として、三角表の形で路線間の乗り換え所要時間が書いてある。これによると、半蔵門線と東西線の乗り換えには6分かかるそうだ。

ところが、同じように複雑怪奇なことで有名な渋谷駅のほうは、「のりかえ時間」の案内が載っていない。これは、地下鉄を乗り換える人はあまりいないという判断だろうか? 一方上野駅のように、他社線まで含めて乗り換え時間を示してくれている場合もあるのだが。

渋谷駅の構内図 資料:東京メトロ

上野駅の構内図 資料:東京メトロ

あと、東京メトロの駅では親切なことに、駅構内の乗り換え案内表示に「○○線 △△m」といった形で距離の情報を併記してくれている。それを利用すれば、あとどれぐらい歩けばよいか、時間を概算できる。

新宿三丁目駅の表示

地下鉄の駅で、距離を表示してくれている例(東京メトロ副都心線・新宿三丁目駅)。例えば、都営新宿線なら485mだから、6~8分が目安になる

この手の指標としては、不動産業界の目安で「分速80m」という数字があるが、時速に直すと時速4.8km。標準的な徒歩の移動速度としては、ちょっと速いと思う。分速60mぐらいで計算するほうが無難かもしれない。

ただ、乗り換え先の路線のホームに着いても、その途端に電車が出て行ってしまったという運の悪い事態に遭遇する可能性がある。平均値を求めるなら運転間隔を2で割ればよいのだが、それでは求めた値より時間がかかるケースが出てくる。そう考えると、運転間隔をまるごとプラスして概算しておくほうが無難だ。

まとめると、路線ごとの所要時間は「2分×駅数」で概算する。さらに、乗り換えが入る場合は、徒歩で移動するための所要時間と乗り換え先路線の運転間隔をプラスする。移動時間が5分、運転間隔が6分なら「プラス11分」というわけだ。

かなりアバウトなやり方だし、郊外に行くと駅間距離が広がることから1駅2分では足りなくなってしまう。しかし、都心部で所要時間を概算するだけなら、この手は案外と使える。騙されたと思って頭の隅に入れておいていただくと、特に地下鉄に乗る際に役に立つことがあるかもしれない。