米Appleが20日(現地時間)に米国本社で開催したスペシャルイベントで発表した新型「MacBook Air」。キーノート後にショーケースが用意されていたので、その第一印象を会場で取材した情報を加えてレポートする。

MacBook Air 11インチモデル(左)と13インチモデル

厚さ2.41センチのMacBook Proと比べるとMacBook Airの薄さが際立つ

新型MacBook Airに対しては、前世代にはなかったサイズ、11インチモデルの登場に話題が集中していると思う。だがショーケース会場ではよりコンパクトなモデルよりも、「インスタントオン」の方が議論になっていた。インスタントオン?……つまりiPhoneやiPadのように、いつでも数秒で使えるようになるというのだ。ストレージがフラッシュメモリで統一されたとはいえ、「いくらなんでもインスタントオンでは起動しないだろ」という声が聞こえてきそうだ。たしかにシステムを終了させた状態から起動させれば、これまでのMacBook Airと同じように使えるようになるまでしばらく時間がかかる。だが、システムを終了させずに使い続ければ、iPadのようなインスタントオンが可能だ。

Appleはキーノート、そしてWebサイトでの説明で、MacBook Airのバッテリー持続時間に関して新しい数値を示している。1つはワイアレス接続でWebを使用した場合の持続時間。13インチモデルが最大7時間、11インチモデルが最大5時間だ。MacBook Airは主にネットユーザー向けのノート型Macという位置付けなのだろう。興味深いのはもう1つのスタンバイ時間だ。13インチモデル、11インチモデルともに最大30日間である。スタンバイ時間は携帯電話には必ず用意されるデータだが、筆者はこれまでパソコンの仕様で見た記憶はない。これが意味するところは、電源オフにせず、携帯電話のようにスタンバイにして使い続けてというメッセージである。

13インチモデルのバッテリー持続時間

11インチモデルのバッテリー持続時間

すでにノート型のMacをシステム終了させずに使い続けている方も多いと思う。筆者もその1人だ。以前Apple Storeにおいて、同ストアのスタッフからスリープさせて使い続けるのを勧められたこともある。だがパソコンユーザー全体では、長時間使わないときはシャットダウンさせるユーザーの方がおそらく圧倒的に多いだろう。小まめにシャットダウンしている人も少なくないと思う。充電せずにほったらかしていても最大30日間はバッテリーが持続するというMacBook Airは、こうした「パソコンは電源を切るもの」という一般的な利用スタイルを変えようとする製品だ。

新MacBook Airがスリープ状態になるとスタンバイモードに切り替わる。ディスプレイが小さい11インチモデルの方がワイアレスWeb利用のバッテリー持続時間が短いことから、11インチモデルはより小さなバッテリーを搭載していると予想できる。それでもスタンドバイ時間は13インチモデルと同じである。それだけスタンバイ状態の消費電力は少ないのだろう。スタンバイ状態でもディスプレイを開くと、すぐに使用できる状態に戻る。

まだMacBook Airを手に入れていないので、スタンバイで快適に使い続けられるかは判らない。またスタンバイ状態でのバッテリーの持続時間をこれまで意識したことがなかったため、MacBook Airの最大30日間が他のMacBookやライバル製品を上回るレベルであるかも不明だ。同程度の性能のWindows PCと使い比べてみようと思う。ただAppleの場合は、思い描いた利用スタイルに向かってハードウエアとソフトウエアの両面からソリューションに取り組むだけに、その目標の実現を期待できるし、こうして同社がノートパソコンのスタンバイをアピールし始めた影響は大きいと思う。

「インスタントオン」「長いバッテリー持続時間」「長いスタンバイ時間」「フラッシュストレージ」など、iPadのモバイルデバイスとしてのメリットから学んだMacBook Air

さて新型MacBook Airだが、13インチモデルのディスプレイの解像度が1440×900に向上、USBポートが左右1つずつに増え、そしてマルチタッチトラックパッドを装備する。しかも価格は88,800円から。13インチの256GBモデルでも148,800円だ。個人的には改善してほしいところが満遍なく強化されたうれしい新モデルになった。ユニボディは堅牢で、新しいデザインは前世代よりもシャープで頑丈になった印象を受けた。

MacBook Airのユニボディ

MacBook Air 13インチモデルの内部

Appleが用意したMacBook Airの動画にはいずれにも、閉じている状態でディスプレイ上部に指をひっかけてそのまま片手でディスプレイを開くシーンが登場している。開くときに指がかかるようにトラックパッド側の縁部分に切り込みが入っている。ディスプレイのヒンジは片手で簡単に開けられるけど、開けたままで本体を動かしてもぐらつかないちょうど良いバランスだ。手頃な価格になっても、細部まで行きとどいたデザイン、しっかりとした品質は保たれている。

薄くて軽量だが、本体が持ち上がることなく指先だけでディスプレイを開けられる

ディスプレイを開くときに指先がひっかかるようにデザインされている