ネイバージャパンが先月提供を開始した画像編集のWebアプリケーション『NAVERフォトエディター』。動作は軽快で、機能やUIもブラウザ上であることを忘れるほど洗練されている。ブログやソーシャルサービスへの画像投稿のためにデジカメ画像を編集したいユーザー、またネットブックで画像編集を行いたいユーザーには最適なサービスだ。

登録要らずのクライアントアプリ感覚

Webサービスのユーザー登録は、簡便化が進んでいるとはいえ面倒だし、毎回サインインするのも煩わしい。NAVERフォトエディターは、一切の登録不要ですぐに使うことができる。「マイページ」などのパーソナライズドサービスはないが、ローカルのデータを編集しローカルに保存する仕組みになっていることで、クライアントアプリケーションのような感覚で使用できる。

まずはアプリを起動。画像編集ソフトを起動していると思えないほどの速さで編集画面が開く

データは右下の「参照」ボタンから選択。同時に5枚まで開ける。個別に閉じることも可能

ファイル形式はJPEG/PNGおよびNAVERフォトエディター専用形式であるNPEに対応。最大サイズは2,000×2,000ピクセル。もとの画像サイズが大きい場合は、自動的に長辺2,000ピクセルに合わせてリサイズして表示される。

基本編集は「手早く」&「細かく」の二段構え

上部に編集機能のアイコンが並んでいる。これだけできればブログやソーシャルサービスへの画像投稿には事足りるだろう。

【回転】スライダ操作でちょっと傾いた画像の調整も可能。ただし、傾けてはみ出した部分は切り落とされる。縦/横90度回転、上下/左右反転はボタンで操作

【切り取り】「比率維持」チェックで、元画像と同じ比率でトリミング可能。範囲選択時に[Shift]キーで縦横比固定、[Alt]キーでクリック開始地点が選択範囲の中央となる

【サイズ調整】ピクセル数またはパーセントで指定可能。編集中でも下の「100%」ボタンで実際の大きさを表示してみることができる

色補正系の機能も充実している。「自動補正」のほか、ホワイトバランスを調整できる「白色補正」、さらにこだわって調整できる「色調補正」「レベル補正」機能まで搭載。プリセットで手早く、マニュアルで細かくという使い方の切り分けが明確だ。

【白色補正】照明の影響などによる色かぶりが簡単に補正できる。プレビューもリアルタイムで表示される

【レベル補正】微調整したいときにはマニュアル操作の補正機能で細かく設定することができる

初心者にも中・上級者にも勧められる

もう一歩踏み込んだ加工を行うなら、「移動」「変形」の切り貼り系、「ブラシ」「消しゴム」などの描画系、「ぼかし」「モザイク」「効果」などのフィルタ系機能が使える。しかもレイヤー対応で、スクリーン/オーバーレイ/乗算などのレイヤーモードも設定可能だ。

【範囲選択】円形や自動選択も利用できる。また、キーボードとの組み合わせで選択範囲の追加や移動等の機能が使える

【レイヤー】1つの画像につき、最大10枚使用可能。同時に開いている別の画像もドラッグ&ドロップで取り込める

【ブラシ】ブラシの太さがスライダ上に円で表示される。カラーパレットはコンパクトながら機能的だ

【テキスト】テキストを入力、フォント/サイズ/色を選択し、確定すると画像レイヤーに変換される。ローカルにインストールされているフォントを使用できる

独自形式のNPEで保存すればレイヤー情報が保持される。なお、読み込む際にリサイズされた画像はリサイズされた大きさで保存される。

現在扱えるのはローカルにある画像のみだが、9月中旬頃にはFlickrからの画像読み込みに対応する予定。Flickrアカウントから画像を開き、保存先はローカルとなる。

全体を通して、軽快でシンプルながら一般的な編集作業が一通りできる、ということが一番の特徴だ。さらに、細かい調整に対応できる機能がしっかり作り込まれていることで、幅広いユーザー層のニーズに応えるクォリティを実現していると言える。インタフェースがシンプルでわかりやすいため、画像編集初心者にも勧められるし、限定的な目的に限って言えば、日頃からAdobe Photoshop系ソフトなどを使い慣れている人にとっても違和感なく、またストレス無く使うことができるだろう。

あえて贅沢を言うなら、写ってしまったアラを消せる「スタンプ」ツールが欲しいところだ。また、軽快な動作を活かして、キーボードショートカットでツールの持ち替え・Undo・保存などができると、Webアプリという垣根無く、より日常のツールとして活用できるものになるだろう。