4月8日に発表された「Facebook Home」はAndroid用のホームアプリ。日本でも4月17日から一部対応機種で利用可能になった。果たしてFacebook Homeとはなんなのかを画面を見ながら探ってみよう。

Facebookのヘビーユーザーには便利なアプリ

Facebookの新しい「戦略」とも言えるFacebook Homeは、簡単に言えばAndroidのホーム画面にFacebookの写真付きのニュースフィードを表示するアプリだ。しかしそれだけではなく、このアプリだけでFacebookのアクションとAndroidの操作をある程度実行できるものになっている。

Androidをスリープから呼び出すとFacebook Home画面が表示される

普通、Androidをスリープから呼び出したときに表示されるのはAndroidの機種別のログイン画面で、ここからアプリアイコンを並べたホーム画面に移る。しかしFacebook Homeをインストールすると、スリープから呼び出すとすぐにバックグラウンドにFacebookのニュースフィードがスライドのように切り替わって表示される。フィードはスワイプして自分で内容を切り替え可能で、長い記事は縦スクロールで読むこともできる。

ニュースフィードに「いいね」をしたいときは画面をダブルタップ。アイコンが表示され、いいねが付く

スライドショーで流れるフィードに「いいね」したいときは、画面をダブルタップするだけでOK。コメントを書き込むこともできる。

メッセージやお知らせはバナーで表示される。ダブルタップするとそのまま反応を返すことができる

他にもメッセージがあるときや、投稿へのコメントやイベントへの招待などのお知らせがあるときは別にバナーで表示される。それぞれダブルタップして反応できる。

自分の顔アイコンのまわりに3つのアイコンが出て操作を決める

アプリ表示ではよく使うものと全てのアプリを切り替えられる。上のバーに投稿やチェックインが配置されている

さらに画面上にある自分の顔のアイコンを長押しすると3つのアイコンが出てくる。顔アイコンを左のアイコンに重ねるとメッセンジャーが起動、上に重ねるとAndroidにインストールされたアプリのランチャーが起動。Facebookへの近況や写真の投稿、チェックインもここから行う。右に重ねると直前に起動したアプリをもう一度起動できる。

メッセージアイコンが表示されている。左上のバッジは未読メッセージの数

メッセージを交換している人は画面上にアイコンで表示され、未読分はバッジで表示される。タップしてすぐメッセージを続けることも可能だ。この機能はiOS版のFacebookにも実装されているが、Android版の場合Facebook Homeの外でもこのアイコンを表示できる。 Androidのホームボタンを押せば最初のニュースフィード画面に戻ってくる。つまりこのアプリを入れれば、Androidの本来の画面を使うことなく機能の利用が可能になるというわけだ。

使ってみた感想としては、Facebookのヘビーユーザーほど便利なアプリと言える。常にFacebookの書き込みをチェックし、気に入った投稿に「いいね」を付け、コメントするといった操作が直感的に行える。投稿やチェックインも簡単で、Facebookの大事な部分を他の操作をすることなく使えるのはとても便利だ。アプリランチャー部分を整理してよく使うアプリをちゃんと登録すれば、もう本来のホーム画面は必要ないだろう。

すべてがF(acebook)になる!?

Facebook Homeは単なるFacebookサービスランチャーなのだろうか? 確かにFacebookのいろいろな機能を簡単に利用できるが、それならこれまでのFacebookアプリでもいいはずだ。それでもこのアプリをリリースしたということは何らかの戦略があると考えるべきだろう。

おそらくこのアプリの役割は、Android端末のホーム画面を「乗っ取る」ことだ。Androidは各メーカー毎に別々のホームアプリを用意して便利に使えるものがある反面、機種毎に操作方法がまったく違ってしまうというOSの断片化が問題になっている。しかしあらゆる端末のホーム画面をFacebook Homeが担うようになれば操作をある程度統一でき、機種変更してもこのアプリを入れれば同じ操作で利用可能になり断片化も解消される。このような利点を提供した上で、Facebookとしては常に自社サービスが利用できる環境を手に入れることができる。ホーム画面を得るということは利用機会が増えるということであり、しかも今後広告などをフィードで流すことができれば広告媒体としても大きな市場がある。

現在公式には一部の機種でしか利用できないが、どの端末にもインストールできる方法がすでに見つかっている。つまりFacebookはわざわざ自社でハードウェアを開発しなくても、いずれすべてのAndroid端末がFacebook Phoneになるというわけだ。そしてこのアプリに関する話し合いをアップルと行っているというニュースもある。Facebookはすべてのモバイルのホーム画面を手に入れようとしているのだ。

Facebook Homeが成功すれば、今後クラウドサービスを提供している会社による他のホームアプリが登場することもあり得るだろう。特にGoogleなどは断片化を気にしていて、自社のクラウドサービスも多い。自社でホーム画面を開発する理由は十分だ。

現在、Google PlayでのFacebook Homeの評価は高くない。しかしもう少し機能を追加してできることが増えれば、すべてのAndroidの基本になれる可能性は十分にある。その頃には全Androidで利用できるようになっていることだろう。