米Microsoftは9月15日(現地時間)、米サンフランシスコで「Internet Explorer (IE) 9 Beta」のリリースイベントを開催。IE担当コーポレートバイスプレジデントのDean Hachamovitch氏が、Webサイトを際立たせるデザイン、Windows 7との連携、ハードウエアによる高速化など、IE9の強化点や新機能を説明した。

Internet Explorer担当コーポレートバイスプレジデントのDean Hachamovitch氏

Microsoftは今年3月、Web開発者カンファレンスMIX10において「IE9 Platform Preview」を開発者向けに提供開始し、その際にハードウエアを活用したパフォーマンスの改善を明らかにした。テキスト、グラフィックやビデオの表示をGPUで高速化、またJavaScriptエンジンがマルチコアCPUを利用してバックエンドでコンパイルしたネイティブコードをフロントに渡すなど、Windows PC全体をWebブラウジングに活用している。

ブラウザよりもWebコンテンツが目立つようにユーザーインターフェイスを簡素化

Beta版一般公開の今回のイベントでは、パフォーマンスよりもユーザーが直接触れるデザインにスポットライトが当てられた。

ユーザーはWebコンテンツまたはWebサイトを目的にWebブラウザを利用する。Webコンテンツとブラウザは、観客の前に立つ役者とステージのような関係だという。ステージの中に役者が埋もれてしまっては台無しである。Webブラウザが目立つのではなく、Webサイトが際立つデザインでなければならない。IE9 Betaは標準状態ではWebブラウジングに用いる最小限のボタンとアイコンだけが並ぶ簡素なユーザーインターフェイスで、ブラウザ画面全体にWebコンテンツが広がる。

さらにWindows 7との連携を強化した。新しいタブ、ウインドウの移動、お気に入りのページへのアクセスなど、Web閲覧で頻繁に行う作業がスムースになれば、ユーザーはよりWebコンテンツに集中できるからだ。

Microsoftのユーザー調査で、Webアプリの起動方法に関して、キーボードのショートカット(Ctrl+T)と、Windows 7のタスクバーのピン固定を比較したところ、ショートカットを好む人が1%にとどまったのに対してピン固定は87%から支持された。Webアプリへのリンクの保存場所も、お気に入りバー(4%)よりタスクバー(33%)が好まれた。Windows 7上において、WebアプリもPC用のアプリケーションと同じように扱えた方が便利だと感じるユーザーが多いのだ。IE9では、アドレスバーのファビコンをドラッグしてタスクバーにドロップするとWebサイトをピンで固定できる。ジャンプリストの利用も可能だ。

ピンで固定したFacebook。タスクバーから直接Facebookを立ち上げられる

タスクバーに固定したLivestrong.com。ジャンプリストからMyPlate、Fitnessなどのタスクに直接アクセス可能。Webサイト側がジャンプリストや通知をプログラムすることで、IE9ならではの利用体験も作り出せる

Windows 7はアプリケーションのウインドウを自動的にリサイズするAero Snapを備える。ウインドウをドラッグして画面上部にはみ出させると全画面表示になり、横にはみ出させると画面半分のサイズにウインドウがリサイズされる。IE9ではウインドウだけではなく、タブにもAero Snapを利用できる。1つのウインドウで複数のタブを開いている状態で、タブをドラッグして左右どちらかの端にはみ出させると、画面半分にリサイズされた状態でタブが分離される。いくつか開いたタブから、例えば製品仕様を見比べたいときなど、タブをドラッグして左右に移動させるだけで2つのタブページを簡単に並べられる。

タブをドラッグして、右端にはみ出させると自動的に画面右半分にリサイズ。2つのウインドウを簡単に並べられる

「新しいタブ」ページに、よく利用するWebサイトが配置されるようになった

アドレスバーがWebサイト閲覧と検索機能を1カ所でサポートするワンボックスに進化

メッセージ、エラー、警告などの通知は、ブラウザ画面下部の通知バーに現れるように統一された。ダイアログボックスで表示されるとWebサイト閲覧が中断されるためで、通知バーはWebブラウジングを邪魔することなく、同時にメッセージなどを分かりやすくユーザーに伝える。

Web閲覧の邪魔にならないように、かつユーザーがメッセージや警告にすばやく対処できるようにデザインされた通知バー

HTML5サポート強化とハードウエアによる高速化によって、IE9上でHTML5サイトは鮮やかに表示され、インタラクティブな機能が応答よく動作する。イベントでMicrosoftは、HTML5技術を大胆に盛り込んだBingのプレビューを披露した。検索から結果表示、結果の閲覧の流れがスムースで、要所のアニメーションが検索を生き生きとしたものに変えていた。同イベントではまた、Amazon.com、Facebook、MySpace、Yahoo! Japanなど多数のコンテンツパートナーが会場にブースを構え、IE9のメリットを活かしたWebブラウジングの可能性を参加者に紹介していた。

Bingのプレビュー。天気情報の雲がアニメーションで変化し、天気の状態をひと目でイメージできる

ショーケース会場には普及帯のノートPCからハイエンドノート、デスクトップまで様々なPCでIE9を体験できた。Windows 7世代のPCなら、ハードウエアによる高速化の効果で、幅広い価格帯のPCでリッチなWebを利用できるという

Internet Explorer 9 Betaは、日本語を含む33言語に対応。ベータ版リリースイベントに合わせてMicrosoftが設けた ”Beauty of the Web”ページ、またはこちらのリンクからダウンロード入手できる。