"Korea"を「こりあ」と言っても通じません
前回紹介した発音のコツ「大きな声で、大きく口を開けて話す」はうまくできるようになったでしょうか。加えて、vowelチャートにあるように音を出せたら、英単語の発音はかなりうまくなっているはずなのですが、いかがでしょう? 今回も引き続き英語らしく話すためのコツをいくつかお話ししましょう。
まずは英語らしいリズミカルな話し方をするためのコツからです。英語のリズムを作り出しているのはword stress(アクセント)とstressed words(文章の中で強調する単語)です。平坦に話す日本語とはまったく違うので、母音同様、日本人にはとても難しいところかもしれません。ですが、これができるようになると英語らしくなるうえに、理解してもらえる度合も上がります。
最初のword stressについて。英語の場合、word stressは基本的に1つしかない、つまり、はっきりと母音を発音するところは1つしかないんです。Koreaはどう発音しますか? 「くりぃぁ」です。「こりあ」のようにすべての母音を発音してはいけません。この単語はKo-re-aの3つのsyllablesで構成される単語で、stressは2つめのsyllableにあります。そのほかの母音文字の部分は便宜上発音記号を表記しますが、実際にはほとんど音がないschwa sound(あいまい母音)と呼ばれる部分です。2つめの"re"だけ音があり、ほかは子音のみを発音しようとすると…「くりぃぁ」になりますね。第5回でリスニングの話をしたときに「正しい発音を知っておくことが大切」と説明しましたが、正しい発音とはどこにstressがあるかもあわせて知っておかないといけません。stressがあるところ以外は子音のみを発音するルールを知っていれば、発音記号を見ただけで"pattern"が「ぺぇだん」になるのも理解できるのではないでしょうか。
平坦さからの脱出
もうひとつのstressed wordsも英語のリズムをつくり出すのに欠かせない要素です。こちらは英文法に強い日本人なら理解しやすいところなので、word stressよりも簡単にできるようになるかもしれません。名詞、動詞、形容詞などcontent wordsに分類される単語はstressed(強調)で、冠詞や助動詞、代名詞などfunction wordsに分類さえれる単語はunstressed(強調しない)というルールです。英文法を意識しなくても言いたいことを伝えるために必要な単語を強調すればいいだけなので、どの単語を強調するかすぐにわかるでしょう。問題があるとすれば、強調のしかたが足りなくて平坦な発音から抜け出せないところかもしれません。
私の場合、自分では十分に強調したつもりでも、思ったほどリズミカルにはなっていなかった経験が多々あります。私が英語を勉強した学校では自分の声を録音して、正しい発音と比較できるようなソフトウェアを使ってトレーニングします。初めてトライしたときは自分の英語があまりにもひどくてがっかりしました。その後、何十回も練習して、なんとかそのソフトウェアでトレーニングしている間はそれらしい発音になってきましたが、そこを離れるとなかなかうまくできません。NPRのニュースを聞いて要約を書いて録音する宿題を何度もやりましたが、なかなかキャスターのようにリズミカルな英語にはなりませんでした。
英語らしいリズミカルな発音になったとは言いがたいのですが、自分の声を録音して聞くのはとても勉強になりましたので、みなさんもぜひお試しください。第4回で紹介したNPRのニュースなど、正しい発音やリズムがわかるものを選んで、録音して比較してみてください。自分の悪いところやうまい発音になっているところがわかるので、どうすれば改善するかもわかるはずです。
英語らしい順番で話すクセをつける
話し方のコツの最後は、物事を英語らしい順番で言うことです。リーディングでもリスニングでも、最初の部分に結論相当のtopic sentenceがあるという説明をしてきましたが、物事を話すときもtopic、あるいはpointは何なのかから言うのが英語の基本です。そして、topicやpoint、あるいは結論をサポートする例や詳細を追加するという順番です。たとえば、カンファレンスで何かを質問したい場合には、まず質問が何のかを簡潔にはっきりと述べた後でどうしてその質問をするにいたったかを詳細に説明するという順番です。日本語の場合、状況などの詳細を説明したあとで「だからこういう質問をしたいんです!」という順番になりがちですが、英語でこれをやると相手を混乱させてしまう可能性大です。
タイ料理のレストランで隣りに座ったカップルと話をしたときのことです。ここのタイ料理はおいしい、という内容のことを、自分の日本での経験を伝え、だからここはおいしいんだよ、という順番で話そうとしていました。すると、経験を話しはじめたところで、カップルは困った顔をしはじめ、「それで、ここはいいの? 悪いの?」と質問してきました。この質問を聞いて、「あ、いけない! やってしまった!!」と気づき、"いい"という結論をはっきりいうと二人は満足してくれました。英語らしい発音同様、とっさの会話で英語らしい順番でものを言うのもなかなかできないので、常に気を付けておかないといけません。
米国で英語を話す人たちは、とてもよくしゃべります。これは普段からpointを述べた後、そのpointが意図どおりに相手に伝わるように詳細説明をいろいろ追加するためではないかと思います。日本社会は均一で、人々の考え方も均質で、「こう表現したらこれを意味しているのはわかるはず」という仮定が成り立つ世界なので、あまり詳しく説明しなくてもお互いに誤解もなくわかりあえてしまうところがあります。しかし、米国社会はdiversityあるいはcultural diversityという言葉を頻繁に見聞きするところで、外国人あるいは元外国人だらけの国です。相手がどのようなバックグラウンドをもっているかを仮定せず、どのような相手でもお互いを理解しあうために、「なぜなのか」「どうしてそう思ったのか」などをどんどん追加して意図が正しく伝わるように話します。理解してもらえるように話すには文化の違いを知っておくのもコツですね。
話し方のコツをいくつか取り上げましたが、参考になったでしょうか。英語らしい発音を身につけるのは至難の技かもしれませんが、英語らしい順番で物事を言う、つまりtopicやpointから話しを始める点は気を付ければできるようになるはずです。しかも、効果も高いので、英語を話す機会があったらぜひお試しください。
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