――監督にお伺いします。こういった物語を作ろうと思ったきっかけは何ですか?
佐藤監督「企画自体は、まずパチンコの『海物語』のアニメを作るということがあって、変身美少女モノというところまで決まった段階で、僕のところに来たのですが、どういう骨格のものにするかは決まっていなかったんですね。それでいろいろと作品を進めていく中、実際に奄美大島に取材にいったんですよ。今回の天神子島という舞台は、奄美大島をモデルにしているのですが、そこで現地の人からいろいろと、島の歴史などの話を聞いていくうちに、いろいろなことが見えてきて、『あ、これだ』と、今回の『うみものがたり』の方向はこれだっていうことが見えてきて、先ほども申しました『愛すること』とか、『好きだとはどういうことか』、『人と人がどうやって繋がっていくか』ということをテーマにしていくところまでが決まりました。この奄美大島が、今回はかなり重要なファクターになっています」
――パチンコの『海物語』とアニメの『うみものがたり』のちがいについて教えてください
佐藤監督「パチンコは僕もやったことがないのですが、パチンコの『海物語』とアニメの『うみものがたり』の色合いをどのように変えていくかということが、こちらに預けられていたひとつのテーマであったりもします。もともとパチンコの世界の『海物語』は、それほどドラマがちゃんと作られているわけではないので、その素材をいただいて、どう作るかというのはこちらの仕事になりますが、やはり、パチンコをやる人ばかりよりも、むしろアニメを好きな人や、ゆくゆくは子どもたちにも観てもらえるといいなと思っていますので、アプローチの仕方はこれまでの作品とそれほど大きくちがうわけではありません。やはりこの『うみものがたり』という作品をどのように楽しんでもらうかが軸足といいますか、作るうえでの重要なポイントになっていると僕は思っています」
――最後に、作品への意気込みやファンの方へのメッセージをお願いします
阿澄「作品としては本当に夏にピッタリの、海に行きたくなるようなそんなキラキラした作品になると思います。マリンちゃんは、人が誰かを、そして人に限らず何かを『好き』になるという感情を素直に、そして全面に出して表現するキャラクターなので、そんなマリンちゃんから、こんな風に出してもいいんだ、出すっていいものなんだということが伝わっていけばすごくうれしいです。私自身も本当にこれから先の展開を楽しみにしておりますので、ぜひ皆さんもこの作品を観て、心をあたたかくしていただけたらいいなと思います。よろしくお願いします」
寿「『うみものがたり』という作品はとても素敵で、自分がこうやって関わらせていただけるのはとてもうれしいことだと思っています。もうひとつ、この『うみものがたり』の注目ポイントとしては、『音楽』もあります。PVなどでも流れていますが、ピアノなどによる、素敵で心にジーンとくるようなサウンドになっています。たくさんの方に『うみものがたり』を観ていただき、夏音だけではなく、ほかのキャラクターにもいろいろな心の変化がありますので、この夏、一緒に一皮むけていただけたらうれしいなと思います。これからよろしくお願いします」
堀江「『うみものがたり』は、観終わった後に毎回ちょっとずつ心がふわっとするような作品だと思っています。私が演じるウリンちゃんは、今のところ大好きなマリンお姉ちゃんを夏音ちゃんに取られぎみということで、ちょっと面白くないみたいな状態が続いていますが、そのあたりが今後どうなっていくかというところもちょっと注目していただきつつ、一番最後までこの作品を楽しんでいただいて、皆さんの心の中に何かが残せたら、とても素敵なことだなと思っています。ぜひ最後まで楽しんで観てください」
永井「この作品が持つキラキラさに、私も乗って、私もキラキラと頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします」
間島「美少女が変身して戦ったりするのですが、サムは美少女でもなければ変身もしないので、そういうのとは一切関係ありません(笑)。彼は彼なりに、『海ぶどう』と『歯の輝き』とともに頑張って生きていくと思いますので、僕も彼の歯の輝きに負けないような声をつけていきたいなと思っています」
