「BlackBerry Curve 9300」は、コンパクトなボディにQWERTYキーボードを搭載したスタンダードなBlackBerryスマートフォンだ。前モデルの「BlackBerry Bold 9700」のカジュアルモデルという位置づけで、その名の通り曲線を強調したデザインを採用している。一括購入で3万円台、購入サポート込みで約2万円という手頃な販売価格も特徴だ。

BlackBerry Curve 9300

「BlackBerry Curve 9300」徹底解説

前編 まずは外観デザインをチェック!!
後編 spモードやメディアプレーヤーを試す

前編ではBlackBerry Curve 9300の外観を中心にレビューした。後編では、QWERTYキーボードなどの「入力装置」、2010年12月より利用可能となった「spモードメール」、専用キーの搭載で使いやすくなった「メディアプレーヤー」について解説していく。

独立型のQWERTYキーボードでさらに打ちやすく進化

さて、まずはBlackBerryスマートフォンには、なくてはならない存在であるQWERTYキーボードから見ていこう。

BlackBerry Curve 9300では、各キーが分離したアイソレーションタイプのQWERTYキーボードが採用されている。アイソレーションタイプを採用したことで、キーひとつひとつが判別しやすくなっており、両手はもちろん、片手でも快適に入力することができる。使っていくうちに、手元を見ないでも入力することも可能だろう。

本体下半分を占めるBlackBerry Curve 9300のQWERTYキーボード。他のBlackBerryスマートフォンと同様に打ちやすい

キー割り当ては従来通り。記号や数字の入力に特殊キーの組み合わせが必要になるほかは、PC用のキーボードとだいたい同じだ。各キーはバックライトを搭載しているので、暗闇でも確実に打鍵できる。なお、数字入力に対応したキーには、判別しやすいようグレーの配色が施されている。

液晶とキーボードの間には、発呼キー・終話キー、メニューキー、エスケープキーが並び、中央にトラックパッドが設置されている。BlackBerry Bold 9700ではこれらのキーがそれぞれ独立していたが、BlackBerry Curve 9300では一体となっている。トラックパッドはBlackBerry Bold 9700と同じく光学センサー式で、トラックパッドを指でなぞることで、カーソルが移動し、押し込むことで決定動作となる。

BlackBerry Curve 9300(上)とBlackBerry Bold 9700のトラックパッド部を比較。各キーの継ぎ目をなくしたことで、よりスマートな印象に仕上がっている

メディアキーでエンタメ機能を楽しむ

BlackBerry Curve 9300には、エンターテイメント機能にフォーカスした機能として、音楽・動画の再生が行える「メディアキー」が設置されている。メディアキーは、本体上部に設置されている横長のボタンで、再生ボタン(正確には「再生/一時停止/ミュートボタン」)、「次へキー」「前へキー」が一体となっている。

こちらがメディアキー。ビジネスの現場向けというイメージが強いBlackBerryスマートフォンだが、BlackBerry Curve 9300はエンタメ機能も充実している

再生ボタンを押すと、「メディア」画面が表示される。そのままトラックパッドを押して音楽・動画を選んでいけば、すぐに音楽・動画を再生可能だ。

音楽を再生した場合は、再生画面から別の画面に移っても再生は継続される。またどの画面からでも、メディアキーで再生/一時停止/曲送り・曲戻しといった操作が可能だ。別画面から再生画面に戻る際は、各アプリ上でメニューボタンを押し、「Media Playerへ移動」を選択すればよい。動画再生時は、ほかの画面に移動すると自動的に一時停止する。

音楽再生画面。視認性の高いシンプルなUIだ。アルバムアートが設定されていれば再生画面に表示される

再生画面に戻る際は、メニューボタンから「Media Playerへ移動」を選択

トラックパッドを使ってプレイリストから再生したい曲を選択できる。IDタグに基づいてアーティスト名や曲名で検索することも可能

楽曲や動画は、自身のPCに保存してあるものを転送しよう。BlackBerry Curve 9300とPCをUSBケーブルで接続し、転送したいファイルをmicroSDカード内に曲をコピーするだけでいい。iTunesやWindows Media Playerで楽曲を管理しているのであれば、そのフォルダを丸ごとコピーするだけでいい。また、付属ソフトのBlackBerry Desktop Softwareを使えば、iTunesのプレイリストを同期するとことも可能だ。ただし、iTunes Storeで購入するなどしたDRM付きの楽曲再生はできない。

spモード対応でiモードメールが利用可能に

続いて、spモードの使い勝手について解説しよう。spモードは、従来のiモードで使われていたiモードメールをスマートフォンでも利用可能にするための機能で、BlackBerry Curve 9300にあらかじめ導入されているドコモスマートフォンアプリサイトから「docomo service portal」をダウンロードしてインストールし、アプリ内から設定を行うことで利用可能になる。

