KDDIは19日、au携帯電話の新製品と新サービスを発表した。他社に押され不調のauだが、全20機種をラインナップし、Eメールが無料になる新料金プランも用意し、反転攻勢を仕掛ける考えだ。

端末の魅力と料金で攻勢を仕掛けるauの小野寺正社長

ガンガンとメールを送る人にオトクなプラン

auは今年に入って、事業の柱として「4つの価値」を提案。それぞれinnovative(革新的な)、design(デザイン)、usability(ユーザビリティ)に加え、「買いやすさ、選びやすさ」の4本だ。その中で今回の発表会では、「買いやすさ、選びやすさにフォーカスした」(小野寺正社長)。

auの目指す4つの柱

auでは新サービスとして、すでに3件までのau携帯宛の通話を24時間無料にする「指定通話定額」と、390円からスタートする2段階定額制「ダブル定額スーパーライト」をスタートさせており、それぞれ現時点で140万人、120万人の契約者を獲得。「8月、9月の純増数アップにつながった」(同)という。

さらに、8月から提供しているau携帯と「auおうち電話」の組み合わせによる通話割引サービス「auまとめトーク」に加え、11月からはNTT加入の固定電話ユーザーに対しても同様の通話割引サービス「auまとめライン」を提供する予定で「auならではのFMC(固定と携帯の融合)サービスも拡充している」(同)が、「今年のauはそれだけでは終わらない」と小野寺社長はいう。

最近のauの料金施策。指定通話定額の140万は「期待通り」(小野寺社長)の成果だという

その新サービスが「ガンガンメール」だ。auは、指定通話定額で、時間制限のない無料通話を実現したが、ガンガンメールでは「メールの制限を外す」のが狙いだ。その背景には、携帯ユーザーの54%が、他社携帯宛のメールが有料になることに不満を感じており、容量の大きいメールが有料になることについても51%が不満を感じているという調査結果だ。

メール相手、容量を問わずに無料となるガンガンメール

メールに対する不満

ガンガンメールでは、月額基本料金780円の「プランEシンプル」に「EZ WINコース」(月額315円)を組み合わせた1,095円で、他社携帯同士であっても、メール容量がどれだけ大きくてもEメールの送受信が無料になる。このプランにはパケット定額制も含まれており、メール以外のパケット通信を使った場合も最大4,410円となる。

この指定通話定額とガンガンメールは、特にソフトバンクモバイルを意識している印象の強いサービスだ。ソフトバンクは、月額980円のホワイトプランで、ソフトバンク同士であれば1~21時の間は通話し放題になる。ソフトバンク同士ならメールは終日無料だが、300KB以上のメールは有料となる。ソフトバンクの料金プランでは、パケット定額料が最低で390~4,410円、Eメール・Web月額料が315円かかるので、ホワイトプラン月額料980円とあわせて月額料金は1,685~5,705円となる。

ガンガンメールの料金。通話プラントも一体化されている

ガンガンメールと他社比較。AがNTTドコモ、Bがソフトバンクのようだ

auの場合は、パケット定額料は月額基本料780円に含まれ、メール・Web月額料の315円のみなので、月額料金は1,095~5,505円となりオトクになる。指定通話定額月額料は390円なので、これを加えると1,485~5,895円となり、通話がau携帯3件まで、ほかの要件はすべてメールで行うと、通話で時間制限、メールで容量、相手制限がなく1,485円で収まることになる。

小野寺社長は、ユーザーの間で「メールについての不満がかなりあるのが実感」と指摘。これまでは音声ユーザーに対しての料金施策を打ち出してきたが、今回はメールに特化した料金プランを、同社としては「初めて」(同)打ち出し、メール中心のユーザーに対して訴求していく。小野寺社長は、ガンガンメールが「他社にはない新しいプラン」と自信を見せ、これによって純増数の拡大を目指し、増収につなげていきたい考えだ。

LISMOで本も読める

その他のサービスでは、音楽、映像配信のLISMOサービスを拡充し、新たに書籍コンテンツ配信の「LISMO Book」を追加し、音楽を中心にした映像、書籍の「総合エンタメブランド」(高橋氏)にリニューアルする。

