ブランド総合研究所がスマートフォンユーザーを対象に行ったスマートフォンのサポートサービスに関する意識調査結果を公表した。同調査は、スマートフォンが世代を問わず急速な普及を遂げていることを背景に、疑問や不安を抱えるユーザーも増加しているために行われたもの。
結果では9割近いユーザーがスマートフォン利用時に不安を覚えた経験があり、7割以上のユーザーが企業のより手厚いサポートを希望していることが明らかとなった。本稿では、調査結果の詳細と現時点での通信各社のサポートサービスの状況を確認していく。
「スマートフォンのサポートサービスに関する意識調査結果」
ブランド総合研究所が実施した調査は、20代から60代のスマートフォンユーザーを対象にインターネット調査の手法で実施され、有効回答は1,186人。調査期間は6月14日から17日まで。
今回の調査結果としてはまず、スマートフォン利用時に「不安になった経験があるか?」を尋ねたところ、全体の85.3%と大部分のユーザーが「不安を覚えたことがある」と回答した。年代別では、もっとも不安を感じた割合が高いのは意外にも20代で87.9%、もっとも割合が低かった50代でも82.4%が不安を感じており、年齢にかかわらず多くのスマートフォンユーザーが不安を感じた経験があることがわかった。
また、具体的にどういう場面で不安になったかを聞いた質問では、年代別の結果で特徴が見られた。60代の「何がわからないかもわからない時」(22.2%)、「どんなアプリがいいのかわからない」(21.2%)という回答が他年代と比べて多く寄せられ、スマートフォンのそもそもの使い方の部分で不安を感じているユーザーも少なくないことが明らかになった。
続いて、スマートフォン利用時の不安や疑問について「解決せずに諦めたことがあるか? 」を質問したところ、全体の57.2%と過半数のユーザーが「諦めたことがある」と回答した。年代別でみると、諦めた経験のある割合がもっとも高いのは20代で63.6%、次いで高いのは60代で58.3%だった。さらに「諦めたことがある」と回答したユーザーに対し、理由を尋ねたところ、「自分で解決しようとしたができなかった」(41.2%)、「人に上手く説明ができないため」(26.4%)、「相談したが分かる人がいなかったため」(24.0%)などの回答が多く寄せられた。これらの回答をまとめると、スマートフォンの疑問や不安を「誰にも相談できなかった/しなかった」ために解決できなかった割合は、諦めた経験のあるユーザーの75.2%に上り、4人に3人が疑問や不安を一人で抱え込んでいたことを示す結果となった。
スマートフォンに関する不安や疑問の解決方法を尋ねた質問への回答では、年代別で顕著な違いが表れた。20代では「インターネットで解決策を検索」「家族や友人・知人等に相談」という回答が他年代と比べて多く、年代が高くなるにつれ「自分で様々な操作を試みる」「取扱説明書を読む」という回答の割合が高くなった。とりわけ、若年層がインターネットや周囲の情報を参考にする傾向にあるのに対し、高年齢層は自分自身で解決しようとする傾向があるのが読み取れる。また、不安や疑問の解決方法において、企業が提供するサポートサービスを利用したことがあるかを質問したところ、51.9%のユーザーが「利用した経験がある」と回答した。具体的にどのような方法で利用したかという質問への回答では、「携帯電話ショップの店頭」が52.2%でもっとも多く、次いで「ホームページの閲覧」が48.1%だった。年代別では、60代の「携帯電話ショップの店頭」の利用経験が66.4%で他年代と比べて多く、一方で「ホームページの閲覧」は32.1%と少なかった。
最後に、「企業が提供するサポートサービスの充実を求めているか?」を尋ねたところ、全体の73.9%が「充実してほしい」と回答。具体的に、どのようなサポートサービスを求めているかを質問すると、「メール・電話でいつでも相談できる」という回答が46.2%でもっとも多く、次いで「担当者が違っても今までの相談内容を把握してくれている」(40.6%)という回答が寄せられた。年代別の結果では、20代・50代・60代でとりわけ「メール・電話でいつでも相談できる」「担当者が違っても今までの相談内容を把握してくれている」という要望が強いことがわかった。
なお、企業が提供するサポートサービスに求める点を自由回答で尋ねたところ、「24時間受付で、切羽詰まっているときにすぐ助けてほしい」(50代男性)、「担当者とすぐつなげてほしい」(60代女性)といった「いつでも・すぐに」対応してほしいという意見が挙げられた。また、「アンドロイドなど、今さら聞けない初歩の単語からわかりやすく説明してほしい。お金を払ってでも勉強したい」(60代女性)、「使いたい機種を購入前に試用してみたい」(50代男性)といったユーザーに寄り添った親身な対応を求める声も寄せられた。
通信各社のサポートサービスをチェック!
