――これまでのangelaのPVの中で、ここまではじけたというか、外した感じのものはなかったですよね
KATSU「外したものがないというより、外せなかったんですよ」
atsuko「今回のプロモーションビデオを撮影することになったときも、私たちの中では、カッコいいものにはしたかったけど、光を浴びて歌うだとか、クルクル回ったりだとか、よくある感じのものにはしたくなかった。そんな思いもあった中での今回の企画だったので、こういうのもアリかもしれない、やってみたら面白いかもっていう気持ちも少しはありました。たぶん無理だろうなって思いつつ(笑)」
KATSU「今回のプロモーションビデオを作ることが決まったとき、『これをやってみたい』というものはあまりなくて、逆に『これだけは絶対にやりたくない』というものがあったんですよ。それは何かというと、自分たちがヒーローを演じるようなものにだけはしたくなかった。自分たちがヒーローになるような映像は何か違うなって」
――そういう思いの果てが『ランジェリー・フットボール』
KATSU「最終的な決め手となったのは、ほかの人に先を越されたくないという気持ち。ここまでいろいろと考えを煮詰めてきたのに、この新しいアメリカのスポーツを、ほかのアーティストさんのPVで先にポンとやられてしまったら、めちゃくちゃ悔しいだろうと(笑)」
――実際に出来上がった映像を見たときの感想はいかがでしたか?
KATSU「ゲラゲラ笑いました。超笑いましたね」
atsuko「最初のうちは、胸の大きな方がいるなあとか、そういうところに目が行ってしまいがちになるのですが(笑)、観ているうちにだんだんドラマの中に引き込まれていって、次第にランジェリーなんてどうでもよくなっている。この話はどうなっていくんだろう、そんな気持ちで、最後には感動してホロってなってしまう(笑)」
KATSU「何度も観ているといろいろな発見があって、たとえばAメロに入ったところで主人公のヒロ、たぶんヒーローだからヒロなんだと思うんですけど、このヒロが海沿いを走るシーンでは、なんと同じスピードで鳥が一緒に飛んでいるんですよ。これはよく撮れているなと」
atsuko「本当に偶然なんですけどね」
KATSU「最終的には、そういうところでも感動できるようになってしまうんです」
atsuko「ヒーローはそういった偶然をも呼び起こす(笑)」
KATSU「偶然を自分の力にできるのは、ヒーローの条件ですから。本当に観れば観るほどいろいろな発見がある。最初、81対0で負けるんですけど、この81は『パイ』なんですよ。監督が話していたんですけど、背番号も81でパイにしたいとか(笑)。そういった遊び心も入れつつ、ちゃんとアメフトのルールも守っている。トレーニングも本当にアメフトのトレーニング方法なんですよ。しかも、プロモーションビデオは、EDO QUEENSとNANIWA DEVILSの対決なのですが、EDO QUEENSのメンバーには、今年からランジェリー・フットボールでアメリカに行くという、本物の選手の方も入っていたりします」
atsuko「基本的には女子プロレスの方やモデルさん、女優さんなんですけど、本物のランジェリー・フットボールの選手を島根からわざわざ呼び寄せて(笑)。よく探したなと思いました」
KATSU「みんなが『勝ちたいです』というシーンがあるのですが、その方の『勝ちたいです』には、すごくリアリティがある。女優さんでもないのに、一番響くんですよ。まさに本物の『勝ちたいです』なんですよね」
――このままだとランジェリー・フットボールだけで終わってしまうので、ちょっとジャケットの話も聞いておきましょう
KATSU「ヒーローの色といえば、赤だったり青だったりするじゃないですか。でも今回はブラックヒーローですね。今のアメリカって黒いじゃないですか。バットマンもそうだし、スパイダーマンも黒くなったりしていますよね」
atsuko「ジャケットのデザインについては、いつもデザイナーさんと打ち合わせをして決めているのですが、今回も、カッコいい後姿にするとか、どこか高いビルの上に立って街を見下ろしているだとか、いろいろと面白い案を出していただいたんですよ。でも、やはりヒーローは前を向いているほうがいいということで、こんなジャケットに仕上がりました。あと、注目してほしいのはこのバックですね。これはCGでも合成でもなく、オーガンジーという素材のリボンをつなぎ合わせて、ちゃんとセットを作っているんですよ」
KATSU「だからこのスタジオはすごく奥行きがあって、その前にangelaが立っています」
atsuko「ジャケットをこういったアーティスティックな感じに凝らせていただくたびに、いろいろなプロの方のお力をお借りして、我々のCDはできているんだなって実感します」