Appleが推進するオンラインサービスの中核ともいえる「iCloud」。iOS 6のリリースに伴い、多くの点で改良が施されている。今回は、iCloud関連のアプリ/サービスとして「Safari」と「共有フォトストリーム」をピックアップし、その新機能を紹介してみよう。
Safari
アップルのWebブラウザ開発方針は一貫しており、OS XとiOSのSafariに大きな機能差はない。いまは配布されていないが、かつてWindows版が存在したように、エンジン部分の「WebKit」は基本的にOS非依存であり、そこへOSごとに最適化されたUIをくわえた「Safari」としてリリースする。
iOS 6のSafariもこの路線を踏襲し、7月末に公開されたOS X Mountain LionのSafari(Safari 6)と基礎部分に多くの共通項がある。新機能についても同様で、iOS 6のリリースでiOS版SafariはSafari 6に追いついたと考えていいだろう。
新機能の「タブ同期」は、iOS 6またはOS X Mountain Lionに搭載のSafari 6以降で利用できるタブの共有機能。iOS 6の、あるいはOS XのSafariで複数のタブを開くと、その状態がiCloudを通じて同じApple IDでヒモ付けられたデバイスとの間で共有される。たとえば、自宅でいくつか開いておいたタブを、特に同期などすることなく移動中のiPhoneで開くことができるのだ。
Macで読みかけの記事の続きをiPhoneで、反対にiPhoneで見つけたサイトをOS Xでじっくり読みたい、というニーズには「リーディングリスト」が役に立つ。これまでは、WebページのURLと既読/未読情報をiCloud経由で同期させるだけだったが、Safari 6/iOS 6ではWebページのコンテンツそのものを保存するよう機能を強化。iPhoneでいえば「機内モード」など、インターネットに接続していない状態でも、リーディングリストに登録したWebページを閲覧できるようになった。
iOS 6版独自の改良点としては、フルスクリーン表示とファイルのアップロードが可能になったことが挙げられる。いずれもOS X版Safariではすでにサポートされている機能だが、これまでiOS版では(敢えて)制限されていたものだ。Webサイトに仕掛けを施しておくとApp Storeへ誘導し、専用アプリのダウンロードをうながす「Smart App Banner」も、iOS版独自の機能といえるだろう。
ファイルのアップロードは、iOSの開発方針によりこれまで封印されてきたが、画像にかぎり認められる |
アプリを提供しているWebサイトにアクセスすると、そのアプリのダウンロードをうながす「Smart App Banner」 |
便利! 写真を見せるなら「共有フォトストリーム」
もし、iPhoneで撮った写真を誰かに見せたいとしよう。その誰かがiCloudアカウントを持っているとしたら……今後ベストな方法は、おそらく「共有フォトストリーム」だ。
使い方はかんたん。iCloudの設定でフォトストリームが有効なとき「写真」を起動し、目的の写真を表示してから画面左下の共有ボタンをタップ、現れた画面で「新規フォトストリーム」を選択すればいい。既存の共有フォトストリームに追加する場合には、そのストリームをタップするだけの違いだ。
共有フォトストリームの便利な点は、「指定した写真のみ指定した相手と共有できる」ことにある。だから、作成した共有フォトストリームには、「連絡先」から選んだ相手またはメールアドレスを登録する必要があるが、相手がApple IDを保有していればよく、こちらが指定した以外のメールアドレスから参加することもできる。
共有した写真には、コメントを付けることができる。コメントはTwitterのタイムラインのように時系列で表示されるため、1枚の写真を巡って意見を交わすことができるのだ。
メール添付とは違いやり取りに時間がかからないうえ、写真がリサイズされ画質を損なうようなこともなく、しかも貴重なiCloudストレージを消費しない。iCloudメンバーのみのサービスではあるが、iOSデバイスユーザの数を考えれば、撮った写真は共有フォトストリームで見てね、ということがごく当たり前に行われるようになるかもしれない。