既存の音楽、映像に加えて書籍もサポートする

リニューアルしたLISMOのロゴ

リニューアルにあわせて実施される「LISMO!で恋するキャンペーン」では、オリジナルドラマ「恋ばな」を限定配信し、その主題歌flumpoolの「見つめていたい」のショートバージョン、原作・北川悦吏子の「恋愛道」の体験版(ドラマに使われた2話分)を配信する。

LISMO!で恋するキャンペーン

同時に検索機能を強化し、たとえばLISMOで映画を検索すると、その書籍コンテンツで原作を、音楽では主題歌も同時に検索できるようにしたほか、楽曲検索時にインクリメンタルサーチに対応し、検索性を向上させた。

検索機能が強化され、横断的な検索ができるようになった

複数のコンテンツを一括してダウンロードできる「デジタルパッケージ配信」にも対応。たとえばマドンナの着うたフル、ビデオクリップ、ヒストリーブックが一体となったパックや、着うたのミリオンヒットを集めたパックなどが一括で入手できる。

デジタルパッケージ配信では、マドンナのほかにも東方神起やGReeeeN、Aqua Timesなどが提供予定

携帯上のプレイヤー「LISMO Player」では音楽、映像、書籍を一括して扱えるようになったほか、PC向けアプリの「LISMO Port」はバージョン4.0になった。ソニーのマルチメディアソフト「x-アプリ」とほぼ同等の機能を備え、画像やビデオも管理できるようになっており、管理している画像やビデオを携帯に簡単に転送できるようになった。x-アプリが対応する動画ファイルなら管理・転送ができるが、基本的にはコーデックが入っていれば、Windowsで再生できるすべての映像ファイルが転送できるそうだ。

LISMO Playerに書籍も統合された

PC向けのLISMO Portがバージョンアップして「x-アプリ」相当になったほか、旧「au Music Port」対応機種でも利用できるようになった

au Music Portでは動画の管理・映像の転送も可能に

音楽CDを携帯へ取り込みのは1クリックでできるようになった

Bluetooth対応カーナビゲーションシステムとの連携機能も強化。新たにBluetoothのプロファイルであるAVRCP ver1.4に対応。対応カーナビの大画面タッチパネルを使って、LISMO Playerのライブラリにアクセスして楽曲の再生を行えるようになった。プレイリストにアクセスしたり、ランダム再生などの設定もカーナビから変更できる。現時点では、トヨタ自動車のディーラーオプションナビ「NHZA-W59G」「NSDT-W59」の2製品が対応しているが、今後対応ナビは拡充される見込みだ。

一部のカーナビとBluetoothで接続し、携帯内の音楽をより便利に使えるようになる

デコレーションメールと絵文字に関しては、多く寄せられた要望に応える形で機能を拡充する。デコレーションメールでは、絵文字の数を最大で3,000種類にまで拡大。新機種の内6機種に3,000種類で、それ以外にも1,000種類以上の絵文字を内蔵する。

さらに従来は新規メール作成とデコレーションメール作成が別画面になっていたが、これを統合し、通常のメール作成中にデコレーションメールに変更できるようになった。デコレーション絵文字も、通常の絵文字の画面から切り替えて選択できるようになった。

携帯メールに対する不満

新たに搭載される絵文字と操作性の改善

カーナビゲーションアプリ「EZ助手席ナビ」の機能も強化し、新たに「ドライブプラン」メニューを追加してドライブ計画をサポート。新機能として、交差点やジャンクションの拡大図、レーン情報の表示が可能になった。また、高速道路では、地図と次のサービスエリアなどが2画面で表示されるようになるなど、利便性が向上した。新しいEZ助手席ナビはSH005/SH006/URBANO BARONE/K004にプリインストールされるが、順次ほかの端末向けにもバージョンアップを配信する予定だ。

機能強化されるEZ助手席ナビ

ガンガンメールのCMキャラクターとして土屋アンナさんを起用。ガンガンメールに「バビョーン!!!」と驚くというユニークで「ロック」なCMだそうだ