シェアでは目立たないが、高速性や革新的な機能が熱心なファンに支えられているブラウザベンダのノルウェーのOpera Software。次の主戦場となるモバイルにもいち早く進出、現在シェアトップとなっている。
そのOperaを率いてきたのがJon von Tetzchner氏、1月にCEOを退き、現在は共同創業者としてOperaを支えている。2月中旬、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2010」でvon Tetzchner氏に話を聞いた。
--現在、モバイルで大きなシェアを誇りますが、競争が厳しくなりそうですが…。Mozillaなどもモバイル向けを開発しています。モバイルにおける御社の戦略は?
毎日、競争の話を聞きます(笑)。
Opera Miniのアクティブユーザー数は1億500万人で、毎月数万単位で増えています。これに加えて、Opera Mobileがあります。この2つを合わせると、Operaがもっとも人気のあるブラウザということは明らかです。サードパーティの数値を見ても、同じような内容です。
競争があるのはいいことです。モバイルは45億台市場といわれており、毎年10億台が追加されているといわれているのです。競争がないほうがおかしいといえます。
Operaはこの競争を順調に進めることができると思います。戦略はユーザーが使いたいと思う製品を設計/開発する - これまでずっとやってきたことで、今後も継続します。
競争は激しくなっても、プレイヤーの数はそれほど増えないと思います。
ブラウザを構築するのは簡単なことではありません。この10年間、スクラッチから作成されたブラウザは1つとしてありません - ここは重要なポイントです。現在、Webブラウザとしては基本的に、Microsoft、Mozilla、Apple、そしてわれわれの4種類です。たとえばGoogleの「Chrome」は、Appleの「WebKit」をベースとしています。Chrome以外にもWebKitベースのものがいくつかありますが、この場合Appleにある程度依存することになります。
Operaはモバイルでは1位で、デスクトップでもロシア、ベラルーシ、ウクライナなどで強く、一部の国でブラウザシェアのナンバー1となっています。欧州では平均すると10%で、世界ベースでは1 - 10%の間です。
--MWCでiPhone向け「Opera Mini 5」をプレビューしましたね。Appleは承認するでしょうか?
そう楽観しています(笑)。
Appleのやり方についてはいろいろといわれていますが、Appleが承認しない理由がわたしには思いつきません。
Opera Miniは優れた製品で世界でもっとも利用されているモバイルWebブラウザです。ユーザーからの人気が高く、iPhoneユーザーにも新しい体験をもたらします。
まず非常に高速です。高速なネットワークではなくても、快適にブラウジングできます。これはOpera独自の圧縮技術によるものです。社内のテストで3Gを使って「Safari」と比較したところ、最大6倍高速でした。圧縮技術により、最大90%圧縮が可能です。これは通常の利用を含め、国際ローミング時に大きなメリットをもたらします。このように、Miniはほかにはない優れた機能を持っています。ユーザーインタフェースも改善され、使い勝手がさらによくなりました。
--スマートフォン市場を見ると、(自社Webブラウザをバンドルした)iPhoneとAndroidの躍進が目立ちます。このトレンドを懸念していますか?
創業からこれまでの間、Operaは常に戦ってきました。われわれは競争に慣れています。
OEMにプリインストールされることもあれば、オペレータにプリンストールされることもあります。戦略としてもっとも効果があるのはすべての端末にプリインストールされることですが、そうならなかった場合もダウンロードによりリーチを図ることができます。Opera Miniの毎日のダウンロード数は3 - 4万件に達しています。途上国、成長国とさまざまな国のユーザーがダウンロードしています。
Symbian/Series 60、Blackberryなどスマートフォンユーザーからの人気は高く、もしiPhoneで提供されるようになれば、Safariがあっても、Operaを使うと思います。ダウンロード数がさらに増えると期待しています。Androidでも、Android搭載機を開発するベンダは差別化としてOperaを搭載したがっています。オペレータもしかりで、自社サービスの差別化としてOperaを搭載したがっています。つまり、Operaにとってはすべてのスマートフォンプラットフォームが潜在プラットフォームなのです。