福井「この『うみものがたり』では、いろいろなキラキラを、サムさんの歯も含めて(笑)、感じていただければいいなと思います。私もワリンとして、マリンのことが大好きな気持ちなどを、皆さんに伝えられるように頑張っていきたいと思います。今後ともぜひキラキラしながら、よろしくお願いします」
納谷「僕が楽しみにしているのは、色がついたときの絵ですね。早く完成品を観たいと思っています」
儀武「監督が奄美大島にいって、現地を取材をしているので、すごく南の島っぽい素敵な映像になることは間違いなしです。観ていただいた方がセリフからも『南っぽい』と思ってくれるように、キャストの方々にわかりやすく沖縄のなまりを伝えられたらいいなと思っています。ちょっと癖のあるしゃべり方なので、100%沖縄弁でというのはやはり難しいのですが、南の雰囲気がすると少しでも思っていただけるように頑張っています。ぜひ皆さんには、その南っぽい、あたたかい夏の雰囲気を楽しんでほしいと思います」
佐藤監督「今回、世界観をどう作るかというのが一番重要なところだったので、奄美大島に取材に行ったというのもそうなのですが、そこで取材したことを元に話を作り、音楽も奄美在住の村松健さんに、実際に現地で歌われているような本当の島唄を作っていただき、方言も近いものを使うことで、いかに存在感を出していくかということをひとつのテーマにしています。納谷さんがご自分のことを長老とおっしゃっていましたが、背景を描いていただいている小林さんも、アニメ界でいえば長老のような方で、本当に我々が子どものころから背景を描き、このデジタル全盛の中でも、いまだに紙にこだわっていらっしゃる方なのですが、そういったことも含めて、この『うみものがたり』ならではの世界観をいかに作るかということに、重点を置いて頑張っているところです。あとはドラマ作りでは、キャラクターがこれからも変わっていきます。まだ4話なので、みんな良い人ばっかりのキラキラな作品という風に感じられるかもしれませんが、この後、みんな変わっていくというドラマが待っております。一番最初に夏音の邪悪100%というのが、マリンと出会うことによって少しずつ変わりはじめるのですが、マリンの力で夏音が変わり、マリンと夏音に嫉妬してウリンが変わっていき、ウリンが変わったことで、マリンが変わっていき……、という風に、キャラクターがそれぞれ変わっていきます。私自身がそんなピュアな人間じゃないもんですから、そんなピュアなまま走るわけもなく、いろいろと邪悪な展開が待っています(笑)。夏音のことが大嫌いというキャラもこの後には出てきますし。そんな中で、人を好きになるというのは楽しいけれど、辛いこともあるんだぞっていうことも含めて、でもいいじゃないか、そういうのがいいんじゃないかというところに行き着く物語を目指して走っているところです。なので、この後、キャストの皆さんも驚くべき、意外な展開が待っていますが、キチンとしたカタチで、安心して終われる最後が待っているというところを期待していただいていいのではないかと思います。そんな着地を目指して現在日夜努力しておりますので、アフレコで絵が白いのは、少し勘弁してください(笑)」
――ありがとうございました
TVアニメ『うみものがたり~あなたがいてくれたコト~』は2009年夏放送開始。
■TVアニメ『うみものがたり~あなたがいてくれたコト~』おもなスタッフ
原案 / 海物語シリーズ◆ストーリー原案 / 築地俊彦◆監督 / 佐藤順一◆シリーズディレクター / 紅優◆シリーズ構成 / 山田由香◆脚本 / 横谷昌宏、吉田玲子◆キャラクターデザイン / 飯塚晴子◆美術監督 / 小林七郎◆撮影監督 / 太田和亨◆色彩設計 / 川上善美◆編集 / 平木大輔◆選曲 / 佐藤恭野◆音楽 / 村松健◆アニメーション制作 / ZEXCS◆製作 / うみものがたり製作委員会
■TVアニメ『うみものがたり~あなたがいてくれたコト~』おもなキャスト
マリン / 阿澄佳奈◆夏音 / 寿美菜子◆ウリン / 堀江由衣◆宮守都 / 永井幸子◆サム / 間島淳司◆ワリン / 福井裕佳梨◆鈴木 / 儀武ゆう子◆松本 / 納谷六朗 ほか
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