ソフトバンクグループは10月31日、2012年度第2四半期(4-9月期)の決算説明会を行った。同説明会に登壇したソフトバンクグループ代表の孫正義社長からは、競合他社との経営状況の比較、そして現在鋭意的に取り組んでいるiPhone 5およびLTEを中心とするネットワーク整備状況などについて言及があった。本稿ではその模様を中心にお伝えする。
孫社長は携帯電話各社の2012年度の上期の営業利益について言及。NTTドコモは4,700億円、ソフトバンクは4,027億円で両社の差は急速に縮まりつつある。「いまは第3コーナー。これから(NTTドコモを)一気に抜きにかかりますよ」と力強く宣言した。決算の詳細はマイナビニュースの別稿で追って公開する。
また現在、ソフトバンクとKDDIの両社は「iPhone 5」のユーザシェア数やLTE対応エリアの広さ / ダウンロード速度などをめぐって火花を散らしている。こうしたこともあり同日の壇上では、孫社長がいくつかのデータを公表。いかにソフトバンクモバイル版(以下ソフトバンク版)のiPhone 5が勝っているか、を繰り返し強調するひと幕があった。
ソフトバンク版iPhone 5の誤解を解きたい
同氏はまず、世の中に広まっている「ソフトバンク版iPhone 5にまつわる誤解」を解くべく、ひとつずつ丁寧に説明していった。ひとつめは「ソフトバンク版のLTEは電池の減りが早い? 」というもの。これについては、発売当初は事実であったという。しかしパケット通信の接続状態を最適化することに成功し、10月19日以降はソフトバンク版の方が電池が長もちするようになったとしている。
次は「ソフトバンクのLTE基地局はオムニセル型なのでカバーエリアが狭く、つながりにくい? 」というもの。これについては誤解とのことで「実際は他社と同じ3セクターに分けて、3つのアンテナで吹いているものが97%ある。しっかりカバーできて、なおかつ穴埋めもできる方式です」と説明した。
iPhone 5の総販売数シェアは増加傾向に
iPhone 5の販売台数に関しては「週を追うにつれて、ソフトバンクが圧勝しつつある」と報告した。発売当初はテザリングなどに関して不明な点があったことが販売台数に影響したが、ここへきて総販売数シェアの増加が勢いを増しているのだという。純増数も好調で、2012年度上期は151万を記録。MNPについては「この中の一部の指標でしかない」と一顧だにしない考えを示した。
山手線全駅でLTEが開通、JRの1,000駅でもLTEエリアを調査
ソフトバンクは先日、米通信3位のSprint Nextelを買収したことでも話題になった。これについて「国内のインフラ整備が後回しになるのでは」という懸念の声も多く寄せられているという。孫社長は「ご安心ください」と話すと、総務省に提出済みの計画より期間を前倒しして、より広いエリアで、より素早くプラチナバンド基地局の建設を行なっていくという方針を明らかにした。具体的には、当初計画していたものより数千億円の積み増しになるという。
一方、同社が提供するLTEサービス「SoftBank 4G LTE」については「本日、最後の3駅が開通し山手線全29駅でLTE通信が行えるようになりました」と発表。au版では一足早く山手線全駅で対応していたが、これで互角となった。また、かねてからエリアの広さを訴求していたソフトバンクのLTEサービスではあるが、実際に日本全国の駅で計測するとどうなのかということで、急遽、乗降客数が多い駅トップ1,000駅で調べたという。その結果、iPhone 5 LTE接続可能な駅は、ソフトバンク版807駅に対しau版542駅であった。
速度の比較ではソフトバンク版674勝、au版219勝、引き分けは107ヵ所という結果。平均速度ではソフトバンク版5.8Mbps、au版3.4Mbpsで、ソフトバンク版の方が1.7倍速いことが分かったという。
最後に孫社長は「数ヵ月後にはイー・モバイルの1.7GHzでも利用できるようになる。なおさら広いエリアで、速い速度で利用できるようになる」と強調した。