SAS Institute Japanとクロス・マーケティングは12月17日、ビジネスパーソン1,000人を対象に実施した共同調査の結果に基づき、「2010年 分析力に優れた企業ベスト10」を発表した。ここでは、ランキングとともに、同調査から考察された成長企業と分析力の関連性についてお届けしたい。
初めに、SAS Institute Japan マーケティング本部 コミュニケーショングループ シニア・マネージャーの倉石英典氏が、今回の調査の目的について説明を行った。
「われわれは予見力を提供することを掲げているが、今回は浸透している"分析力"という言葉を用いた。そして、『企業では実際にどの程度データが活用されているか』、『企業ではどのような分析力が求められているのか』を調べるために、今回の調査を行った」
また、米国では企業競争の要素として分析力が使われているが、日本では企業の分析力に関する調査が進んでいないため、一度試してみようということになったという。
ランキングはトヨタ自動車が第1位を獲得し、これにパナソニック、ソニーが続いたが、上位10社を見ると、製造業が約半数を占めた
調査の詳細については、クロス・マーケティング セールス・マーケティングユニット 企画分析ディヴィジョン プランニングリサーチャーの雪嶋貴大氏が説明した。
同調査では、「これまでの成長企業に備わっていた条件」と「これからの成長企業に必要な条件」について聞いているが、双方において「人材を育成する力」、「先の状況を見越す力」、「顧客満足度の高さ」、「顧客ニーズの吸収力/把握力」が上位4項目となった。
同氏はこれらを満たすために分析力が有効だと説明した。「分析力は、『人材を育成する力』に対しては現在の人材や必要な人材能力の把握、『先の状況を見越す力』に対しては"今起きていることを把握し、これから起き得ることを予測すること"、顧客関連に対しては顧客の特定や顧客増の把握において有用である」
また、「分析力に優れた企業のイメージ」としては、上から「顧客ニーズをよく知ろうとしている企業」「市場動向を熟知している企業」「業界をリードする事業を行っている企業」が続き、顧客や市場にリーチしているというイメージが重要視されていることが浮き彫りになった。
同氏は「今回のランキングでは、『消費者の生活に身近』『流行となる商品・サービスを提供している』『大企業』『グローバル企業』」が高く評価されているが、成長企業の実績や成果の裏づけとして分析力の高さを想起しているようだ」と述べた。
一方倉石氏は、「IT製品を提供する企業として興味深かったのは、分析力が優れているという要件に顧客に対する洞察が挙がったこと。これは、ITを用いた顧客分析の市場機会が大きいことを示していると言える」とコメントした。
今回の調査結果として、「分析力は企業の成長を示すバロメータとなっていることがわかったが、言い換えれば、企業の成長に分析力は不可欠であり、分析力を高めていくことが企業イメージの維持・向上につながる」とまとめられている。