KDDIは19日、au携帯電話の秋冬から春にかけての新端末を発表した。各機種の詳細は別記事に譲るとして、発表会で述べられた端末の特徴などについて紹介したい。
選べるケータイ
今回auが発売する新端末は、重視するポイントとして「選べる高画質カメラ」「映像」「選べるスリム&コンパクト」「エルダー・ジュニア」「法人・データ通信端末」という5つの柱が挙げられている。
携帯カメラに関しては、特に高校・大学生の女性で8割以上、学生以外の10~20代の女性も8割が画質を重視しており、10~20代全体でも7割が高画質を求めているということから、同社では高画質のモデルを複数用意し、選択肢を広げた。
用意されたのは、有効画素数1,220万画素の「EXILIMケータイ CA003」、同1,210万画素の「AQUOS SHOT SH003」「AQUOS SHOT SH006」の3モデル。さらに同800万画素の「EXILIMケータイ CA004」「SH004」を発売。新色を追加する「Cyber-shotケータイ S001」を含めて、6モデルを高画質カメラモデルとして投入する。
カメラの画質は単純に画素数の大小では決定しないし、高画素化による弊害もあるのだが、今回は高画素化による高画質が追求されている。ただ、CA003の20コマ/秒の高速連写とダイナミックフォト、SH003のタッチパネルによるタッチ操作、SH006のCCDカメラなど、さまざまな工夫も盛り込んでいる。
「映像」に関しては、ソニーの薄型テレビ「ブラビア」ブランドの携帯電話「BRAVIA Phone U1」を発売する。ブラビアで培った高画質技術を投入するとともに、防水機能を追加しており、お風呂やアウトドアシーンでも高画質映像を楽しめる。
BRAVIA Phone U1は、ソニーのBlu-ray Discレコーダーに搭載される「おでかけ転送」に対応。録画時に同時に記録される小さいサイズの番組を端末内のSDカードに転送し、持ち出すことができる。地上デジタル/BS/CS、アクトビラ、スカパー!の番組が持ち出せる。
BRAVIA Phone U1は、ソニー製の家電と連携する。BDレコーダーのお出かけ転送機能を使えば、録画した番組を簡単に携帯に持ち出せる。なお、SHシリーズの携帯は、シャープのBDレコーダーにある同様の機能を使って番組を持ち出せる |
また、携帯カメラの写真からスライドビデオを作成する「MYスライドビデオ」では、ソニーマーケティングの「<ブラビア>ポストカードサービス」と連携させ、ソニーの「ブラビア」でMYスライドビデオが視聴できるようになる。
「選べるスリム&コンパクト」では、携帯の持ちやすさを重視するユーザーが6割を超え、薄さを重視するユーザーも46.2%と年々増加傾向にあることからラインナップを拡充する。
用意したのは世界最薄11.9mmのワンセグスライドケータイ「SA001」、世界最薄防水ケータイ「T003」、7色から選択できる防水スリムケータイ「SH005」、海外でも利用できるコンパクトボディの「S002」の4機種。
高橋誠 取締役執行役員常務・コンシューマ商品統括本部長によれば、同社は中高年のエルダー層の開拓にも力を入れているとのことで、売り場にも専用コーナーを設けるなどした結果、この層の顧客獲得が上がってきており、「(他社の獲得に比べて)ちょっと勝っているぐらい」だという。
そのエルダー層に向けた端末が「URBANO(アルバーノ)」シリーズの第2弾「URBANO BARONE(アルバーノ バローネ)」だ。大型キーと使いやすいメニュー画面、洗練されたデザインでエルダー層にアピールする。
使いやすさを求めるエルダー層には「簡単ケータイ K004」を用意。従来に比べ、十字キー、通話/終話キーの表面加工によって質感を変えたことで、ほかのキーと区別が付きやすく、より使いやすくなったとしている。
子ども向けには、防犯最大手のセコムと連携した安心見守りケータイ「mamorino」を用意。端末自体は防犯ブザーを内蔵したコンパクト端末だが、防犯ブザーを鳴らすと同時にセコムに通報が入る仕組みで、緊急時にはセコムが駆けつけるシステムになっている。
もともと「ココセコム」として提供されているサービスだが、mamorinoユーザーに対してはココセコムの月額料を不要とし、auへの月額基本料780円+EZweb月額料315円でサービスが利用できるようにした(現場急行料金などは別途必要)。
mamorinoの機能は限定されており、学校に持ち込むことも想定されている。電源を切る場合は従来のジュニアケータイで使われていた専用工具を使うか、保護者の暗証番号入力でも電源オフにできる |
ココセコムのサービスと連携することで、より安心・安全を提供する |
端末自体は10キーのないシンプルなデザインで、数字ボタンがないため指定した通話先にしか通話できず、インターネット接続もできない。防水機能もあり、ランドセルの肩紐に装着したまま通話できるハンズフリー機能も搭載している。
法人向けには、外部メモリを搭載せず、ビジネス用途に特化した機能に絞った「E07K」を発売するほか、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXとauデータ通信の両方が利用できるデータ通信端末4機種を用意。
これに加え、すでに発表済みの「iida」ブランドの携帯電話を加えて20モデルを、今回の秋冬モデル(一部は春モデル)として発売する。高橋氏は、「かなりラインナップに力を込めている」と強調。このうち、CA003/SH003/CA004/S001/SA001/T003/S002の7機種は10月30日に一斉発売する。小分けにして発売するか同時に発売するか、どちらが効果的かは小野寺社長自身も「分からない」と話すとおり、今回は実験的に一斉発売を行うようだ。
いずれにしても7機種を一斉に店頭に並べることで、「勢いのあるauを実現していきたい」(高橋氏)考えだ。
今回の端末は、高いものでも6万円台、安いものでは3万円台となる見込み。スマートフォンを含めて特徴的な製品は少なく、ラインナップはやや保守的と言えるが、小野寺社長はリリースタイミング的に堅実なラインナップになったという認識を示す。
auが弱いとされるスマートフォンでは、iPhoneが好調とはいえ、1億を超える加入者の中ではまだユーザーは限られていると小野寺社長は指摘。iPhone対抗も検討していくものの、まずはauの独自性を出した、使いやすい高機能端末でiPhoneに対抗していく考え。小野寺社長自身は、iPhoneの大きさ、タッチパネルといった部分に、国内ユーザーに受け入れられるかという疑問があるようだ。