米eBay傘下のSkypeは2月18日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催されているモバイル業界のイベント「Mobile World Congress 2009」で、モバイル戦略を明らかにした。その一部として、Nokia(フィンランド)と提携し、同社端末のNシリーズにSkypeを統合することを発表した。
SkypeのCEO Josh Silverman氏はまず、音声通話を含むコミュニケーションについて同社のビジョンを示した。「コミュニケーション業界は現在、ハードウェアからソフトウェアへその中心が移行しつつある」(同氏)。コミュニケーションは、銅線につながった専用端末としての電話機から場を移し、複数の機能を持つ端末が複数のネットワークを持つインターネットに接続して行われるようになった。また、コミュニケーションそのものも多様化し、音声通話からマイクロブログのTwitterまで幅広い手段がある。
「ソフトウェアで管理されるようになったことで、コミュニケーションは端末から端末へと水のように流れる」(Silverman氏)。同社は「Skype Everywhere」というビジョンのもと、PC/ Web/ モバイル端末/ TVなどさまざまな端末に対応してコミュニケーションの流れを作る。リッチ、容易、コスト効果の高いコミュニケーション手段を提供する。
モバイルへの取り組みを説明したCOOのScott Durschslag氏は、自社モバイル戦略の3本柱として、(1)ダウンロード、(2)プリロード、(3)オペレータを強調する。
(1)のダウンロードでは昨年、Java搭載端末向け「Skype Lite」として100機種以上に対応した。2009年1月のCES(米国開催)では、米Googleの携帯プラットフォーム「Android」でダウンロードできるようになった。早くから対応している「Windows Mobile」では、これまで約1,100万回のダウンロードがあったという。ファイル転送などの機能強化をしたWindows Mobile向け最新版も披露している。
また、Skypeは17日(現地時間)、英Sony Ericssonと提携を発表。Sony EricssonのWindows Mobileベースのスマートフォン「XPERIA X1」で、SkypeにクイックアクセスできるSkypeパネルを提供するという。これを一例に、今年前半には主要プラットフォームでSkypeを容易にダウンロードできるような機能強化を発表していく予定だ。
(2)のプリロードでは、オペレータ3が提供するSkype携帯電話「S1」「S2」それに「INQ1」を2007年秋に投入した。Durschslag氏はこれをステップ1とし、Nシリーズへの搭載をステップ2とした。
SkypeにとってNokiaとの提携は重要なマイルストーンであり、「これまでで最大の戦略的提携」(Durschslag氏)。Skypeユーザー間の無料通話、固定・携帯電話への有料通話のほか、アドレス帳との連携、IM、プレゼンスなどの機能も提供する。
まず、2009年第3四半期よりNokiaの最新フラッグシップ端末「Nokia N97」にSkypeをインストールして提供する。N97は今年6月に発売される予定だが、購入ユーザーに対してはアップデートで対応する。
(3)のオペレータでは、Skype携帯電話を実現した「3」(Hutchison Whampoaが展開するモバイルブランド)の例を紹介する。「3」とは開発、機能統合、料金などで蜜に協業した結果、S1/ S2/ INQ1の3機種の合計出荷台数は50万台に達したという。Skype携帯電話を購入した人の多くが「3」にとって新規顧客で、顧客獲得につながった。現在、複数のオペレータが同様のサービスを開始することに関心を示しているという。
Silverman氏によると、Skypeユーザは現在4億500万人、Skypeの通話は全世界の国際電話の8%を占めているという。売上げでは、2008年第4四半期まで、8四半期連続で売上高増を記録している。