リコーから「CX」シリーズの最新モデルとして2月に登場した「CX3」。同社「GR DIGITAL III」と同じ新世代の高感度・低ノイズ性能のノイズリダクションを搭載し、暗いところでも今まで以上にキレイな写真を写すことが出来るという同機を女性写真家・ミゾタユキが体験しました。
ツウ好みな多彩な設定や機能も充実
高感度で撮る(ISO感度の数字を大きくして撮る)と手ブレをしないシャッタースピードになるメリットはあるけど、画質の描写に少しもの足りなさを感じていた方も多いのでは? 受光効率を改善した裏面照射型CMOSセンサーやノイズリダクション機能を搭載した、CX3なら気軽に高感度でもシャッターを押すことができるうえ、初心者の方は設定をISO AUTOのままで十分キレイに撮れるはず。
裏面照射型CMOSセンサーを搭載した「CX3」。ボデイはブラック・すみれ・ツートン(ライトグレー×ピンク)の3タイプ。ツートンモデルに限り、カラートップパネルの交換サービスを用意。パネルの色はブルー・グリーン・オレンジ・パープル・シルバーの5色から選択可能で、各色50台限定 |
広角28mm~望遠300mmの10.7倍ズームレンズは狭い室内で写真を撮るときや遠くのものを大きく写したい時など幅広く対応。日常だけでなく旅行でも、このCX3があれば、風景やレストランの料理をはじめとして、いろいろな写真を撮ることが出来ますよ。
また、シーンオートモード(S-AUTO)に合わせれば、カメラを向けるだけで、「ポートレート」「スポーツ」「夜景ポートレート」「遠景」「夜景」「マクロモード」を自動で判断して最適な設定を選んでくれるのでシャッターを押すだけでOK。感覚的に写真をサッと撮りたいときには便利です。
シーンオートモード(S-AUTO)の他に自分で選ぶシーンモード(SCENE)もあります。従来モデルの「CX2」にはなかった「ペット」が加わり、「ミニチュアライズ」「ハイコントラスト白黒」「ポートレート」「マナー」「夜景」「夜景ポートレート」「遠景」「スポーツ」「高感度」「ズームマクロ」「斜め補正」「文字」の13種類が選択可能。
ペットモードはペットを驚かせないようにフラッシュやAF補助光、操作音がオフになり、部屋の中でそっと撮るときに選ぶと自然な表情やしぐさを撮ることができるモード。AFも顔優先AFのようにネコの顔を検出して優先的にピントを合わせてくれる優れものです。
シーンモードに合わせてメニューを押すと液晶画面の左側にシーンモードのアイコンが全て並び、右側には選んだモードの説明が書いてあるので、デジカメビギナーにもとても分かりやすいはず。
このシーンモードで更に自分らしく撮りたい時は、この画面上から撮影設定でアスペクト比(縦と横の比率)や露出補正を変えることもできるので、より自分のイメージ通りに狙った表現が可能になります。完全にカメラまかせではなくて、シーンモードを使いつつ自分で「こう撮ってみたいな」という撮り方が出来るのはうれしい機能ですよね。
スケール感が違う写真が撮れる、アスペクト比「16:9」
CX3では1280×720画素、フレームレート30コマ/秒のHDムービー撮影ができるようになったのも特徴。それに合わせて写真のアスペクト比が通常の4:3、中判カメラのような1:1の正方形に加えて、16:9でも撮ることが出来るようになり、横長の映画のワンシーンのような印象の写真を撮る楽しさも。16:9で飛行機から空と雲を撮った時など、スケール感が今までと違う写真になるおもしろさがありました。
また、白とび黒つぶれを効果的に抑制するダイナミックレンジ(DR)ダブルショットの機能がCX2よりアップ。このダイナミックレンジダブルショットは光が当っているところと当っていないところなど、明るさの差が大きい(露出が異なる)状況が一緒に入る写真を撮る時に選ぶと便利(AUTO・微弱~強の5種類から選べます)。
さらにダイナミックレンジ拡大効果の詳細設定から優先したい領域をハイライト・シャドー・OFFから選ぶことが出来るようになったので、明るい部分から暗いところまで、より自分の思うままのなめらかな階調の写真に写せます。撮影テクニックとして、DRに合わせて軟調の作風を撮ってみるのもおすすめ。
DR効果あり(4:3 EV+1.3)。椿の花びらのコントラストがなくなり滑らかで軟調な雰囲気に |
DR効果なし(4:3 EV+1.3)。DRがかかっていない写真だと花びらの光と影のコントラスが強いことがわかる |
マクロも広角側で1cmまで近づいて撮ることができるので、マクロらしくそして迫力のある写真を撮ることができます。連写は約5コマ/秒、ドッグランなどで遊びながら決定的な瞬間が狙えるから、お出かけ時にも持ち歩きたいデジカメです。
手ブレ補正と連写機能でシャッターチャンスを諦めない
マクロや望遠のときに気になるのが手ブレですが、CMOSセンサーがブレを打ち消す方向に動くので自動的に補正され、わずかな手ブレもしっかり補正してくれます。実際に望遠側で写真を撮る時、シャツターを押す直前まで液晶画面をみながらブレているのを感じていましたが、撮った後に再生してみたら、しっかりとブレのない写真が撮れていました。これならシャッターチャンスを諦めることもなくなると思います。
これらいろいろな充実した機能がありながらもシンプルに使ってとてもキレイな写真をとることができるCX3。それでももし、「暗い写真になって失敗したな」と思うことがあっても再生画面でレベル補正ができるので安心です。また画像サイズ変更もあるのでカメラ本体だけでブログ用に小さいサイズに変えることもできますよ。