米Appleが現在開発中と噂される第4世代iPhoneの早期フィールドテストがサンフランシスコのベイエリアで実施されている可能性が、iPhoneアプリを開発する会社の利用ログのデータから明らかになった。米Ars Technicaが11月30日(現地時間)に報じている。同様のデータは現行のiPhone 3GSが発売される8カ月前にも観測されており、第4世代iPhoneの今年夏発売に向けての準備が進んでいる様子がうかがえる。
次期バージョンのiPhoneがフィールドテストに入っていることを最初に報じたのはMacRumors.comで、「iBART」というiPhoneアプリを開発するPandavの証言として、データ分析サービスを提供するPinchMediaの集計ログの中に「iPhone OS 3.1」というファームウェア番号が出現したことを報告している。BARTとはサンフランシスコを中心としたベイエリアを結ぶ高速交通システムで、iBARTはその乗り換え案内アプリだ。アプリ開発者は将来の新OSバージョン移行に備えてユーザーの利用動向やハードウェア環境を取得することがあり、今回のケースもこのサンプルデータの中にOSの新バージョン番号が含まれていたことから発覚した。
同様のケースはiPhone 3GS発売前のころにもみられ、この場合は発売8カ月前に「2.1」というバージョン番号がログに出現していた。3.1というバージョン番号が最初に発見されたのは今年8月で、2.1と3.1の両バージョンともに端末の出没エリアは米Apple本社のあるベイエリア南端のクパチーノ周辺だったという。ファームウェアの番号が必ずしも新端末の登場に結びつくわけではないが、過去の経緯を踏まえれば非常に可能性が高いというのがこれら報道の推測だ。
また第4世代iPhoneの全体像について、いくつかの噂が出てきている。1つはCDMAサポートで、iPhoneがGSM/CDMAの両系統ネットワークをサポートするハイブリッド端末となり、例えば米Verizon Wirelessのネットワークでも利用できるようになるというものだ。Apple Insiderは30日、台湾Digi Timesに掲載されたQualcomm関係者のコメントを引用し、同社とAppleが提携について模索しているという話を紹介した。ご存知のようにQualcommはCDMA系端末の多くにチップを提供しているメーカーで、現在Infineonのベースバンドチップを利用しているAppleにとって、Qualcommとの提携はCDMAサポートを模索していることの現れとなる。Appleは現在新型iPhoneや2010年登場が噂されるタブレット型端末の提供でVerizon Wirelessとの交渉を進めているという話が出ているが、Digitimesの関係者のコメントはこれを裏付けることになるかもしれない。だが一方で現時点での交渉では2010年夏発売には間に合わないという指摘もある。
またArs Technicaによれば、このほかの噂として、Appleが買収したPA Semiの開発するARMベースチップを搭載する初の製品が、第4世代iPhoneになるというものがある。そしてソフトウェア方面では、地図とコンパスアプリケーションの強化が行われる可能性を指摘する。Appleでは現在、iPhone and iPod touch Maps開発チームで働けるエンジニアを募集しているが、ここでMapKitやCoreLocationフレームワークの強化と刷新を検討しているというのだ。Appleと地図サービスについてはPlaceBase買収の話もあり、次期iPhoneでの最重要ポイントとなる可能性は高いようだ。