――それではカップリングの「リンクシンク」について教えてください

「この曲にもせつない部分があるのですが、一言で言えばかわいい感じの曲になっています。これまで、かわいらしい歌ってあまり歌ったことがないんですよ。今回初めて有里泉美さんに歌詞を書いていただいているのですが、すごく甘い、かわいらしい歌詞になっていたので、最初に歌ったときはちょっと照れてしまいました(笑)。この曲は、"淡いピンク"をイメージして歌わせていただいています」

――「リンクシンク」は歌詞に注目といったところですか?

「すごく面白い歌詞だと思っています。歌詞の中に『マカロン』という言葉が入っているのですが、実は私、『マカロン』が大好きなんですよ。もしかして私のことを考えて書いてくださったのかな、なんて思ってちょっとうれしくなりました。お会いしたことがないので、勝手な想像なんですけど(笑)、すごい"愛されている感"を感じました」

――それでは特に「マカロン」に注目ですね

「聴いていると『えっ? マカロン?』って思うんじゃないでしょうか。マカロンというお菓子自体、ご存知の方はあまり多くないのではと思いますが、私自身は2年くらい前に初めて知って、そこからハマっています(笑)。マカロンは、ふわっとしていて、サクっとしていて、中はしっとりとしているじゃないですか。この曲が何を言いたいかということが、この『マカロン』という言葉でうまく表現されているのではないかと思っています」

――マカロンを知っていればさらに深みを感じられるということですね

「そうですね。なので、マカロンを食べながら聴いていていただけるといいなって思います。あと。この曲にもちゃんとDメロが入っています(笑)。特にリクエストはしていなかったのですが、Dメロがあったので、『やっぱりわかってくれているな』って思いました。ここもちょっと"愛されている感"がたっぷりです(笑)」

――3曲目には久々の「Wing of Destiny」が収録されています

「本当に久しぶりですね。私自身も2年前に歌って以来、カラオケで少し歌った程度なんですよ。でも、いろいろな方にカバーしていただくなど、すごく人気が高い曲であることをあらためて感じています。ブログなどで、『今日カラオケでWing of Destinyを歌ってきました』みたいなのをみると、素直にうれしくなってきます」

――今回の「Wing of Destiny」はどういったアレンジになっていますか?

「トランスっぽい感じに仕上がっていますね。前回の曲は、今だからみんな問題なくノれると思うのですが、最初は本当にノるのが難しい曲だったんですよ。私自身も最初に歌ったのが六本木のベルファーレで、1,000人くらいの方を前にしてという状況だったのですが、その頃は『かみちゅ!』の歌ぐらいしか歌っていなかったので、本当にどうしたらいいのかわからなくて……。それからみんなで一緒になってノり方を作っていった感じだったのを覚えています。それが今回のアレンジでは、本当にノりやすい曲に仕上がっています。もちろん、すでに誰もがわかっている曲ということもありますが、これまでとは全然違う感じで、とても面白く仕上がっていますので、新曲として楽しんでいただいてもよいのではないかと思っています」

――今回のシングルにあらためて「Wing of Destiny」を収録したのには、何か理由はあるのですか?

「……ノリ? 最初は収録予定にはなかったのですが、レコーディングの途中で、『Wing of Destinyも入れようか』みたいに軽く言われたんですよ(笑)。久々に歌ってみたいというのもありましたので、言われたときは素直に受け入れられましたし、本当にうれしかったです。久々にレコーディングをして感じたのは、やはり『難しい』ということと、やはり『キーが高いな』って(笑)」

――編曲は菊田(大介)さんが担当ですね

「『かみちゅ!』のときから菊田さんにはお世話になっているのですが、レコーディングの日には(作詞・作曲の)上松さんも顔を出してくれまして、何か面白い空間でした(笑)。オリジナルとは全然違う感じで歌ってほしいというリクエストがありまして、かなり細かく菊田さんには指示をしていただきました。今回のCDは、昔から知っている『Elements Garden』のメンバーに支えられてのレコーディングだったので、とても歌いやすかったですし、安心感がありましたね。お仕事で会うのは久しぶりだったので、『大人になったね』って言われました(笑)」

――今回のシングルに収録されている3曲の中で、レコーディングに一番苦労したのはどの曲ですか?

「やっぱり『Crimson Star』ですね。レコーディングの順番も一番最初だったのですが、歌ってみると、先ほども言いましたが、声がただ強いだけの一本調子で面白みがないって言われたんですよ。それで一週間ほど時間をいただきまして、私が歌っていなかった2年の間にリリースされたアニソンを聴きまくったり、友だちとカラオケにいったりして、どうしたら『せつなさ』を表現できるかということを、いろいろと考えました。そうしているうちに、『息を多く出して歌えば"せつなく"聴こえる』というところにたどり着いたんです」

――富田さんなりの「せつなさ」の表現方法がわかったわけですね

「そうですね。今までの私の声に、"息を多く出した声"ってなかったんですよ。というよりも出せなかったんですね。歌っていなかった2年間に、特別それを習ったわけではないのですが、喉が強くなったり、いろいろなことを勉強したりした結果として、『息を多く出して歌う』ことができるようになったのだと思います。レコーディングにすごい時間がかかった『Crimson Star』ですが、新たな発見ができて本当によかったと思っています。実はAメロのメロディも上松さんに途中で変えていただいたりしているんですよ。本当にいろいろな試行錯誤を重ねただけあって、『Crimson Star』は愛情たっぷりの曲になっています」

――その後のレコーディングはスムーズにいきましたか?

「『リンクシンク』は私の中ではかなりスムーズだったのですが、曲を作っていただいた藤田(淳平)さんはけっこう迷っていたようです。と言いますのも、私、本当に感覚人間なので、感覚で歌っちゃうんですよ。なので、リテイクのたびに歌い方が変わっちゃって(笑)。どのテイクを使うのかで悩ませたようで、かなりご迷惑をおかけしたみたいです。私としては、素直に、そして好き勝手に歌わせていただいたので、満足感は高いです(笑)」

――「Wing of Destiny」はいかがでしたか?

「歌い慣れている曲なので、自分なりの癖がついてしまっている部分もあり、それをクリアにするのが大変でした。幸いなことに原曲がカラオケにも入っていますので、ちょっとリズムなどを調整しながら一人カラオケで練習したりもしました(笑)。実際のレコーディングでは、菊田さんに細かく指示を出していただいたので、あまり迷うところはなかったですね。オリジナルでは裏声で歌っているところを地声で歌ったり、逆に地声のところを裏声にして歌ったりしていますので、これまでとはだいぶイメージの変わった曲になっていると思います」

――ちなみに、2年間歌から離れていたことに、何か理由はあったのですか?

「特に理由はないんですよ。気づいたら2年という感じですね。本当に大好きな世界なので、また歌いたいとはずっと思っていました。2年とはいっても、今回のCDが決まったのは昨年の話なので、実際に離れていたのは1年から1年半くらいですね。その間は、本当にミュージカルにどっぷりと浸かっていたので、ミュージカル以外のことはまったく考えられないような状態でした。ただ、時間があいたからこそ新たに見える世界というものもあるのではないかと思いますので、このあたりはポジティブに考えています」

(次ページでは声優に初挑戦したPSP『グローランサー』について)