説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone 5は4Sより画面が大きいのに、どうして軽く・薄くできたの?」という質問に答えます。

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2012年9月に発売されたiPhone 5は、本体重量が前モデルiPhone 4Sの140gから112gへと約20%軽量化されました。本体の厚みも9.3mmから7.6mmへと、約18%薄くなっています。液晶画面のサイズアップと高精細化、さらに処理速度向上を実現したにもかかわらずです。

iPhone 5の薄型化を実現した最大の理由と考えられるのは、液晶パネルの改良です。4SまでのiPhoneは「投影型」というタッチ方式を継続採用していましたが、iPhone 5のRetinaディスプレイではタッチ用電極層をなくし、タッチを感知する膜をパネル内部に配置した「インセル型」を採用しました。これにより、タッチパネルユニットを別途用意する必要がなくなり、そのぶん薄くなったというわけです。

軽量化には、一体形成された本体(ユニボディ)が大きく貢献していると考えられます。iPhone 4と4Sは、本体側面がステンレススチールバンドで囲まれていましたが、ユニボディにより剛性を高めたiPhone 5では不要になりました。

主要部品も見直されました。たとえば、Appleが設計したCPU「Apple A6」は、高速化を図りつつ22%もの小型化を実現しています。内蔵のiSightカメラも、従来比20%小さくなりました。Dockに代わり採用されたLightningコネクタも、小型化/軽量化に関係しています。

以上のように構成部品の徹底した見直しが行われたiPhone 5ですが、そこで歩みを止めたわけではありません。以降発表された他のスマートフォンや、部品を供給する各デバイスメーカーの新技術を見ると、まだ軽量化/薄型化する余地があるといえます。約2年間隔でボディデザインが一新されているiPhoneですから、次の大変更があると予想される2014年秋に期待しましょう。

写真で解説

画面サイズが拡大したにもかかわらず、前モデルより薄く/軽くなった「iPhone 5」。その理由は徹底した構成部品の見直しにあります