KDDIは10月3日、組み込み開発者とWeb開発者向けにFirefox OSをベースとした開発ボード「Open Web Board」と、PCブラウザ上の操作だけで電子機器同士の連携プログラミングが容易に実現できるアプリケーション開発ツール「Gluin」を開発者に提供すると発表した。
KDDIでは、開発ボード「Open Web Board」と、アプリケーション開発ツール「Gluin」を合わせて「クリエイティブプラットフォーム」と呼んでおり、ハッカソンやアイディアソンなどを、今後定期的に開催していく予定だ。ただ、現時点で開発ボードの配布数は1000個と限定されている。
今後の配布に先立って、Firefox OSの開発元であるMozillaの日本法人「Mozilla Japan」が5日に東京都・千代田区で開催する「Mozilla Open Web Day in Tokyo」で、クリエイティブプラットフォームのデモンストレーションを行なう。
同日には、KDDIがFirefox OSに関する開発者向けイベントの情報発信を行なうコミュニティサイト「au Firefox OS Portal Site」を開設。KDDIによる情報発信だけではなく、開発者自身が作った成果物を投稿できたり、アイディアを共有できるサイトにしていくとしている。
Open Web Boardは、HDMI端子とUSB端子、microUSB端子を備えており、BluetoothやWi-Fiにも対応。市販のZigbee通信モジュールを接続することで、幅広い組み込み電子機器との連携が可能になる。
一方、アプリケーション開発ツール「Gluin」は、Open Web Boardや英ARMのmbed機器などの組み込み型機器をWeb上で一元的に管理できるツールで、これらの機器間が連携するプログラミングをGUIで完結できる。これまではC言語などのプログラミング言語を必要としていたが、GUIで機器をつなぎ合わせられるため、組み込み開発者のみならず、Web開発者でも、簡単に組み込み機器の連携などが実現できるという。
Firefox OSのメリットは?
開発ボードはあくまで開発ボードであり、Firefox OSベースといってもユーザーにとって「Firefox OS」であることを意識する点は少ない。
KDDI広報部によると「この開発ボードは、組み込み機器をWebに繋ぐゲートウェイであるだけ」だという。しかし、そのゲートウェイであることが重要だと続けて話す。
「アプリケーション開発ツールは、Web技術を用いているため、Firefox OSとの親和性が非常に高いんです」(広報部)
同社は2013年からFirefox OS端末の市場投入を明言しているが、今回の発表が直接「Firefoxスマホ」に繋がるわけではないという。同社が見据えているのは、スマートフォンという近い未来だけではなく、Web開発全体の未来のようだ。
「Web技術(Firefox OSはHTML5でアプリ開発ができる)の活用は、これまでの特定OS向けの開発環境に依存せず、新たな開発者の拡がりに繋がり、アプリ市場の裾野が広がると思います。開発者の拡がりは、Mozillaが力を入れている若年層からのWeb開発者教育というところにも繋がる。小さい頃からアプリ開発に触れることで、Webが持つ新たな世界、IoT(Internet of Things)/WoT(Web of Things)の世界を、より手軽に実現できます。
HTML5でアプリ開発ができるFirefox OSは、本物のオープンソースOSですし、そういったものが拡がると、今まで組み込み機器の連携しかやってこなかった人がWeb開発の世界に足を運んでくれるし、逆もまた同じ。そうしてFirefox OSの世界に触れた人たちが"Firefoxスマホ"を目にすれば、何かできるかもと期待を持ってもらえるし、実際に親和性も出てくると思っています」(広報部)