曖昧すぎて調整が地獄だったフォーントリガー
──ゲームシステムについてですが、フォーントリガーシステムはシナリオとうまく融合したすごいシステムだと思いました
松原 『CHAOS;HEAD』と違って今回はオカリンとプレイヤーの目線を合わせてやっていこうと決めていたんですよ。そこでどうしても邪魔になってくるのが選択肢なんです。次の行動がいくつか提示されていると、そこに書かれている文章で先の展開があるていど読めてしまいますよね、個人的にそれで一瞬意識が現実に引き戻されるのが嫌で、選択肢の出ないアドベンチャーにしようと思っていました。それで主人公の携帯電話のネタと絡めて、メールの返信だけで分岐することにしたんです。
──『CHAOS;HEAD』の頃から選択肢ではない選択肢にはこだわってましたよね。たしかにフォーントリガーでは選ばされているという意識はありませんでした
松原 あれってすごく曖昧なシステムなんですよ。ゲームを進めていると勝手に携帯が出てきてこうしろっていうところもあれば、そうじゃなくて任意のタイミングで返信しないとフラグが立たないところもある。実際の携帯電話も使い方って一種類ではないですよね。メールもできれば電話もできるし、電話のかけ方だって人それぞれです。そういう曖昧さを残したまま進めていこうとしたのがフォーントリガーシステムなんです。
──しかし調整が大変だったのでは?
松原 調整は本当に苦労しましたね。メールのやりとり、それ自体はそれほどでもないんですが、携帯を使った、使わなかったということに対する細かいシナリオの調整と、一つひとつのメールすべてに受信日時と送信日時を矛盾なく設置していくことが一番大変でした。ホントに膨大な量があるので。
──システムとは少し違いますが、マルチエンドである以上、何度も同じことを繰り返すことになります。それなのにストレスがないのはすごいなと感じました
松原 そこは僕と志倉と林のバランスが取れているところなんですよ。僕と志倉はそれこそPC88時代からアドベンチャーゲームをやっている世代なんですが、昔のゲームって難易度が理不尽だったりするんです。で、僕と志倉はわりとそれを許容しちゃうんですけど、林は僕らより一世代若いので、「これくらい快適じゃないとダメなんです」とか言ってくれるのでそのあたりでうまくいっているところもありますね。
OPムービーに……びっくりした!
──ニトロプラス製作のオープニングムービーについてですが、歌詞がネタバレだとか言われていたりしますよね
松原 ユーザーさんからも、オープニングがネタバレだとか公式サイトがネタバレだとかさんざん言われるんですけど、クリアした人がそれを言わなければネタバレにはならないんだ(笑)、と思っています。たとえば、ハリウッド映画の予告編でも大事なシーンをバンバン使ってますけど、それでも映画館では楽しめますよね。それとやってることは同じですね。
──たしかにクリアしてから見ると「おお!」と思うところはあります。逆にいうとクリアしてなければよくわからないですね
松原 自分でも盛り上がる良いオープニングだと思っています。そういえばオープニングの最後で人工衛星が飛んでいくんですけど、あそこはまったく聞いてなかったんですよ。上がってきたムービーを見てみたら……「飛んでくの!?」って(笑)
──(笑)。そのシーンは事前の打ち合わせにはなかった?
松原 なかったです。3Dでタイムマシン作ってもいいですかって言われたので、どんどんやっちゃってください! って言ったらこうなってて。そんな(飛んでいく)設定ないんだけど、まあかっこいいし、いいやって(笑)。
科学ADVシリーズの新作は「種子島」が舞台に
──現在アニメも放送中ですよね
松原 アニメだとオカリンの中二病に動きがつくから余計痛いですよね(笑)。客観的にみるとこうなるんだ、っていう新鮮な驚きがありました。アニメの構成に関しては、毎週一回ある脚本会議に半年以上参加させていただきました。監督の意向もあって、劇中のさまざまな理論を全部説明するよりも人間ドラマを重視した作りになっています。前半はまゆりとのシーンが増えていますが、これによってゲーム以上にまゆりに感情移入できるのではないかと思っています。
──ファンディスク『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』と新作『ロボティクス・ノーツ』についても教えてください
松原 シュタインズ・ゲートのスピンオフ作品を考えたときに、真っ当にその後の世界を描くのよりも、ラボの日常を描きたいと思いました。『STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん』は、ラボでメンバーたちがわいわいやっているあたりから始まる物語にしています。Dメール実験を何十回も行ったことで世界線が一気に3%台まで飛んでしまったところからスタートするのですが、そこまで世界線が変われば何やってもOKだろうと好きにやっちゃいました。
松原 『ロボティクス・ノーツ』は、開発の流れはシュタインズ・ゲートと同じで、最初に志倉メモをもとに打ち合わせて、シナリオを進めている段階です。まだシナリオは最後まで上がっていないので、キャラデザインやメカデザイン、舞台設定とかを詰めつつ、今回はリアルタイムポリゴンを使いますので、イチから構築している3Dエンジンの技術研究を含めて平行作業中です。
──渋谷、秋葉原ときて種子島は意外でした
松原 舞台になる種子島は、実はシュタインズ・ゲートのマスターが上がる前から決まっていました。流れとして次は新宿とか池袋などの山手線沿線だろうと思っていましたので自分も志倉から聞かされたときにびっくりしました(笑)。でも、種子島のJAXAに取材に行ったときに組み立て棟などの施設を見学させていただいて、巨大ロボットを設計するというテーマとぴったりのロケーションだと確信しました。
──6月に発売されるPSP版について、ユーザーにメッセージをお願いします
松原 PSP版シュタインズ・ゲートはやはり携帯ゲーム機なので、どこでも遊べるというのが一番の売りですね。ぜひ秋葉原に持っていって、現地でやってもらいたいですね。オカリンと同じ動きをしながらシナリオを追っていくというのは臨場感があると思いますよ。
"シュタゲ"タイトルをまとめてチェック!
Xbox360用ソフト/ 2011年6月16日発売/ 9,240円 |
Xbox360用ソフト/ 2011年6月16日発売/ 6,090円 |
Xbox360用ソフト/ 2011年6月16日発売/ 9,240円(初回限定生産) |
※「STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん」と「STEINS;GATE Xbox360 プラチナコレクション」のセットパッケージ |
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