ゲッティ イメージズ ジャパンは、スポーツ報道写真事業への取り組みに関して、ソチ冬季五輪での成果、および今後開催される2020年東京オリンピックやワールドカップへの取り組みに関する記者説明会を行った。
「Connect API」を活用したNAVERまとめへの画像提供 |
SNSなどで同社のコンテンツを非商用利用できる「画像埋め込み機能」 |
2013年に実施されたフォトグラファー向け実践型プログラム「iStockalypse」は今後も開催予定とのこと |
説明会の冒頭では、ゲッティ イメージズのここ最近の新たな動きなどについて、ゲッティ イメージズ ジャパンの永田毅俊ディレクターから説明が行われた。世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーとして写真・イラスト素材や報道写真を提供している同社だが、近年は新たな写真の提供方法を提示しており、「Connect API」を活用してNAVERまとめなどでの同社コンテンツの利用を可能とした。
さらに、2014年には非商用目的であれば無料で利用できる「画像埋め込み機能」により、Webサイトやブログ、SNSでの画像利用が手軽に、しかも無料で行えるようになった。こういった取り組みでの利益確保について現場で質問が飛んだが、同社はこうした取り組みにはまず「規模が大切」と考えているとのこと。類似モデルとして動画サービスの「YouTube」を挙げ、拡大した後に広告などを展開していけたらと述べた。
その後、ゲッティ イメージズ ヴァイスプレジデント スポーツイメージ&オペレーション部門担当 ケン・マイナルディス(Ken Mainardis)氏が登壇。2014年2月に開催されたソチオリンピックにおける成果を紹介しながら、同社ならではの強みを語った。
ソチオリンピックに関して、同社は冬季オリンピックとしては過去最大の体制で臨んだ。そして、競合他社と比較した際、同社所属のフォトグラファーたちが"専門のプロ"であることを強調。アルペンスキー、ボートレース、F1など、さまざまな分野での専門家たるフォトグラファーを抱えているからこそ、専門家の目で競技中の動きをとらえ、数多くの決定的瞬間を撮影できるのだと語った。
それを示す例として、マイナルディス氏はソチオリンピックで撮影された複数の写真を公開した。スノーボード競技で圧倒的な強さを誇ることで知られるショーン・ホワイトだが、今冬は表彰台を逃した。その彼がハーフパイプで失敗した瞬間を唯一大手エージェンシーとしてとらえたのは同社であり、専門家の目で理解したからこそ撮れた1枚であるとコメント。また、日本選手が多く活躍したフィギュアスケートにおいて、鈴木明子選手の演技を撮影した1枚も公開。これは多重露出によって、リンクに描かれた五輪で鈴木選手の周りを装飾したアート性の高い1枚だ。
そのほか、同社が力を入れているインタラクティブフォトグラフィーによって、国際オリンピック委員会(IOC)とバーチャルツアーのWebページを構築した。会場の中を探索しているような体験ができるこのコンテンツでは、開会式中の様子に加え、フィギュアスケートで金メダルを獲得した羽生結弦選手が滑っている際のリンクをとらえたものもある。
バーチャルツアーのいちコンテンツでは、羽生結弦選手が演技をしている時のリンク内を見渡すこともできる |
ビジュアルのプロが語る、2020年東京オリンピックへの期待
マイナルディス氏は、こうした流れを受けた上で、2020年東京オリンピックについての展望を語った。さきのロンドンオリンピックでは、Webコンテンツへのアクセスのうち、60%はモバイル端末から行われていたという。すでにGoogle Glassなどのウェアラブルデバイスの開発が進められていることもあり、2020年にはコンテンツの受容方法、ひいてはフォトグラフィーの市場が現在と比べて変化しているだろうと予想した。
同氏は、そんな不確定な情勢を予想した上で、「確実に言えること」はふたつあるとしている。ひとつは、「完璧なオリンピックはありえない」ということだ。各開催都市は、五輪大会を開催するにあたり、必ず何かしらの課題に直面するという。ロンドンは安全保障や輸送面の課題に直面し、北京は同国の文化そのものが課題となったという前例を挙げた。マイナルディス氏は、これから2度目のオリンピックを迎える東京にも例外なく課題は発生するとしながらも、「疑いも無く素晴らしいオリンピックを開催することはできると信じています」と期待を寄せた。
そして、ふたつめには、写真というかたちで全世界に情報が発信されるにあたり、オリンピック開催都市の「独自の場所」を示さなくてはならないとコメント。報道スポーツ写真を撮影する同社から見て、アイコン的な街の特徴的な文脈のなかで捉えることで、視覚的効果が高まるという。多くの大会ではこのポイントを逃すことも多いというが、ロンドンやリオでは、その都市の雰囲気を伝えることに成功しているとのこと。同氏は「6年後、東京がどんな素晴らしいものを提供してくれるか待ち望んでいる」と締めくくった。