何度も観たくなる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』

2009年6月27日、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公開。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の興行収入が20億円だったところから、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』では40億円にまで倍増する。最善を尽くしたとはいえ、まさか倍にまで伸びるとはさすがのスタッフも予想していなかったという。スタッフ側が分析した結果から見えてきたのは、やはりリピーターの多さ。劇場で何度も確かめたくなる内容に仕上っていたことが、動員数の倍増へとつながったのではないかと。

観客動員数200万人突破記念で配布された「大入御礼・スペシャルカードセット」

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のリピーターの多さを象徴するエピソードを宣伝スタッフがひとつ披露してくれた。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が6月に公開された後、8月に行われたフィギュアイベント「ワンダーフェスティバル2009[夏]」において、公開までその存在が伏せられていた、エヴァ2号機の"ビーストモード"のフィギュアが、アマチュアディーラーから出展された。当然まだ公式資料などは出版されておらず、参考となるのはパンフレットに1点掲載された劇中のカットのみ。そのアマチュアディーラーにスタッフが確かめたところ、何度も何度も劇場に通い、詳細な部分まで確かめて作った、とのことだった。旧来のファンも、新たなファンも、それほどまでに何度も観たくなる未知の『ヱヴァ』。その奥深さが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を2009年の邦画興行収入第4位、興行収入40億円(各日本映画製作者連盟調べ)へと押し上げていったのだ。

そんな『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』において、例えば芸能人にゲスト出演してもらうといった、いわゆる映画宣伝のパターンをそのまま行ったことはひとつもないという。「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のときにもそういう話はあったのですが、どうしてもウチは特殊になってしまう。だったら無理をするよりも、最初から『普通にやりません』と宣言したほうがいい。でもべつに奇を衒ったわけではなく、『こうやればいいんじゃないか』という、カラーなりの正論をストレートにやったつもりなんです」。スタッフは謙遜気味にそう語るが、長年の慣習が強い力を持つ業界において、あえて独自の道を歩むことは、外部からの想像以上に過酷な冒険であったことは言うまでもないところである。……次ページへ続く

過去記事で振り返る『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』 - その5

●『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のBlu-ray&DVD、そしてサウンドトラック
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の公開に向けて、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のBlu-ray&DVDもリリース。『序』のDVDはすでに発売されていたが、新たに新作カットを追加するなどした「1.11」としてリリースされた。特に今回はBlu-ray版も登場したことで、新たな需要を生み、その発売当時、Blu-ray版は史上最高の初動売上を記録した。そのほか、鷺巣詩郎氏によるオリジナルサウンドトラックも大きな話題に。

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