決勝日はウェットとドライの混ざる複雑なコンディションに

いよいよ第1レース。1周3.703kmの岡山国際サーキットを14周だ。ローリングスタート方式で、各車が雪崩を打って1コーナーに飛び込む。日本のファンが期待するどつき合いが早くも展開し、はじき飛ばされてポジションダウンする選手、コースオフする選手と波乱ぶりにことを欠かない。しかし、残念なことに織戸は1周目のダンゴ状態の格闘戦の中で、激しい接触を受け、ステアリングやダンパーなどフロント部に大きなダメージを受け、緊急ピットイン。そのままリタイアとなった。

そんな混乱を抜け出してトップに立ったのが、予選2番手スタートのワークス「BMW Team Germany」のヨルグ・ミューラー(独)。「BMW 320si」を飛ばしていく。それを予選5番手(タイムは6番手だが、3番手のタルクィーニが前戦のペナルティーで5グリッド降格のため5番手に)スタートのリカルド・リデル(スウェーデン)が猛烈に追い上げる。リデルは、ワークス「SEAT Sport」で「セアト レオン TDI」を駆るひとりだ。ミューラーは必死の防戦を試みるが、残り3周というところでリデルにパスされてしまう。Race of JAPANの第1レースは、そのままリデルがミューラーを振り切って優勝した。これにより、セアトは残り3レースを残した状態で、マニファクチャラーズタイトルを獲得。喚起に沸いた。インディペンデント優勝は、ステファノ・ディアステ(伊)。日本勢は、青木の15位が最高位。谷口が20位、加納は完走最後尾の24位だった。

第1レースのスタート直後。コーナーに4台も5台も並んで突っ込んでいくWTCCならではのシーン

リデルが優勝の第1レースの表彰台。左端はインディペンデント優勝のディアステ

第2レースはさらに複雑な路面コンディションに

第2レースは、さらに路面コンディションが複雑な状況となり、ウェットとドライが混在する状況。レインタイヤかスリックタイヤか判断が分かれるところだ。現場で指揮を執る横浜ゴム・モータースポーツ部Wプロジェクトリーダーの渡辺晋氏も、第2レースの判断には迷ったという。結果として、レインとスリックの両方に別れた。横浜ゴムとしては、この第2レースで、スリックもレインも使用領域が広いことがわかり、大きな収穫となったとしている。

第2レースも14周。スタンディングスタートだ。しかし、オープニングラップ中に、青木がドライブシャフトの破損でストップ。第1レースから不調だったようだが、交換ができなかったため、無理して第2レースに出ようとしたが、結局スタートができずに終わってしまった。ポールは、リバースグリッドにより、トム・コロネル(オランダ)だ。セアトワークス「TFSI SUNRED」に所属する、ガソリン車「セアト レオン」の使い手だ。1999年のフォーミュラ・ニッポン王者なので、日本には馴染みのある選手である。岡山国際サーキットの前身であるTIサーキット英田をSUPER GTなどで走行しており、外国人選手の中では、ザナルディやラリーニらと並んで数少ない同サーキットの走行経験を持つ。そしてスタート。コロネルは一時、ワークス「SEAT Sport」のティアゴ・モンテイロ(ポルトガル)に抜かれるが、再びトップを奪い返す。そのまま逃げ切るかと思われたが、そこへ詰めてきたのが、予選でポールを獲得しながら、不運で第1レースは6位となったファルファス。終盤、両者はテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げるが、コロネルが首位を守りきり、0.097秒差でフィニッシュ。ガソリン車「セアト レオン」の今シーズン初勝利となった。また、「ホンダ アコード ユーロR」を駆るトンプソンが4位入賞。日本勢は、織戸が18位、谷口が19位、加納が21位となった。

織戸は自身のブログで、Race of JAPANでは、第1、第2レースとも波に乗れず、非常に残念なレースだったと語る。そんな悔しい思いは青木も同様で、釈然としない悔しいレースだったことをブログで明かしている。ただし、両選手とも次戦マカオでもがんばるとコメントしていた。最終戦に期待したい。

終盤のコロネルvsファルファス。最後も0.097秒差の僅差での決着となった

優勝のコロネルは、今年は苦戦続きで、表彰台すら久しぶりだったためか思わず感極まってしまう