――ちなみに、吹替にあたって、初めて台湾版の映像をご覧になったときの感想はいかがでしたか?
牧野「実写でここまでコミカルな表現ができるんだって思いました。そこにCGも上手く組み合わされていて……怨霊キョーコなんかもちゃんと実写の中で表現されていることにビックリしました(笑)」
田野「あそこまで実写で忠実に再現できるのはすごいですよね」
牧野「本当にこだわりを持って作られている作品なんだなって」
田野「キョーコが桂剥きをするシーンも、すごいクオリティなんですよ! よく見ると思いっきりCGなんですけど(笑)。でも、実写の映像と上手くはまっていて、一瞬CGじゃないように見える演技の凄さ、そのあたりが面白いですよね」
――実写でありながらもアニメに近い演出だったりもしますよね
牧野「アニメよりもさらにデフォルメされていたり(笑)。この作品が特別なのかもしれませんが、とにかくコミカルな部分があるかと思うと、とても生っぽい演技が必要なところもあったりするので、吹替においてもいろいろな技術が要求されるなって思いました」
――キョーコは特にメリハリのある役柄ですからね
牧野「特に泣くお芝居が多かったりするんですけど、それをどこまでリアルにやるべきなのかが難しくて……。笑いに変わるような泣きもあれば、なんでそんなことで泣いているのかわからないような泣きもある。そのあたりをちゃんと考えながら演じ分けないといけないのが難しいですね」
田野「私の場合、演じていて自分がすごく盛り上がったのはキョーコと言い合うシーンだったり、戦うシーンだったりするんですけど、どんどんと役柄の中に入り込んで、何かひとつになれる感じがあって……それは声をあてる対象が人だからこそできる共鳴なんじゃないかなって思ったんですよ。最初は怒っているんだけど、だんだんとキョーコに心を持っていかれて、心を開いていく琴南……。その気持ちがすごくよくわかるので、逆に今、キョーコを突き放す最初のころの琴南を演じろといわれてもムリだと思います」
――ストーリーの流れにあわせて、役に完全にシンクロしてしまったという感じでしょうか?
田野「そうなんですよ。だから今もう一度録り直しますって言われたら、最初の気持ちを取り戻すのに、けっこうな時間が必要かもしれません(笑)。作品そのものに入り込んでいるだけでなく、人の気持ちが共鳴し合っている証拠だと思うんですよ。なので、回を重ねるごとに最初には戻れなくなってきていると思います」
牧野「あと、映像だけでなく音楽にも注目してほしいなって思いました。私自身が音楽をやっているということもあって、劇中の音楽も気になるんですけど、すごく凝っているんですよ。ストリングスを入れたりして、とにかく音楽が情景やキャラクターの心情にすごくマッチしているので、感動的なシーンを後押ししてくれたりします。そういうところでもこだわりを持って作られた作品だなって思いました」
――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします
田野「最初は喜怒哀楽を一切見せなかった琴南奏江が、徐々にキョーコの愛に触れて、後半に向かうにつれて心を開いていく過程を楽しんでください。私自身もところどころ奏江に近い部分があるんですけど、実際にキョーコがそばにいたら、私も心を開いていくだろうなって思いました。あと、女性目線で言うと、SUPER JUNIORの2人がイケメンなんですよ(笑)。そんな2人が発する愛の言葉や雰囲気が、1人の視聴者としてちょっとうらやましかったので、そのドキドキ感やキラキラした様子も楽しんでほしいですね。この作品は、仕事が終わって家に帰って、布団に入って、ココアなんかを飲みながら観るのにちょうどいいんじゃないかなって思います(笑)」
牧野「ひとりの女の子が、尚という男の子に対して献身的に接していて、裏切られたところから話が始まり、そこから復讐を糧に成功していくサクセスストーリーです。ラブコメなんですけど、本当にいろいろな要素が入っていて、何度観ても飽きない魅力がある作品だと思います。リハで何度も映像をチェックしたり、収録後の映像をもらったりもしているんですけど、私自身、何回観ても飽きないんですよ。すごく細かい演出や工夫がたくさんあって、観るたびに新しい発見があるので、ぜひDVDでじっくりご覧になってほしいです。たぶん最初にキョーコを見ると、『何、このうるさい女の子』って思われるかもしれませんが、ちょっとずつ応援したいなって気持ちになってくると思いますので、そのあたりの変化も楽しんでいただけるとうれしいです。ぜひご覧になってください!!」
――ありがとうございました
台湾ドラマ『スキップ・ビート! ~華麗的挑戦~』のDVD-BOX I、IIは2013年4月10日の発売で、価格はDVD-BOX I(5枚組)が15,750円で、DVD-BOX II(6枚組)が18,900円。