登山歴5年、冬はアラスカで過ごす"山オンナ"の筆者が、アウトドアウオッチ・PROTREKの開発者である牛山和人氏から学んだ高機能ウオッチ利用法を参考に、最新モデル「PRW-5000」を実際に山で使ってみた。

山で実感! PROTREK「PRW-5000」の実力

7月某日。長野県南八ヶ岳。いくら山が好きといえども、よりによってなんでこんな猛暑日に来てしまったの!? というくらいの暑さ。早速、登山口にてPRW-5000の温度計機能を活用してみると、なんと気温31度。登る前から暑さに体力を奪われてしまう。萎える気持ちを立て直し、登山口で時計の標高を合わせ、出発。延々と続く急坂を黙々と登っていく。

気温31度のなか、うっそうとした樹林帯を登る。もう駄目だ! と思ったときには、少しずつ上がっている高度差インジケーターを励みに一歩一歩登った

今回目指す編笠山は標高2,524mの山。2,000mを越える山ではあるが、危険な箇所もなく、体力があれば初心者でも登れる山だ。ただ初心者に注意してもらいたいのが、装備。前回紹介した「安全登山のためのシンポジウム」でも注意喚起があったように、山ではちょっとしたことが大事故につながるので、持ち物には細心の注意を払わなければならない。

文字板の右上、オレンジ色の部分が高度差を示すメーターになる。オレンジの部分全体を100mか1,000mに設定できる。細かく高度差を知りたい人には100mレンジがおすすめ

ちなみに今回の1泊2日の山行でのマストアイテムを高機能ウオッチ以外で挙げるなら、
1)レインウェア上下
2)フリースなどの防寒具
3)地図
4)水筒
5)ヘッドライト
6)お菓子などの行動食
といったところ。特にレインウェアは、雨天時や遭難時に低体温症など命に関わる症状から身を守ってくれるもの。できるだけ品質のいいものを選ぶようにしたい。

さて、永遠に続くような登山道をひたすら歩くPROTREK検証登山隊一行。牛山氏のアドバイス通り、今回は高度差インジケーターのレンジを100mに設定した。

見ると、歩くたびにメーターが上がって、なんだか嬉しい! ダメダメハイカーにとってはこの機能、素晴らしい「励まし機能」にもなるのだ! 100m登ってはまたゼロに戻し……この作業だけに集中して登ること4時間。南八ヶ岳のはじっこ、編笠山の山頂に到着!

歩くこと3時間。目指す編笠山がやっと見えてきた。休憩ポイントなど、地図上に標高の表示があるポイントでこまめに時計の標高の調節をすると、常時正確な標高を知ることができるので、お忘れなく!(結局山頂到着まで忘れていたが…)

三角点に立って、いざ高度計で標高を実測してみると……。あれれ、2,524mのはずなのに、誤差が生じていた。

あ!
そういえば牛山氏が「気圧の変化によって高度計が影響を受けるので、正確な高度が分かる場所では高度計を合わせるように」と言っていたような…。

目先の標高を稼ぐのに精いっぱいで、標高調整を忘れていたのだった。というわけで、山頂で再度標高をセットする。

編笠山から望む富士山。地図読みせずに名前がわかる山はコレだけ…。地図と方位計を使って周囲の山の名前を調べると、山登りがいっそう楽しくなった

編笠山の山頂からは、ぐるり360度山が見渡せる。目前には大きな富士山、その隣には……大きな連峰…、その隣にも大きな連峰…。正直富士山以外、どれがどの山かさっぱりだ。

PRW-5000の特徴のひとつが、カシオ独自のソーラー充電システム「タフソーラー」。山で電池が切れると万事休すなので、この機能はありがたい! 腕にしたままでも充電できる

そこで牛山氏のアドバイスを実践! 方位計で北の方向を調べ、その北に合わせて地図をくるくる回して整置する。

これで今見えている風景と地図が示す風景が一致することになる。地図によると…。富士山の右隣は南アルプスの北岳、ずーっと右は北アルプスの槍ヶ岳! 面白いように周囲の山の正体がわかった。今まで「なんとなく槍ヶ岳」なんて言っていた自分が恥ずかしい…。ともあれ、楽しみながら地図読みの基礎を積むにはPRW-5000はぴったりなのだ!

山小屋に一泊し、翌日標高2,715mの権現岳を経て無事下山。途中、上昇気流に乗ってもくもくと雲が谷を上がり、快晴の空は一転暗雲が立ち込めた。そういえば昨夜、山小屋で標高を合わせて寝たのに、朝起きたら標高がさらに上がっていた。つまり気圧が下がったことで、高度表示に誤差が出たのだ。ふと牛山氏の言葉が頭をよぎる。「同じ場所にいるのに高度計の標高が上がった=気圧が下降傾向にある=天気が下り坂」。確かにPRW-5000は人知れずそのサインを発していた。もっと早く山小屋を出発するべきだった…。

翌日、もうひとつの山頂・権現岳を目指す。2日目はこまめに標高の調節をして、正確な標高情報を励みに山頂を目指した

下山途中でにわかに雲が出てきた。朝、山小屋で気圧グラフをチェックしていれば、天気が崩れそうな予測はできたかもしれない…

ぽつぽつと頬を濡らす雨のなか「この夏中にPRW-5000を使いこなして山登りをきわめる!」と堅く誓った筆者なのであった。