相場で勝ちたい! 経済的自由を謳歌したい! 誰もがこう思います。しかし、現実は、「買い」と「売り」しかないのに、多くの方が、夢破れて、相場の世界から去ってゆきます。なぜでしょうか……。

ある人は、相場の張り方が問題だ!と言います。また、ある人は、メンタルが問題だ!と言います。どちらが正しいのでしょうか……。

どちらも正しく、そして、相場で生き残るためには、相場の正しい張り方と、これを運用するための「メンタル」が必要になります。結論から書けば、「全戦全勝」というような売買ルールは、どこにも存在しません。情報商材のセールスレターには、「驚異の勝率90%」、「過去10年間負けなし」という文言が踊りますが、これらは、すべて「100%過大広告」です。

これまで、300以上の情報商材を購入しました。驚異の勝率90%は、90%の勝率でも、「稼げない手法」であり、過去10年負けなしの「ドローダウン」は、到底、許容できるものではありませんでした。自動売買システムであろうが、裁量取引であろうが、勝つためには、最低でも以下の「ルール」が必要です。

エントリー(入口)

  1. 売買シグナル
  2. フィルター(売買シグナルを間引くための条件)

エグジット(出口)

  1. 利益確保
  2. 損切り

全ての条件を数式化できるのなら、裁量取引が、自動売買に勝つことはありません。各種条件が決まっているのなら、機械に任せたほうが、「完璧」です。機械による自動売買取引は、決めたルールを、完璧なまでに遂行してくれます。機械は感情を持ちません。エントリーや損切りに、迷いはありません。システム・トレードとは、ルールを確実に運用する手段です。システム・トレードは、ルールが全てなのです。

システム・トレードを実行するために必要なものは以下の3点です。

  1. 証券口座
  2. 投資資金
  3. プログラムを読み書きする力!

(1)と(2)は説明は要らないかと思います。(3)は、ぜひとも学んで頂きたいと考えています。決して、難しいことではありません。

たとえば、あるプログラム言語で、「成り行きで買い」とするときの命令文は以下の一行です。

Buy ("Buy") 1 Contracts Next Bar At Market;

どうですか? 簡単な英語が並んでいるだけです。

1枚(Contracts)を、次のバー(Next Bar:ろうそく足)で、成り行き(At Market)で買い(Buy)。

私には、難しい、無理と考えないでください。このシリーズでは、システムトレードの正しい知識を無理なく身につけてもらうと同時に、プログラムを読み書きする力もアップしてもらえるような内容構成を念頭においています。これから隔週掲載となりますが、私と一緒に少しずつシステムトレードの正しい知識を見につけていってくださいね。

(イラスト : チカダジロー)

マイコミジャーナル上にて連載しておりました『システムトレードの教科書』をご執筆いただいておりました田中勝博先生が2月9日、お亡くなりになられました。 享年47歳でした。心よりご冥福をお祈りいたします。