ソニーは18日、デジタル一眼レフカメラ「α」シリーズ3製品「α380」「α330」「α230」を6月25日から発売すると発表した。主な仕様は従来機種を踏襲するが、撮影設定を分かりやすく表示するGUIを採用したほか、さらなる小型軽量化を図った。価格はいずれもオープン。実売想定価格は、α380のボディ単体が85,000円前後、ズームレンズキットが9万円前後、ダブルズームレンズキットが11万円前後。α330はそれぞれ65,000円前後、7万円前後、9万円前後、α230はそれぞれ5万円前後、55,000円前後、75,000円前後となっている。

"使いやすさ"にこだわったαの新製品

「3大障壁」を解消した誰でも使いこなせるデジタル一眼レフ

3機種とも、デジタル一眼レフを初めて使うユーザーや、コンパクトデジタルカメラからのステップアップユーザーを対象とし、「3大障壁」を解消し、難しくなりがちなデジタル一眼レフの操作を、より簡単に使いこなせるような説明機能を盛り込むなどの配慮を加えた。

3大障壁とは、「価格が高い」「難しそう」「大きい・重い」という3点で、デジタル一眼レフの購入を検討している人が二の足を踏む原因になっている、と同社は指摘する。

また、同社によれば昨年11月ごろからデジタル一眼レフも景気悪化の影響を受け、買い控えが起きているが、アンケートでは購入意欲はあるという結果が出たという。このため、同社では3大障壁の解消とデジタル一眼レフのメリットの訴求を行うことで、購入に弾みをつけたい考えだ。

出荷台数は減少しているが、購入意欲は高い。この買い控えを解消するために開発されたのが今回の3機種

障壁を取り除き、さらにメリットも強調することで、デジタル一眼レフへの買い控えを解消したい考え

そのため、3機種ではいずれも、背面液晶に絞りとシャッタースピードの組み合わせで得られる効果を分かりやすくグラフィカルに表示する機能を搭載。被写体の動きの速さに応じたシャッタースピード、ボケを生かすための絞りといった設定が一目で分かりやすいようにした。

従来も「シャッターボタンを押すだけできれいな写真が撮れる」という簡単操作を訴えてきたが、同社ではそれでは不十分と判断。デジタル一眼レフの特徴であるさまざまな設定が容易に設定できるようにし、「簡単に使いこなせるようになった」という点を強調する。

メーカーお仕着せの「簡単に撮れる」ではなく、ユーザー自身が「簡単に使いこなせる」ことが重要という

特にエントリー向けモデルには「女性の利用者も想定した商品開発が必要」と同社

この背景には女性ユーザーの存在がある。同社によれば、エントリー向けデジタル一眼レフの購入者の約8割は男性だが、利用者を見ると女性の割合が6割にも達するという。このため、「男性も満足するスペックに、(カメラに詳しくない)女性でも簡単に使いこなせる」点を重視した。

一新したUI。シンプルな画面表示に加え、グラフィックでシャッタースピードと絞りの効果をイメージしやすいようにした

そのほかのUIも一新し、ファンクションメニューやメニュー画面もよりグラフィカルな表示にし、たとえばモードダイヤルでモードを切り替えると、そのモードの説明に加えて撮影のワンポイント情報をも表示するよう、使いこなしに配慮した。

実際に液晶に表示される画面

メニュー画面もグラフィカルに改良

ヘルプガイドで撮影ワンポイントも表示する

画面カラーもホワイト、ブラック、ピンク、ブラウンの4色を選択可能としたほか、屋外での液晶の視認性を向上させるため、初期設定の明るさを36%アップさせた。α380/α330には自動明るさ調整機能も搭載し、外部の明るさに応じて最大輝度まで上げるようにした。

画面カラーの選択も可能

ボタン配置を、右手親指で押せる位置に変更。十字キーはコンパクトデジカメの操作性に近づけた

大きさ・重さに関しては、従来機種比(α350/300/200)で15%の軽量化を図り、α380/α330では、約128(W)×97(H)×71.4(D)mmで、重さは約490g(電池、記録メディアなど含まず)。α230は、約128(W)×97(H)×67.5(D)mmで重さ約450g(同)と、「ボディ内手ブレ補正搭載機の中では最軽量」(同社)を実現している。

