説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneで撮影したムービーをパソコンで再生できない!?」という質問に答えます。
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iPhoneに内蔵のカメラは、静止画のほかに動画の撮影にも対応しています。ファイルフォーマットは静止画がJPEG、動画が「H.264/MPEG-4 AVC」(「H.264」と略して呼ばれることが一般的です)に固定され、他のフォーマットに変更できません。
JPEGについては、Webブラウザを利用できる程度の性能を持ったパソコンであれば対応していますので、ほとんど心配いりませんが、H.264動画については数年前のパソコンでは再生できないことがあります。その理由は、パソコンのOSあるいはそのパソコンに導入されている動画再生ソフトが、H.264動画をサポートしていないからです。
Macの場合、システム(OS X)に標準装備の「QuickTime」というソフトウェアにより、H.264の再生がサポートされています。Windowsの場合も、iTunesとともにインストールされるWindows用QuickTimeがあれば、iPhoneで撮影したH.264動画の再生が可能になります。
なお、H.264という動画フォーマットは圧縮率が高く、再生時には高い演算能力が必要とされます。つまり、高性能なCPUを搭載したパソコンでなければ、滑らかな再生は得られません。一口には言えませんが、5~6年以上前のパソコンでは荷が重いでしょう。
この問題は、動画の扱いに長けたハードウェア(チップ)を搭載することで、解決が図られてきました。システム全体の処理を担うCPUではなく、H.264など動画に特化したICに処理を割り振ることにより、負荷が高いH.264動画の録画/再生をハードウェア的に処理します。そのようなICを搭載したパソコンであれば、iPhoneで撮影したフルHD品質の動画も軽々再生できます。
これは、iPhoneでも事情は同じです。iPhoneには、H.264の録画/再生に対応したチップ(エンコーダ/デコーダ)が搭載されているので、かつてパソコンでも負荷が高く扱いづらいとされていたH.264動画を無理なく扱うことができるのです。