今回の調査では、スマートフォンユーザーの7割以上が企業のサポートサービスの充実を求めていることがわかった。また、具体的には、メールや電話でいつでもすぐに相談できることや、ユーザーに寄り添った親身な対応を期待する声が挙げられた。それでは、通信各社の現在のサポートサービスがどのようになっているのか確認してみよう。
まず、NTTドコモの電話サポートでは、スマートフォン専用の窓口は用意されておらず、総合窓口の「151」に問い合わせることとなる。年中無休だが、受付時間は午前9時から午後8時までと限られている。また、紛失・盗難対策や遠隔サポートとしては、月額630円の「あんしんパック」を用意している。
続いてソフトバンクモバイルでは、電話サポートとしてスマートフォン向けの問い合わせ窓口「iPhoneテクニカルサポートセンター」「スマートフォンテクニカルサポートセンター」を用意している。自動音声による回線停止や料金プランの確認などは24時間対応となっているが、オペレーターが対応する操作に関する問い合わせは、平日は午前9時から午後7時まで、土日祝日は午前9時から午後5時までに限定される。また、紛失・盗難対策としては、「iPhone基本パック」「スマートフォン基本パック」を用意。それぞれ、月額498円のサービスとなるが、遠隔サポートには対応していないほか、遠隔操作で端末をロックするサービスはAndroidスマートフォンのみに提供される。
一方、KDDIは6月6日よりスマートフォンに詳しい専門アドバイザーによる電話サポートが24時間利用できる「auスマートサポート」の提供を開始。同サービスは午後11時から午前9時までの利用には事前予約が必要となるが、日中に時間を確保できないユーザーにとっては便利だろう。加えて、Androidスマートフォンであれば、アドバイザーによる遠隔サポートや紛失・盗難に遭った場合の遠隔ロック、位置検索サービスも利用可能となっている。
利用料金は、最初の3カ月が3,150円(加入月のみの支払い)。4カ月目以降は月額399円となる。さらに、ユーザーの自宅にスタッフが直接訪れ、スマートフォンの設定方法や使い方を説明してくれる「スマホ訪問サポート」(追加費用1回あたり8,925円)も用意している。また、会員特典として15日間の「スマホお試しレンタル」も提供される。他の2社に先駈けて24時間対応のサポートサービスを導入し、手厚いサポート内容となっているのが特長だ。
* * *
ブランド総合研究所が実施した調査では、スマートフォンユーザーの9割近くが利用時に不安を覚えたことがあるものの、解決せずに諦めてしまった経験があるユーザーも約6割に上る結果となった。また、諦めた経験のあるユーザーのうち、4人に3人は誰にも相談できずに、一人で疑問や不安を抱え込んでいたことが明らかになった。
スマートフォンユーザーが疑問や不安を抱えたときに求められるのが、通信キャリアによるサポートサービスだが、調査結果では7割以上のユーザーがより手厚いサポートを求めていることが示された。具体的には、いつでもすぐにサポートを受けられることや、ユーザーに寄り添った親身な対応などが挙げられている。各社ともにサポートサービスは用意しているが、KDDIの「auスマートサポート」は、24時間対応やスマホのレンタルサービスなどの新たな取り組みを開始しており、今後のユーザーからの反応も気になるところだ。