液晶の視認性を向上させ、オプションでフードも用意

ボディサイズも軽量化し、重さ・大きさでの障壁を取り除いた

本体の小型化を図るため内部構造を一新しているが、基本的なスペックとしては従来機種を踏襲。α380/α330にはライブビュー機能とチルト液晶も搭載している。

機能的にはAF精度を改善しており、特に動体予測アルゴリズムの改善で移動する被写体のピント精度が向上。望遠・マクロ時の合焦時間も大幅に改善したという。

エントリー向けαでは初めてHDMI端子も備え、薄型テレビに写真を表示するブラビア プレミアム・フォトに対応。αシリーズとしては初めてブラビアリンクもサポートし、テレビのリモコンでスライドショーなどの再生操作が可能だ

HDMIケーブルでテレビとつないでカメラの電源を入れると、自動的にテレビの電源がオンになり、最後に再生した画像を表示する。テレビのリモコンで再生操作も行える

そのほか、小型化を狙って記録メディアはメモリースティックPROデュオ、メモリースティックPRO-HGデュオ、SD/SDHCのダブルスロットに変更されている。

ダブルスロットは切り替え式

今回用意されたラインナップ

α380とα330は、主に撮像素子のみの違いで、α380が有効1,420万画素、α330が有効1,020万画素APS-CサイズCCDを搭載。ボディ内手ブレ補正はイメージセンサーシフト方式、液晶モニターは2.7型約23万画素クリアフォト液晶で、AFは中央クロス9点、ISO感度はISO100~3200、シャッタースピードは1/4000秒~30秒、ファインダーはペンタダハミラー、視野率は95%、倍率は0.74倍。連続撮影はファインダー使用時最高約2.5コマ/秒、ライブビュー使用時最高約2コマ/秒。

有効1,420万画素の「α380」

撮影可能枚数(CIPA準拠)は異なり、α380がファインダー使用時約500枚、ライブビュー使用時約230枚、α330は同約510枚、約230枚となっている。

有効1,020万画素の「α330」

α230は、有効1,020万画素APS-CサイズCCDを搭載。ライブビューやチルト液晶の非搭載をのぞくとスペックは同等だが、ファインダーは視野率95%、倍率0.83倍のものを搭載する。撮影可能枚数は約510枚だ。

αシリーズ最軽量となる「α230」

α330に関しては、カラーバリエーションとしてブラックに加え、ノーブルブラウンも追加した。ノーブルブラウンはズームレンズキット限定色で、付属のレンズはボディカラーに合わせたノーブルブラウンになる。

キットレンズを一新、アクセサリーも充実

軽量化とコストを考え、キットレンズも一新。ズームレンズキットとして「DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM」、ダブルズームレンズキットとして「DT 55-200mm F4-5.6 SAM」を用意する。それぞれ単体でも販売し、価格は31,500円、42,000円となっている。

さらに初めて購入する単焦点レンズに最適な「ポートレートレンズ」として「DT 50mm F1.8 SAM」も23,100円で6月25日に発売する。今年秋にはマクロレンズ「DT 30mm F2.8 Macro SAM」も発売する予定だ。

α330と新製品のポートレートレンズ

アクセサリーとしてはさらにハンドストラップ(3,675円)、レンズキャップホルダー(2,100円)、斜めがけ対応のショルダーストラップ(3,675円)、カメラやレンズ、フラッシュなどを包んで持ち歩けるラッピングクロス(2,100円)を用意した。

用意されるアクセサリー

アクセサリーのショルダーストラップ

軽量の外付けフラッシュ

カメラを包んで簡単に持ち歩けるラッピングクロス

さらに重さ約98g、薄さ24mmのコンパクトな外付けフラッシュ「HVL-F20AM」も13,650円で7月に発売する。本体全体を折りたためるためコンパクトに持ち歩け、利用時も本体を持ち上げるだけで電源が入り、天井バウンスにも対応する。

ショルダーストラップやバッグにつけられているのがレンズキャップホルダー