JAWBONE MINI JAMBOXで初めて音楽を聴いたとき、思わず「うそ? 」と口走ってしまった。目の前の小さなスピーカーから流れてきた音が、想像とまるで違うものだったからだ。音質、音圧、音量、そのどれもが期待をはるかに上回っていた。この驚きを、どうやって言葉で表現したら良いだろうか。いま悩みつつ、本稿を書き始めている。

JAWBONEの新製品、MINI JAMBOX。定価は21,800円。アップルストアで先行発売するほか、11月下旬から全国の家電量販店でも取り扱いを開始する

仕様をチェック

まずは仕様をおさらいしよう。ボディの上端にはプレイボタンとボリュームボタンを備える。プレイボタンでは再生/ 一時停止のほか、2回押すとトラックの先送り、3回押すとトラックの逆戻しが可能だ。ボディの側面には電源ボタン、ペアリングボタンのほか、フリーハンド通話で使うマイク、充電用のmicro USB端子、および音声入力端子を備える。

同梱される内容(写真左)。ボディの上端にはプレイボタンとボリュームボタンを備える(写真右)。サイズは154(W)×58(H)×24.5(D)、質量は255g

1枚のアルミ押し出し材から形作られたボディが高級感を演出する。部屋のインテリアにも溶けこむことだろう。カラーバリエーションはレッドドット/ シルバードット/ グラファイトファセット/ ブルーダイヤモンド/ アクアスケール/ パープルスノーフレークの6色を用意。省電力仕様のBluetooth ver.4.0採用により、最大で10時間もの連続再生が行える(待受時間は最大で75時間)。このほか8台までの端末を登録でき、2台の端末と同時接続できる。

背面の様子(写真左)。色によりボディデザインは異なる。側面には音声入力端子を配置しており(写真右)、オーディオ端末とは有線でも接続できる

いろいろ聴いてみた

実際に、いろいろな音楽を聴いてみることにした。まずはJAWBONE社の製品開発部門責任者ヨーゲン・ノルディン氏の出身地にちなみ、スウェーデン出身のグループABBAの「Mamma Mia」を聴いた。各音域がよく鳴っている印象で、そのためか他のスピーカー製品では聴きとれなかったような音まで鮮明に聴こえてくる。ビートの強い箇所では、スピーカー全体が振動する。音の臨場感が半端なく、まるでライブ会場でアーティストの生音を聴いているかのような感覚に陥った。

ビートの強い音楽を聴くと、スピーカー全体が振動する

MINI JAMBOXのような良いスピーカーで音を聴くと、耳が洗われるような心持ちがする。今回、日常的に使用していたスピーカーが「いかにダメな製品だったか」がよく分かった次第だ。これまで行ってきた他社製スピーカーへの投資は、いったい何だったんだろう。まさに「マンマ・ミーア(何てこった)」、といった思いに駆られた。

スピーカーの正面で聞くと、音が立体的に聞こえてくる。これは3Dサウンド体験を可能にするソフトウェア「LiveAudio」によるものだ。目の前の小さなスピーカーが鳴っているはずなのに、右からも左からも音が聴こえてくる。不思議な錯覚である。

iOSおよびAndroidスマートフォン向けに専用アプリを用意。音声操作案内機能のカスタマイズや、好みのプレイリストの取り込みなどを行える

その後もロックやジャズ、クラシックなどジャンルにこだわらず好きな音楽を聴き続けてみた。スピーカー製品には、ユーザーが任意で音質を調節できる機能をもつものも多い。しかしこのMINI JAMBOXでは、様々なジャンルの音楽に対応できるようなチューニングがあらかじめ施されている。そのため、オーディオに詳しくない人でも常に最高の状態で音楽が楽しめることだろう。

部屋でも外でも、これ1台

本体サイズが小さいにも関わらず、驚くほど大きな音量が出せるMINI JAMBOX。音圧の強さも大型スピーカー並みである。例えば、自家用車のような狭い空間で聴くには充分すぎる。ちょっとした広さのあるリビングでも、恐らくボリュームをMAXにする必要はないだろう。用途を限定せず、据え置きでもモバイルでも幅広く利用できそうだ。ちなみにMINI JAMBOXの販売を行うトリニティのホームページには「リンゴ1個分(255グラム)ほどの重さしかない」と紹介されている。自宅で実際に試してみたところ、柿1個とほぼ同じ重さであることが分かった。

柿1個分ほどの重さしかないにも関わらず、驚くほど大きな音量が出せる

スピーカーが貧弱なノートPCやポータブルDVDプレイヤーにつなぐ、などの利用方法も考えられる。筆者は自室に小型テレビを置いているが、標準搭載されている非力なスピーカーに前から不満を抱いていた。そこで、テレビとMINI JAMBOXを有線でつないでみたところ、平板だった音に奥行きが出て迫力が増した。これで映画鑑賞の魅力も倍増することだろう。

ノートPCやポータブルDVDプレイヤーにつないで映画を楽しむ、などの利用方法も考えられる

学生時代に夢中になって聴いていた音楽も、いつの頃からか聴かなくなってしまった。その理由について、これまでは「忙しくなったから」だと思っていた。でも、それが理由の全てではなかったようだ。最近は忙しいにも関わらず、このMINI JAMBOXで音楽を楽しむ時間を大切にしている。筆者の場合、使っているスピーカーが悪かったために、知らず知らずのうちに「音楽」そのものへの興味が薄れていたように思う。MINI JAMBOXはそれに気付かせ、音楽を聴く楽しみを改めて思い出させてくれたのだった。

(記事提供:AndroWire編集部)