3月2日(米国時間)から米ユタ州ソルトレイクシティにおいて、Omniture主催のユーザーカンファレンス「Omniture Summit 10」が開催されている。同サミットは、Web解析とオンラインマーケティングの大規模イベントとして有名だが、今回は米Adobe SystemsによるOmniture買収後初めてのサミットとあって、今後の同社の方向性をどう示すのかにも注目の集まるところだ。同社のCEOおよびOmniture担当トップの2人がスピーカーとして登場する基調講演(3日)には、アナリストやマーケティング担当者などを含む約2,000人が集まった。
OmnitureとAdobe Systemsがタッグを組んだ!
Adobe Systemsプレジデント兼CEOシャンタヌ ・ナラヤン(Shantanu Narayen)氏は、"AdobeとOmnitureの統合がエキサイティングである理由"について、「カスタマーの動きがますますオンライン上で活発化する中で、マーケティングや経営判断に有益な情報をどう計測し活かすかが、さらに重要となっている。(ネット上のユーザー動向で)とくに『ソーシャル』と『エンタテインメント』の2つが新たなキーワードとなってきている中で、Omnitureと一緒になったAdobe Systemsは、企業マーケティングの"クロージングループ"を強力に支援していくことが可能になった。Adobe Systemsは、企業がビジネスに必要で役立つ、真の情報やアイディアへのリーチを可能にする革命を起こしていく」と語った。
CMOの役割と「テクノロジーの簡素化」
同社オムニチュア ビジネスユニット担当 シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ジョシュ・ジェームズ(Josh James)氏は、ビジネスリーダーシップの変革期が来ていると語る。
「時代を振り返ると、ファイナンス、HR、ERPなど、ビジネスプロセスの基本となる構築期にはCFOが、次に訪れたクライアント/サーバ、インターネットといったITインフラ導入の時代にはCIOという人材が(リーダーとして)求められた。カスタマーエクスペリエンスの提供が求められるこれからの新時代には、デジタルの相互的作用や最適化を判断していくCMO(マーケティング最高責任者)が、企業の主導権を握ることになる。まさに今日来場している皆さんであり、我々もそこにフォーカスし、支援を行っていく」
ジェームズ氏は、「CMOとしての成功とは何か」について、次のように説明した。 「まずは魅力あるエクスペリエンスの創造。そして、マーケティングで、いかにあらゆるチャネルからの消費者の相互作用を統合しパーソナライズ化させることができるか。さらにインプレッションやページビューといったマーケティングメトリクスを、契約や収入といったビジネスメトリクスへと結び付け、最終段階として、Web上の消費者行動から蓄積した"マーケティング"を、営業や製品開発、サポートやHRといった他のビジネス機能に統合させて、企業責任の全体にまで反映させて行くことができるかだ」
同氏は「マーケティングの新時代の鍵となるのが、テクノロジーの簡素化だ」と語る。従来のAdobe SystemsのFlashを始めとするクリエイティブ製品から、OmnitureのSiteCatalystやSearchCenterといった解析や最適化製品までの一連のツールを提供することによって、創造から分析/解析/最適化までを行い、Webマーケティングにおける途切れのない流れを作ること、さらに、マーケティング担当者の作業を簡素化することで、「各企業のビジネスに貢献していく」と示す。この一連の流れが、ナラヤン氏も語っていた"クロージングループ"だ。従来のWeb解析分野に加えて、その他のテレビやモバイルなど複数デバイスについても視野に入れることによって、さらに強化しようとしているという。
OmnitureとFacebookの提携強化でソーシャルメディアの最適化を目指す
今回の基調講演では、「Omniture Online Marketing Suite 2.0」およびOmnitureとFacebookの提携強化についての発表も行われた。
「Omniture SearchCenter」と「Omniture SiteCatalyst」を活用してFacebookに直接広告を出稿でき、また、デジタルマーケティングチャネル全体に渡る効果を測定できることになるという(各機能/ソリューションにより日本での提供は未定)。
Facebookのバイスプレジデントのダン・ローズ(Dan Rose)氏も登壇し、「ソーシャルメディア隆盛によって、リアルタイムコミュニケーションの時代へと変化してきている。そしてソーシャルはあらゆる変革をもたらすパワーを持っていることは、オバマ大統領の当選や、地震後のチャリティ呼びかけなどの動きを見ても、誰もがすでに知るところとなった」と話した。
Omnitureのジェームズ氏は、「Facebookは、最も劇的に変化を遂げたテクノロジー企業だ。両社が提携することで、ソーシャルメディア分野の最適化を提供可能になる」と説明した。デモセッションでは、「Omniture Online Marketing Suite 2.0」を含めた同社製品を使って、JJ ESQUIREのサイト上で、ユーザーの閲覧行動によって瞬時にトップページのFLASHが入れ替わる様子や、Facebookとの連携で追加された機能を使い、顧客行動にリーチする手法をデモンストレーションして見せた。
「バイラルマーケティング」の著者も登場!
今回の「Omniture Summit10」の基調講演では、OmnitureとAdobe Systemsの統合によって提供される、データの収集と解析、最適化製品までの一連のツールによる今後の可能性と、IT環境の変化によって企業内のビジネスリーダーシップの変革と新たな提案(CMO)、OmnitureとFacebookの提携強化によるソーシャルメディアの最適化に関して発表が行なわれたわけだが、そのほかにも『バイラルマーケティング』の著者で知られるセス・ゴーディン(Seth Godin)氏によるメジャーな基調講演が予定されている。
さらにオンラインマーケティングやコンバージョン、解析などといったカテゴリ別に50のブレイクアウトセッションが用意され、参加者たちはそれぞれのセッションに参加することとなっている。