「ドコモスマートフォンサイト」からdocomo service portalをダウンロードする

docomo service portalでは、spモードの設定やdocomo IDの発行が行える

従来のiモードメールアドレスがそのまま利用できるので、既存のiモード端末のユーザーがそのままのメールアドレスを使ってメールの送受信が行えるようになるわけだ。docomo service portalからはメールアドレスの変更や迷惑メール対策などの設定も可能。

spモードの設定画面

spモードメールアドレスの取得や、メールアドレスの変更などもできる

フィルタリングサービスも利用可能

BlackBerry Curve 9300で利用する際は、docomo service portalのメール設定画面からBlackBerry利用設定を選択し、BlackBerry Internet Serviceにて利用するメールパスワードを新たに設定。最終的にBlackBery Email Settingを起動して「メールアカウントの追加」から、通常のメールアドレスを追加する要領で、spモードメールアドレスと先ほど登録したパスワードを設定すればいい。

同じ設定画面から「BlackBerry利用設定」を選択

注意事項が表示されるので、それを読んで同意できる場合は「次へ」をクリック

メールパスワードとして任意の英数字を設定して「決定」をクリック

これでBlackBerry Curve 9300上でspモードメールの利用が可能になるので、続いてEmail Settingを起動する

Email Settingが起動したら、「メールアカウントの追加」をクリック

メールアドレスとパスワードを入力して「次へ」をクリック

これでspモードメールがBlackBerryのメールアプリに統合され、ほかのメールアドレスと同様にメールの利用が可能になる

ホーム画面からもspモードメールにアクセスできる

あとは通常のメールと同じく、BlackBerryのメールクライアントで送受信できる。特別なメールアプリを別途用意することなく、BlackBerry Curve 9300の標準のメールアプリで、そのままspモードメールを使えるのは便利。ほかのメールとひとつにまとめて閲覧でき、使い勝手はほかのメールを使う場合と変わらない。

spモードは「ブラックベリーインターネットサービス」(BIS)の契約者しか使えないので、法人向けの「ブラックベリーエンタープライズサービス」(BES)の利用者は、「ブラックベリーデュアルサービス」に加入する必要がある。ただし、BESでBISの使用を禁止している場合は、ブラックベリーデュアルサービスに契約してもspモードを使用できないので注意が必要。BESの設定変更が可能かは会社によって対応が異なるだろう。

また、メール作成時に絵文字を利用することもできる。メール作成画面で、メニューから「絵文字を表示」を選ぶか[sym]キーを押せば、項目ごとに絵文字の一覧が表示されるので、一覧から絵文字をトラックパッドで選択して入力を行う。なお、カーソルを動かさなくても、各絵文字はキーボード通りに並んでいるので、そのキーを押せば割り当てられている絵文字が簡単に入力可能だ。

絵文字はカテゴリごとに分類されている。下部には最近入力した絵文字が表示される

キーボードに割り当てられた絵文字

絵文字が入ったメールを、他キャリアの携帯電話に送ってみたが、そのキャリアの絵文字にきちんと変換されて表示された。逆に他キャリアの携帯電話から送信した絵文字もBlackBerry Curve 9300上できちんと表示された

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BlackBerry Curve 9300は、手頃な価格を実現しながらも、独立型のキーボードの採用やメディアキーの搭載など、使い勝手を追求した様々な工夫が施されたスマートフォンだ。BlackBerryスマートフォンの最大の特徴であるQWERTYキーボードと強力なセキュリティを備える法人向け機能はそのままに、個人ユーザーでも使いやすい製品に仕上がっている。

特にハードウェアのQWERTYキーボードは流石だ。筆者的には、昨今主流となっているフルタッチタイプのスマートフォンのソフトウェアキーボードよりも、確実に打ちやすく、長文の入力も苦にならなかった。ハードウェアキーを採用したことで、押した際にしっかりとした打感を得ることができるからだ。また、メディアプレーヤーも便利に利用できた。決して高機能ではないが、携帯電話に搭載された音楽プレイヤーとしては十分だろう。

前編でも触れたが、NTTドコモはBlackBerry Curve 9300の発売と同時に、専用インターネット接続サービス料金の値下げとspモード対応をスタートし、より気軽にBlackBerryスマートフォンを利用できるようにした。これまで、BlackBerryスマートフォンを使ったことがないユーザーは、これを機に購入を検討してみては如何だろうか。