ソフトバンクモバイルは28日、Android OS搭載のスマートフォン「HTC Desire(X06HT)」を4月下旬から発売すると発表した。ソフトバンクとしては初めてのAndroid端末となり、孫正義社長は、「技術的に最先端でないと気が済まない」と話し、ハイスペック端末であることをアピールする。料金割引などを利用した端末の実質負担金は2万円前後になるという。
HTC Desireは台湾HTC製のスマートフォンで、CPUには1GHzのSnapdragonを搭載し、3.7型WVGA(800×480ドット)の有機ELディスプレイを採用する。OSはAndroid OS 2.1で、マルチタッチやGoogle Earthの音声検索など、最新の機能が利用できる。
本体サイズは約60(W)×119(H)×11.9(D)mm、約135gで、NTTドコモが4月1日から発売するAndroid端末「Xperia」と比較すると、やや薄く、やや軽い。液晶サイズはやや小さいが、タッチパネルに加えて操作ボタンとして光学ジョイスティックも搭載する。独自UIを強化しているXperiaはOSのバージョンアップに時間がかかるため、まだ1.6というのも大きな違いだ。マルチタッチやFlash Lite 4.0など、Xperiaでは非対応の機能も、HTC Desireでは利用できる。
Android端末は、すでにドコモが「HT-03A」を発売しており、さらにXperiaも発売することになっている。ソフトバンクはそれに遅れての発売となるが、孫社長は「ソフトバンクが出すからには後手をいくものではいけない。常に先手をいかなくては」と強調し、技術的に最先端な製品を投入する意気込みを示す。
ソフトバンクはスマートフォンとしてiPhoneを提供しており、孫社長は「iPhoneの方が優れているという点もいっぱいあるが、Google好きの人もいる」ということから、「選択肢を提供したい」とAndroid端末投入の背景を語る。
HTC Desireの開発にあたりHTCは、新たなUIとして「HTC Sense」を採用。アドレス帳から人を選び、そこからメール、SMS、電話、SNSといったコミュニケーション手段を選択するという「人を中心としたUI」を導入している。
「理にかなった直感的な操作感覚」も重視。ホーム画面は7画面分を指で左右にフリックすることで切り替えられるが、ホーム画面上でピンチイン、またはホームボタンを押すことで7画面分がサムネイル表示され、画面を素早く選択できる。
Android端末の特徴であるホーム画面上に配置できるウィジェットでは、デフォルトで数十種類が用意され、時計ウィジェットだけでも13種類がプリインストールされているそうだ。
操作性への配慮では、タッチでは操作しにくいような細かい動きに対応できる光学ジョイスティックを搭載。ボタン上で指を滑らすだけでなめらかに動作し、細かいカーソル操作などが簡単に行える。
Webサイトで文字を選択した場合などに、選択文字付近に操作アイコンが表示され、それをクリックするとテキストのコピー&ペースト、辞書やインターネット検索が1タッチで行える。
そのほか、メール機能では件名でのソート機能、VIPマークを付けたメールや未読メール、添付ファイルのみを抽出する機能などの機能を追加。メールの不在通知を簡単に設定する、Microsoft ExchangeのActive Syncと連携するといった機能も備えた。
独自アプリとしては、撮影した写真の位置情報から画像をGoogleマップ上で表示したり、撮影した写真に音声やテキストを付けて記録したりできる「HTC Footprints」を搭載する。
HTCでは、今回の製品を今年2月にスペインで開催された見本市「Mobile World Congress 2010」で出展。4~6月の早い時期に発売するとしており、ソフトバンクから4月下旬に発売されれば、ほとんどグローバルと同時期の発売になるそうだ。
孫社長は、昨年11月に3.7型有機EL、1GHz SnapdragonのAndroid端末を今春に発売すると明らかにしており、今回、正式に発表されたことになる。ハードウェア、ソフトウェアのいずれもほぼグローバル端末と同じで、ソフトバンクの携帯メールであるS!メールが利用できるSMS/MMSアプリは付属しないが、これは「発売を優先した」(ソフトバンクモバイル マーケティング本部MD統括部ターミナルマーケティング部部長代行 由本昌也氏)ためで、アプリ自体は開発中だという。携帯絵文字への対応も進めているそうだ。
ソフトバンクでは、孫社長がスマートフォンへ注力しており、iPhoneだけでなく、Android向けにもさまざまな施策を検討しているという。iPhone向けには料金プランでキャンペーンも実施していたが、HTC Desire向けに同様の施策の展開も視野に入れているようだ。
ドコモがXperiaを大々的に投入する中、スマートフォンブームの火付け役となったiPhoneを抱えるソフトバンクが、新たな端末として投入するHTC Desire。今後、KDDIもAndroid端末を投入することになっており、三つ巴のスマートフォン競争が激化しそうだ。