海外では旅行者でも購入できるプリペイドSIMカードやプリペイド携帯が販売されており、現地での通信費用を安上がりに抑えることができる。だが最近ではスマートフォンのプリペイド商品も増えており、購入してすぐにWebサービスやメールを利用することもできる。今回、ドイツでプリペイドスマートフォンを購入してみた。

1万円以下でプリペイドスマートフォンを探す

スマートフォンは高いもの、というのは過去の時代になりつつある。というのも最近ではミッドレンジクラスの製品を中心に、SIMフリーでも日本円で2万円程度の製品が海外では急激に増えているのだ。そしてそれらの製品にSIMロックをかけ、プリペイドで安価に販売する通信事業者も多い。HuaweiやZTEなど中国メーカーの製品が多いが、現地で購入して旅行中に使う程度なら十分実用的だ。もちろんプリペイドSIMもセットされているので、買ったその場からすぐに使うことができる。

2012年9月、IFA2012の取材で訪れたドイツでも各事業者がプリペイドスマートフォンを探している。さすがに上位モデルは割高だが、エントリーレベルのものなら100ユーロ以下の製品も結構あるようだ。ただし直接各事業者の店舗を訪れて店頭で商品を選ぶ場合は、店によって品揃えが異なっていたり、また同じ製品でも事業者ごとに価格が大きく異なるケースもある。そのため現地に行く前にあらかじめ各社のWebページでプリペイド商品のラインナップや価格を一通り見ておいたほうがベターだ。

なお各社のWebページは当然ドイツ語表記であるが、ここはめげずに英語翻訳などを使って意味をつかんでいくと良い。ちなみにドイツ語でプリペイドは「Prepaid」、携帯は「Handy」と呼ぶのでそのあたりの単語を当たりにドイツ語ページを見てみれば、プリペイドスマートフォンが出ているページにたどり着くこともできるだろう。

VodafoneドイツのWEBページはドイツ語

画面のタブ表示の「Handys & Tarife」から「Prepaid-Handys」を開くとプリペイド携帯やスマートフォンの一覧が表示される

ドイツ各事業者のプリペイド製品を見ると、サムスンやソニーといった大手メーカーも100ユーロ以下の低価格スマートフォンを投入しており、どれにしようか悩みそうだ。その中から今回はLGのOptimus L3を選んでみた。低価格ながらもスタイリッシュなデザインが特徴なので、安っぽくない外見もなかなかよさそうである。価格はT-Mobileが一番安く69.99ユーロ。付属のプリペイドSIMは1ヶ月データ定額利用可能とのことで、7000円でスマートフォンとデータ使い放題の回線を入手できるというわけである。

各社のLG Optimus L3の価格。なおT-Mobileは筆者購入直後に表記のように39.99ユーロに劇的な値下げがされている

T-MobileのプリペイドSIMは9.95ユーロで1ヶ月間3つの定額。データは7.2Mbpsで使い放題

ベルリンのT-Mobileでスマートフォンを購入

ベルリン到着後はあらかじめ下調べしておいたT-Mobileのお店を目指した。店内のプリペイド製品コーナーにはいくつかの商品が置かれているが、L3は展示なし。そこでスタッフに声をかけ在庫の確認をお願いした。なお店舗によって在庫切れの場合もあるので、いくつか他のお店の場所も調べておくといいだろう。今回は無事在庫があったのでその場で購入することとした。

ドイツでプリペイド製品を買う場合はパスポートなど身分証明書を提示してユーザー登録する必要がある。またT-Mobileではホテルの住所と電話番号も必要だった。このような時のために、ホテルチェックイン時にホテルの名刺をもらっておくといいだろう。支払いはクレジットカードでOK。そのあとスタッフから「この場でSIMカード装着やセッティングを行おうか? 」と声をかけられたが、難しいものではないのでそのままホテルに戻ることとした。

ベルリンのT-Mobileを訪問

プリペイド端末コーナー。お目当ての製品は無し

購入したLG Optimus L3

パッケージ内には端末とプリペイドSIMが入っている

SIMを刺してあとは自由に利用できる

パッケージを開けるとL3本体と、別途プリペイドSIMカードのパッケージが入っている。プリペイドSIMカードを取り出すと、SIMが貼り付けられている紙に「PIN」「PUK」の表示があるので、PINの部分をこすって4桁の数字を表示させる。端末にこのSIMを入れた際は電源を入れるたびにPIN入力が必要なので念のためメモなどに控えておいたほうがよい。ただし今回買ったL3ではPIN入力は不要だった。電池カバーをあけてSIMをセットし、電池を取り付けて電源を入れ、しばらくするとAndroidの最初の登録画面が表示された。もしもここでPIN入力画面となったら、先ほどの4桁の番号を入力すればよい。

さてAndroidの登録画面は当然ドイツ語だが、慌てずに左下の「Fortfahren」をタップしよう。すると言語の一覧が出てくるのでEnglishをタップ、あとは英語になるので指示に従いGoogleアカウントの登録などを進めていけばよい。全てが終われば待ち受け画面となり、ここからは英語版スマートフォンとして自由に利用できる。Google Playから日本語入力や日本語化アプリなどを入れてカスタマイズするのもよい。

なおデータ通信はこの日から1カ月間定額利用可能だが、実際は1日当たり100MBの上限があるようだ。なので、利用データ量を確認しつつ使うのが現実的だろう。またテザリングも可能なので、PCや他のスマートフォンのWi-Fiルーター利用もできる。

海外の現地で利用できるプリペイドスマートフォンも各国で手軽に購入できるようになっている。海外に出かけたら通話だけではなくデータ通信も自在なプリペイドスマートフォンの購入にチャレンジしてみてはいかがだろうか?

SIMカードはマイクロ両用タイプだった。PINは念のため表示させておく

SIMはマイクロサイズにならぬよう丁寧にはずしL3にセットする

電源投入後、ドイツ語表示になるが「Fortfahren」をタップして言語を変える

アカウント登録などが終われば、あとは自由に利用できる